ガッチが、巨石鳥の胸に飛び移ったのでした。ガッチは、飛び移りざま、巨石鳥の胸を、思いきりゲンコツで叩きました。巨石鳥は、ガッチのゲンコツの威力に目を丸くし、サトルを捕まえようとした鉤爪を構えたまま、バランスを崩して真っ逆さまに墜落していきました。
「ガッチー!」と、サトルは、ほとんどベソを掻きながら叫びました。けれどガッチは、巨石鳥と一緒に急降下したまま、ぐんぐんと勢いを増して落ちていきました。
サトルが見守っていると、巨石鳥はひっくり返った体勢を立て直し、また空高く飛び始めました。
大きな翼をぐんぐんと羽ばたかせた巨石鳥が、どこかへ飛び去ってしまうと、その後には巨石鳥の石でできた羽根がひとつ、ぐんぐんと風を切りながら、川に向けて落下していきました。サトルは、羽根にガッチが乗っているのを見つけると、涙が溢れ出しそうなくらい喜びました。そして、自分ももっと早く川へ落ちようと、心なしか手足をバタバタさせて、空中を泳ぐように落下していきました。
サトルがどんどん川に近づいて行くと、自分の目を疑いたくなるような事が起こりました。川が、自分が近づいて行くにつれ、だんだんと川幅を広げていくのでした。ただ川が大きくなって見えるのならば、なにも不思議な事はありません。けれどこの川は、二倍が三倍、三倍が四倍と、近づくにつれて向こう岸が見えないほどに膨れ上がっていくのでした。いくら巨石鳥が高い所を飛んでいたとはいえ、あの細い川がここまで広がることは、あり得ないことでした。サトルはみるみるうちに幅を広げていく川に落ちながら、ガッチだけは見逃してたまるか、とひたすらガッチの姿を目で追いかけていました。
――バッシャーン。
と、大きなしぶきを上げながら、サトルは大河のように大きさを増した川に落ちました。
川は、川とは思えないほど波が高く、黙っていると、どんどん下流へ流されていってしまいました。サトルは沈まないように泳ぎながら、自分よりも先に川に落ちたガッチを探しました。自分にとって壁のような波は、ガッチにとっては山ほどもある大波に感じられるに違いありません。
もしかすると、落ちたときに大量の水を飲み、川の底へ沈んでしまったのかもしれませんでした。
「ガッチー! ガッチー! 返事してよ。ガッチー!」
「おーい、ここだあ――」と、かすかですが、ガッチの声が聞こえてきました。サトルは、もうむちゃくちゃに水をかきながら、大急ぎで声のした方へ泳いでいきました。すると、サトルのいる位置よりわずかに下流の所で、ガッチが波に何度も飲みこまれ、アップアップしてもがいているのを見つけました。
「つかまって、ガッチ――」と、サトルはガッチに手を伸ばすと、水に浸かっていない肩に、ガッチをそっと寄りかからせました。ガッチもサトルに助けられたと気づいて、酔っ払ったような目をしながらも、しっかりとサトルの肩をつかみました。サトルは、ガッチを助けたことでほっとすると、波の向こうに見える岸に向かって、川を横切るように泳いでいきました。
「ガッチー!」と、サトルは、ほとんどベソを掻きながら叫びました。けれどガッチは、巨石鳥と一緒に急降下したまま、ぐんぐんと勢いを増して落ちていきました。
サトルが見守っていると、巨石鳥はひっくり返った体勢を立て直し、また空高く飛び始めました。
大きな翼をぐんぐんと羽ばたかせた巨石鳥が、どこかへ飛び去ってしまうと、その後には巨石鳥の石でできた羽根がひとつ、ぐんぐんと風を切りながら、川に向けて落下していきました。サトルは、羽根にガッチが乗っているのを見つけると、涙が溢れ出しそうなくらい喜びました。そして、自分ももっと早く川へ落ちようと、心なしか手足をバタバタさせて、空中を泳ぐように落下していきました。
サトルがどんどん川に近づいて行くと、自分の目を疑いたくなるような事が起こりました。川が、自分が近づいて行くにつれ、だんだんと川幅を広げていくのでした。ただ川が大きくなって見えるのならば、なにも不思議な事はありません。けれどこの川は、二倍が三倍、三倍が四倍と、近づくにつれて向こう岸が見えないほどに膨れ上がっていくのでした。いくら巨石鳥が高い所を飛んでいたとはいえ、あの細い川がここまで広がることは、あり得ないことでした。サトルはみるみるうちに幅を広げていく川に落ちながら、ガッチだけは見逃してたまるか、とひたすらガッチの姿を目で追いかけていました。
――バッシャーン。
と、大きなしぶきを上げながら、サトルは大河のように大きさを増した川に落ちました。
川は、川とは思えないほど波が高く、黙っていると、どんどん下流へ流されていってしまいました。サトルは沈まないように泳ぎながら、自分よりも先に川に落ちたガッチを探しました。自分にとって壁のような波は、ガッチにとっては山ほどもある大波に感じられるに違いありません。
もしかすると、落ちたときに大量の水を飲み、川の底へ沈んでしまったのかもしれませんでした。
「ガッチー! ガッチー! 返事してよ。ガッチー!」
「おーい、ここだあ――」と、かすかですが、ガッチの声が聞こえてきました。サトルは、もうむちゃくちゃに水をかきながら、大急ぎで声のした方へ泳いでいきました。すると、サトルのいる位置よりわずかに下流の所で、ガッチが波に何度も飲みこまれ、アップアップしてもがいているのを見つけました。
「つかまって、ガッチ――」と、サトルはガッチに手を伸ばすと、水に浸かっていない肩に、ガッチをそっと寄りかからせました。ガッチもサトルに助けられたと気づいて、酔っ払ったような目をしながらも、しっかりとサトルの肩をつかみました。サトルは、ガッチを助けたことでほっとすると、波の向こうに見える岸に向かって、川を横切るように泳いでいきました。