私の歩く旅 

歴史の背景にある話題やロマンを求めて、歩く旅に凝っています。ねこや家族のこともちょこっと。

ハム・ソーセージマイスター カール・レイモンの人生と味

2012年10月11日 | 旧居留地

函館ハリストス正教会(国指定重要文化財)



カトリック元町教会(函館市伝統的建造物)



函館製ヨハネ教会など元町エリアを歩いていたら、もう午後1時半になってしまいました。

そこでたまたま(奇跡的に)見つけたのが、こんなクラシックなお店。




中でホットドックやサンドイッチなど軽食を食べることができます。⬇



この、たまたま入ったお店はハム・ソーセージのドイツ人マイスター、カール・レイモンのお店でした。
カール・レイモンのソーセージを食べたら、これまで美味しいと思っていたソーセージが
ぼそぼそとしたはりのない味に感じられてしまいます。



ソーセージセット⬆

これ、味音痴の私が『ん、美味しい!』と久しぶりに感じた味です。
あまりに美味しかったので、お店の2階にあるカール・レイモンの記念館も見学しました。
そこでまたまた、彼の波瀾万丈の人生にびっくり!です。

1894年3月28日、ドイツ・ボヘミア地方(現在のチェコスロバキア)のカルルスバ-トという町で、生まれるた
カール・レイモンの父は4代続いた食肉加工のマイスターだったそうです。
父の白いエプロンにつかまって仕事場に入ったレイモンは、ハム・ソーセージができあがる工程を
来る日も来る日も飽きることなく眺め続けていたそうです。
父がレイモンを友人のマイスターのもとへ送り、ハム、ソーセージの本格的な修業を始めたのは14才の時だったといいます。
14歳で一生の仕事を決めるなんて、すごいことですよね。

その後、レイモンは18歳の時に独り立ちするまで、厳しい修行を重ねます。
故郷を離れベルリン、フランス、スペインで修行を重ね、帰国後マイスターの資格を取ります。

第一次大戦後にはレイモンはアメリカに渡り、3年間の期限付きで大量の缶詰の技術を学ぶのですが、
アメリカからヨーロッパに戻る帰途の1919年、日本に立ち寄ります。
そこで偶然にも東洋缶詰の重役を紹介され、日本にハムソーセージの技術指導をするため
函館に赴くことになります。

1920年から1年、函館に住むことになり、レイモンは勝田旅館に滞在しましたが、そこで
生涯の伴侶となる勝田コウと大恋愛をします。
予期せぬ出来事なのか、運命だったのか、、、ふたりの交際はコウの両親に大反対されてしまいます。
コウは思い詰めますが、レイモンの情熱とふたりの若さと強さゆえ、
大正11年(1922年)別々に日本を出国、コウは下関から釜山に渡り、天津でレイモンと再開します。
今の時代でも国際的な駆け落ちは相当勇気のいることだと思うのですが、
ふたりはそれをやってのけてしまいます。

その後、苦労して上海でドイツ行きの旅券を発券してもらい、レイモンの故郷で結婚します。
しかし、その3年後、レイモンが函館に帰る、と言い始めます。
「知らない土地で神経を摩り減らす私の姿を見ていた主人は、自分が“異国人”になったほうがいい、
きっとそう思ってくれたのだと信じています」とはコウのお話。
1925年、レイモン31歳、コウ26歳のときです。

それからずっとレイモンとコウは第2時世界大戦も乗り越えてハムとソーセージを作りました。
自宅横の工場の入口には「北海道創始者仕事場(HOKKAIDO PIONEER'S WORKSHOP)礼門」の看板を立て、
ここでレイモンはドイツ伝統の製法によるハム・ソーセージづくりを守り続けました。
すでに日本に来てから50年の月日が経っていました。

レイモンは日本の国民の食生活に変化を持たせ、健康を維持できるような改善をしたいと願っていました。
また、北海道畜産開発プランを北海道庁に何度も提出します。
信念を貫き通す強い意志を持った人なのですね。

レイモンは
1974年、西ドイツのハイネマン大統領から、日本とドイツの友好に関する彼の長年の努力を称えられ
「功労勲章十字章」が贈られました。
1979年は、財団法人サントリー文化財団が設けた第1回地域文化賞の優秀賞に選ばれ
1985年11月、「北海道新聞産業経済賞」を受賞。
さらに横路北海道知事から「産業貢献賞」の授与を受けました。
そして1986年5月、長年の日本の畜産業への貢献により、「勲五等双光旭日章」を受賞したのです。

1987年12月、レイモンは93歳で亡くなりました。
波瀾万丈の人生でしたが、最後までドイツ人マイスターとして、強い意志を持って生きた人でした。




レイモンの手です。⬆


『私がずーっと心がけてきたことは、ただまじめに働くことですよ。
そして私の作ったハムやソーセージを喜んで食べてくれる人が一人でもふえるのですからね。
これはお金では買えないものね。
だから羅私は、胃袋の宣教師だと思っているんですよ.』

『花を見ればわかるでしょう。
花の色は中から出てきます。
人の健康も体の中から出てくるものなのです。』


参考文献
カールレイモン歴史展示館 パンフレット
http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/soumu/hensan/jimbutsu_ver1.0/b_jimbutsu/reimon.htm
http://www.raymon.co.jp


さて、私は函館駅で、カールレイモンの製品を買ってクール宅急便で東京に送りました。
宅急便の女性スタッフが
『このソーセージを食べたら、他のソーセージは食べられませんよ。
私の息子なんて、ホントここのしか食べませんから.』
ですって、、、。

愛されていますね、カール・レイモン。




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