浪速夢見頃>あかがわ川柳クラブ86号
(2014年3月)
会員作品は高齢者
(主に60歳代~80歳代)です
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賛彩天
兼題 〔痛〕(天)
邦夫)戦争の痛み今なお療えぬ日々
兼題 〔蒸す〕(天)
倫子 )蒸すも良し焼くもまた良しサツマイモ
自由吟(天)
鈍甲)艶やかに宙天の実の雪化粧
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兼題 「蒸す」1
弘子)蒸し芋がおやつ代わりの終戦後
弘子)サウナ入り頭の方が先のぼせ
茂 )寒風下蒸しパン食し温まる
勇 )金沢の茶碗蒸しうどん旨かつた
勇 )さつま芋取れたて貰い蒸し芋よ
元紀)茄でるのにせいろに載せるそばの謎
倫子)仲人が切れた御縁を蒸し直す
正)焼きそばは蓋して仕上げちよいと蒸す
文子)さつま芋蒸すより焼くと人気あり
美智子)失敗を蒸し返されて立つ瀬なし
正 )じんわりと汁がこぼれる水餃子
一歩)愛情で蒸した赤飯艶がある
みえ )酔っぱらいくどくど話蒸し返す
文子 )餅つきも蒸しのベテラン忙しい
兼題 「蒸す」2
千恵子)病人の背中スツキリ蒸しタオル
千恵子)午後三時蒸し餞頭で盛り上がる
邦夫)昔から好きな食べ物茶碗蒸し
妻子)早朝の餅蒸す明り年の暮れ
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兼題 「痛」1
勇 )高齢者足腰痛い車イス
茂 )痛みをば予想もせずに消費税
弘子)待たされて注射に頼る痛み止め
正道)腹痛に今ももセイロガン
兼題 「痛」2
邦夫)豪雪が人を地域を痛みつけ
鈍甲)身の内の痛みに耐えて自己批判
佐津乃)古い傷暑さ寒さに顔を出す
文子 )九十路過ぎ痛む手足も移動して
千恵子)蒼蓋が取れて 一層痛くなる
美智子)ああ痛っ小さな秘密ばれてもた
弘子)階段で転んだ痣が痛み呼ぶ
美智子)痛いとこ衝かれた時の目のやり場
倫子)痛いほど手を握られた日の別れ
元紀)痛風を紛らすために迎え酒
みえ)いたいたし交通事故の松葉杖
妻子)痛烈なピカドンだつた悲惨さだ
兼題 「痛」3
一歩)医者嫌い歯の痛みには耐えられず
兼題 「痛」 佳句
佐津乃) 花束をほどき痛みを取ってやる
鈍甲) あかぎれで偲ぶ軟膏いろり端
茂 )神経が痛み感ぜぬ高齢者
一歩)友情が一生続く痛み分け
勇 )するめ食い歯痛で歯科へ皆抜かれ
文子)ラッシュ時押されて痛む足の先
正道)痛む足引きずりながら金を射る
倫子)痛いことしか言わぬのに人気者
みえ)まあまあとなだめて双方痛み分け
千恵子)それだけは触れずにおいてほしかった
人の句
元紀)じわじわと毒矢の痛み効いてきた
兼題 「痛」4
地の句
妻子)痛恨の極み柳友黄泉の旅
天の句
邦夫)戦争の痛み今なお癒えぬ日日
軸吟)
正 )激痛にのたうちまわる都構想
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「自由吟」1
美智子)裸木も温いお日様待っている
茂 )選挙民愚弄をすれば倍返し
正道)愛弟子の手作リチョコに舌づつみ
弘子)ソチ五輪茨が多い金の道
勇 )定期便福井の雪を乗せて来る
元紀)風邪引きがマスクでテロと間違われ
妻子)慎重に登る卆寿の坂は急
邦夫)メダル逃げ流す涙は金の色
「自由吟」2
佐津乃)都合良くヒントを呉れる友の声
みえ)為攻者よ弱者の切ない眼をみたか
倫子)限りなく天から白雪降りつづく
千恵子)大雪で軍隊歩き検診日
文子 )寒くても子供はる雪の中
みえ)人は皆神の試練の中にいる
倫子)勿体ない若い命を何故捨てる
佐津乃)浸る湯に仮の自分が溶けてゆく
鈍甲)蕗の菫にがみがさそう里景色
正 )大阪の市長は心ここに無し
「自由吟」佳句
邦夫)靖国に不戦を誓い戦する
美智子)無茶な策出してはばからない男
みえ )豆撒きで貧乏神は出てゆかぬ
「自由吟」佳句3
妻子)新聞を開く銃声交叉する
元紀 )竹槍で突つ込んでいくよな未来
「自由吟」佳句4
正 )安倍総理アジア諸国に疎まれる
文子)寒さにも負けずに延びる平和の芽
倫子)高笑いする政治家に嘘がある
鈍甲)解釈で憲法変える無法者
人の句
正 )大ジャンプ葛西選手のいぶし銀
地の句
千恵子)醜さを全部覆ってくれる雪
天の句
鈍甲)艶やかに南天の実の雪化粧
軸吟
一歩)都構想に怒リソチ五輪に泣いた
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