私の歩く旅 

歴史の背景にある話題やロマンを求めて、歩く旅に凝っています。ねこや家族のこともちょこっと。

東照宮を外した日光の魅力~日本聖公会日光真光教会

2012年10月03日 | 旅日記


今回の旅で、日光を訪れた一番の理由は
J.M.ガーディナーの設計した日本聖公会日光真光教会を見るためです。
ガーディナーについては以前にもブログに何度か書きました。

日光真光教会は、日光東照宮のすぐそばにあります。
神橋をさらに進んだ西門のそば、国道沿いなので、すぐにわかります。




何回訪れても、素敵ですね。
東照宮で有名な日光は明治の時代から外国人たちにとても人気のある避暑地でした。




明治維新の時には必ず名前の出てくるイギリス領事館の書記官だった
アーネスト・サトウ(日本人ではありません)が
明治8年に出版した「a Guide book to Nikko」は多くの外国人に日光の魅力を伝えました。
ヘボン式ローマ字のヘボン(ジェームズ・ヘップバーン)も日光の自然を愛していました
その他、日光を訪れた外国人の中には、

大森貝塚の発見者E.S.モース、
維新政府の法律顧問として招聘されたG.ブスケ、
フランスのギメ東洋美術館の創設者エミール・ギメ、
更にはわざわざ英国からやって来た紀行作家の第一人者イザベラ・バード
そして、ガーディナーの友人だったフェロノサ(日本の美術界に大きな貢献をした)
などのお雇い外国人もいました。

明治20年代に入ると避暑のために夏の間の数ヵ月間を過ごす外国人が多くなりましたが、
その代表がガーディナーとその家族でした。

明治11年夏、ガーディナー夫人のピットマンはガーディナーよりも先に日光を訪れています。
実はガーディナーは明治14年、日光に避暑に行き、そこでピットマンと出逢い、
翌年5月に結婚しています。
二人にとって日光は忘れられない地となったのです。

宇都宮から日光までの鉄道が開通したのは明治23年8月1日で、それから
外国人の観光客や避暑客はますます増え、幾つかの外国人用のホテルもできました。
ガーディナーは二荒山神社の別当であった安養院に部屋を借り、
夏の間そこに住み、キリスト教の日曜礼拝もおこなっていたそうです。
ガーディナーは建築家とし有名ですが、ミッションアーキテクト、
宣教師だったのですから、当然といえば当然かもしれませんね。

その後、夏の間だけ主に外国人の礼拝を行う、木造の日光変容貌教会が作られました。
もちろん設計はガーディナーです。
しかし、しばらくの間、夏が過ぎればそこは誰もいない教会堂でした。

明治の終わりになり、米国聖公会伝道局より、アイリーン・マン女史が宣教師として
日光にやってきました。
マン宣教師は大正元年10月に、最初の幼稚園・愛隣幼稚園を設立し、日光の人々に喜ばれました。

その後、マン宣教師は日光にふさわしい教会が必要であると感じ、
日本聖公会本部や米国聖公会伝道局始め、多くの聖公会の信徒に働きかけ、資金を集めました。
設計は日光を愛し、聖公会のミッションアーキテクト、ガーディナーが行い、大正2年着工、3年の竣工でした。
事実、日光真光教会はガーディナーの設計として有名ですが、
実はこの建築の裏側にはマン宣教師のひとかたならぬ尽力があったのだと思います。




さて、教会は東照宮で有名な日光にもふさわしいよう、堂々として重厚な造りです。
地元の大谷川の安山岩や鹿沼石を外壁や内壁に使用し、平屋建てで、切妻屋根スレート葺き、
教会を見ていると、どこか外国にいるような雰囲気になってしまいます。



教会堂の中です。




外は石造りなのに、中はとても温かさを感じる丸みのある天井です。
とても素敵なステンドグラスがあります。(題材は新約聖書ヨハネの黙示録から)



どんな音色なんでしょうか。
歴史を感じるオルガン。





忘れてはならないマン宣教師のプレートです。教会の片隅に、でも輝いて飾られています。




来会者の記帳台。




外に出て教会の周りをぐるっと回ってみました。



中世の物語に出てきそうな石の壁とドア




静かな静かな教会です。
1時間半の日光滞在でしたが、とても充足した時間を過ごしました。

最後に、この穏やかな温かみのあふれる教会にはガーディナー夫妻が眠っているそうです。





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参考文献
http://www6.ocn.ne.jp/~akarenga/nikkousinkoukyoukai.htm
http://www.concierge.ne.jp/002_classic/003_nikkokanaya_no01.html
菅原涼子「J・M・ガーディナーと日光」築地居留地研究会 2002『近代文化の原点 築地居留地VOL2』P119

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おはようございます(^-^) (ジェスロ)
2012-10-04 07:58:01
外観のイングランド風の重厚さと会堂内部の清楚で明るさとのコントラストが良いですね。
日本宣教に尽力してくださった宣教師と御家族に心から感謝いたします。
返信する
ジェスロさん (ヨッシー)
2012-10-05 09:15:24
歴史的な建物の造りだけでなく、そのなかにある歴史や哲学(思い)などもしりたいと思っています。
返信する
同感です(^-^)/ (ジェスロ)
2012-10-05 21:40:49
歴史的建造物を建てた人、そこで学び働き生活した人々のスピリットに邂逅する喜びは深いです( ̄▽ ̄)
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