Yokusia の問はず語り

写真担当: Olympus E-400 / Panasonic FZ5

逆様の世界

2008-02-27 | Weblog

日本は雪の大盤振る舞いですが、こっちは雨ばかり・・・というわけで、今回は雨粒特集(?)です。
映り込みを狙ってみたのですがやっぱり難しいですね。お陰でよくわからない写真を量産する羽目
になりました。今回もまた駄作のオンパレードですが・・・。









あっ、窓、掃除しなくちゃ・・・(笑)

Rouge

2008-02-25 | Weblog

このところ、長文駄文が続いたので、今回は久しぶりに画像のみの掲載です。
最近、例の紅い芽の撮影にはまってしまったよう・・・。
似たような画像ばかりで申し訳ないですがご笑覧を。
レンズはお馴染みの3535マクロです。

ところで、上の画像に出ている丸い滲みとゴミみたいな影、何なんでしょう?
小梅の標準ズームも、太陽に向けると似たような症状が出ることがありました。ゴースト?
改善法をご存知の方、いらっしゃいましたらご指南ください。

それからレンズのクリーニング。いまだに怖くて一人ではできません。
素人でも失敗しないような簡単な方法をご存知の方、アドバイスいただけたら幸いです。
ちなみに、どのレンズも、前玉はフィルターで保護しています。














お尻か足か・・・

2008-02-24 | Weblog

前々回の記事で、「ポーランド男性は奥さんの尻の下に敷かれて云々」と書きましたが、ポーランド
で最初に覚えた単語の一つに「パントフラーシュ」(pantoflarz)があります。

スリッパを表す「パントフェル」(pantofel)という言葉から派生したものなので、日本語ならせいぜい、
「スリッパ男」とでも言うところでしょうか。「(奥さんの)スリッパの下に敷かれた男」、即ち「恐妻家」
のことです。

恐妻家を装う男性は日本の某掲示板にもうじゃうじゃいますが、かの国も同じで、誰もが、自分が
家でどれだけ虐げられているか綿々と訴えます。まあ、これも一種ののろけなんですけどね(笑)




ある時、この手の話を聞かされたので、「スリッパの下ならまだマシじゃない。日本の男性なんか、
尻の下に敷かれてるんだよ」と言い聞かせて慰めた(?)のですが、ポーランドの夫族から返って
きた答えは、「スリッパの下より美しい女性のお尻の下の方がずっといいに決まってるじゃないか。
日本の男性が羨ましい・・・」というもの。いったい何を勘違いしているのやら・・・。




今、住んでいるフランスも、あまり男性優位には見えないので、きっと似たような表現があるはず・・・
と思い、「パントフラーシュ(相棒の知っている数少ないポーランド語のひとつ)ってフランス語で何?」
と聞くと、「ないよ」とつれない返事。

さては自分が言われたくないから隠しているな・・・と思い、「教えたくないんならいいよ。フランス風
に変えて「パントゥフレル」って呼ぶから・・・」と言うと、「それはいいけど、意味はぜんぜん違うよ。」




ちなみに、この「パントフェル」という言葉、フランス語の「パントゥフル」(pantoufle)がポーランド化
したもの。仏和辞典を見ると、この言葉から派生した「パントゥフラール」(pantouflard)という言葉が
確かにあるのですが、語義は「出不精な人」。「一日中スリッパを脱がない人=出不精な人」という
連想からきたようです。

「ないよ」と言われると意地でも知りたくなるのがA型。まずはラルースのポ仏辞典をあたってみたの
ですが、なんと単語自体が載ってない。ポーランドではあんなにポピュラーな言葉だと言うのに・・・。
意固地になった私は、今度は、ポ英、英仏と二段階で攻めることにしました。




まず、ポ英辞典をひいてみると、英語で「恐妻家」を指すのはhenpecked husband。
この言葉、直訳すると、「雌鳥からつつかれる夫」という意味になるそうです。
日本やポーランド同様、英米の恐妻家も大変なんですね。

あとは分厚い英仏辞典を引っ張り出し、仏語訳発見!となるはずだったのですが、載っていたのは、
「妻に支配された夫」というなんとも説明的な訳語だけ。

「彼女は夫を尻の下に敷いている」と言う意味で、「彼女はキュロットを履いている」という表現はある
ようですが、一言で表せるような単語はないみたい。本当かなぁ・・・。今度、誰かに聞いてみよう。

邪道なナイチンゲール

2008-02-22 | Weblog

一縷の望みを託しつつ、雪を待ち続けてきましたが、どうも今年は暖冬のまま終わりそうです。
梅の花も咲き始め、恋の季節に備えて、ロッシニョール(=ナイチンゲール)の囀りも聞こえるように
なりました。用心深い性格のようで、声は聞けても、姿を見かけることは滅多にないのですが、昨日、
一昨日と二日続けて、同じ木の上に姿を見せてくれました。




最初に気づいたのはもちろん相棒。
部屋から見える場所で、幸い窓も開いていたので、ガラスを通さず、直接撮影。
ほんの少し物音を立てるだけでもすぐ逃げてしまうので、けっこう難しいんですよね。




どうにかカメラには収めたものの、150ミリ(35ミリ換算300ミリ)じゃ、やっぱり足りません。
距離も遠すぎたので、ピントが枝に合っていたり、ブレていたり、暗すぎたり・・・。
かといって、極端にプラス補正すれば、今度はノイズが浮き出てくるし・・・。




弄れば弄るほどボロが出るばかりなので、あまり気が長いとは言えない私はついついやけくそに
なり、トーンカーブで遊ぶことにしました。最初は真面目にやっていたのだけど、偶然、手元が狂い、
ラインをとんでもない形に曲げてしまったらアラ不思議。写真が水彩画もどきに早変わりです。

それで面白くなり、どうせ箸にも棒にもかからない写真なら・・・と大変身させることにしました。
そんな風にしてできたのが今回の写真。3枚目は水彩画より版画に近いかも。ちなみにどの画像も
トリミングしています。ノイズは紙面の凸凹だと思えばそれほど気に・・・なりますよね、やっぱり(笑)

白の愛

2008-02-20 | Weblog

一昨日、テレビでキェシロフスキの「白」(邦題「白の愛」)を見る機会がありました。
三部作「トリコロール」の二番目の作品で、純粋なフランス映画として作られた一作目の「青の愛」
とラストの「赤の愛」が美貌の女性(青:ジュリエット・ビノシュ / 赤:イレーヌ・ジャコブ)を主役に、
神秘的な映像と音楽で、どことなく幻想的な雰囲気を漂わせるのに対し、「白の愛」は、レトロ調の
物悲しいタンゴを背景に、妻に捨てられたさえない男(ズビグニェフ・ザマホフスキ)が主役を演じる
哀愁の漂うポーランドコメディー(台詞は一部フランス語)。

日本では「ふたりのベロニカ」のような感性に訴える作品が有名ですが、私はこの監督のコメディー
が大好き。なかでもお気に入りがこの「白」で何度見てもあきません。一度目はクラクフ、二度目は
東京、三度目はパリ、そして今回が4度目ですが、笑わせながらもホロリとさせるところは、日本の
昔の映画に共通するところがあるかもしれません。

俳優陣がまたすごいです。
主役のカロル・カロルを演じているザマホフスキとお兄さん役のイエジー・シュトゥールは、同監督の
「十戒」最後を飾る、シリーズ中唯一の喜劇、「隣人の家を貪るな」にも兄弟役で出演しているのです
が、頼りないけど憎めない男という役柄を演じて彼らの右に出る俳優は、なかなかいないんじゃない
でしょうか。ちょっとした目の表情やしぐさだけで、役の内面を見事に演じきってしまうんですよね。




もっともポーランドの男性は、気は優しいけど頼りにならず、結局は奥さんの尻に敷かれっ放し・・・
という情けないタイプがほとんどなので、彼らの場合も、地なのか演技なのかわからない部分はある
のですが・・・(笑)

ザマホフスキ演じるカロルは、「主役」というのが可愛そうなくらい踏んだり蹴ったりの辛酸を舐めます
が、その皮切りが、パリ在住時、「妻を満足させられない」という理由で突きつけられた三行半。

裁判は、フランス人である相手側の言い分が通って敗北。鍵を取り上げられ、家からも追い出され、
唯一の頼みの綱であるキャッシュカードは無効・・・。

やむを得ず、パリの地下鉄駅で、櫛を楽器代わりに侘し気なタンゴを演奏していた時、通りがかりの
人物にポーランド語で話しかけられます。「何でポーランド人だとわかった?」と訝しげに聞くカロルに、
その男性は「その歌を知っているから」と答え、結局、カロルは、自らの死を望むとある男性の殺害を
条件に、この男の助けで、トランクに身を潜めて帰国することになるのですが・・・。

この監督には人を食ったところがあって、自作映画の中で、架空の作曲家ブーデンマイヤーの音楽を
「紹介」し、観客を翻弄(「続き」が聞きたいばかりに「オリジナル」を求めて音楽資料館を訪ね回った
友人もいました)していますが、これほどではないと言え、「白」にもこの手の遊びが入っています。




カロルが「演奏」しているのは「最後の日曜日」という戦前の流行歌で、奥さんに捨てられた男性を
歌った曲。離婚を迫る妻に、夫が「もう一度だけ一緒に休日を過ごさせてほしい」と哀願するのです
が、映画に出てくるメロディーは、この曲のさびの部分。この部分は、「これが最後の日曜日~今日、
僕らは別れる~僕らは別れる~この先ずっと~」という歌詞で始まり、この映画の主人公にぴったり
の内容なんですよね。この歌のことを教えてくれたのはE嬢ですが、歌詞を知った時は、「ヤラレタ!」
と膝をたたいてしまいました。

ちなみに、カロルは腕のいい美容師という設定。
櫛の演奏は、ザマホフスキ自身の特技でもあるそうです。

この男性、ミコワイ(ヤヌシュ・ガヨス)の手引きでポーランドに「密輸」されたカロルは、トランクの巨大
さのせいで泥棒の目に留まり、盗難の憂き目にあうのですが、その同じ頃、ミコワイが手荷物相談所
で交わす会話も大ボケ。

ミコワイ「これでパリからの荷物は全部かね」
職員「そうですが・・・」
ミコワイ「実はトランクを紛失したようなんだが・・・」
職員「中身は何ですか」
ミコワイ「私物だよ」
職員「75キロも?」
ミコワイ「実を言うと友達がひとり入ってる・・・」




その頃、カロルは、中から出てきた「荷物」に失望したギャングに丘から突き落とされ、血まみれで
立ち上がるのですが、その第一声が、「ようやく我が家に帰ったぞー!」

ここから舞台はポーランドになり、美容院を経営する兄、そしてミコワイとの再会。
ひょんなことからある秘密情報を手に入れたことで、土地転がしに成功し、大富豪に・・・。

この大金を元手に、カロルは策略を用い、別れた妻を呼び寄せて、彼女の気持ちを確かめようとします。
この辺のストーリーを書いてしまうとつまらないので省きますが、映画の導入部で、外国人であるカロル
が受けたのと同じ状況を、ラストでは、フランス人である妻が味わうことになります。ちなみに、この作品
のテーマは「平等」。

ラストシーンがまたいいのですが、これも内緒。
興味のある方は見てみてください。

フランス語のサイトで映画評を見たら、「内容はいいけど、主演男優がブ男すぎ!」という批評が載って
いました(笑)「俳優女優=美男美女」と言う考え方が存在しない国なので、この辺りのギャップは仕方
ありませんね。あちらではあくまでも演技力中心。ポーランドは昔から「美人国」として有名ですが、美人
女優は少ない気がします。(「美男国」ではありません。念のため)

白とび特集

2008-02-17 | Weblog

このところ、パソコン関係の記事が続きましたが、たくさんのコメント、ありがとうございました。
この方面に関してはまったくなので、皆さんのアドバイス、本当にありがたかったです。




ちょっと日があいてしまいましたが、パソコンの調子が悪かったせいではなく、軽い鬱状態に陥って
いたせい。季節の変わり目のせいか、中途半端な気温のせいか、春先になると、時々、意味もなく
落ち込むんですよね。鬱と言っても、それほど大したことはなく、筆が進まなくなる、面白い話題が
浮かばなくなる・・・という程度(笑)俗に言う「ふさぎの虫」という奴です。




と言うわけで、ちょっとネタ切れなので、突然ですが、白とびの話。
デジカメを使うようになってから、「白とび」がものすごく気になるようになりました。印刷を前提にして
いないので、「黒つぶれ」はそれほどでもないのだけど、画面に「白とび警告」がでると、それだけで
飛び上がってしまうような・・・。RAWで撮るようになったこと、ヒストグラムをかじったことが、この傾向
にますます拍車をかけたようです。




撮影時も現像時も目が行くのはヒストグラムの両端ばかり。
グラフとにらめっこしながら露出やコントラストを変え、形がつけばOK、と言うやり方を続けていたの
ですが、「白とび黒つぶれなし=いい写真」ではない・・・ということがようやくわかってきました。




RAWで飛んでいる部分を一生懸命修正して、出来上がったJPEGを見たら、何の面白みもない画像
に変わってるなんて事がよくあったので・・・。




・・・というわけで、今回はわざと白とびだらけの写真をアップしたのですが、いかがでしょうか。
これはこれで味があるような気がするのだけど、単なる自己満足かな(汗)

落着せず

2008-02-13 | Weblog

一件落着・・・と書きましたが、と言うか、一時はすべて解決していたのですが、私の軽薄な行動の
せいでまたまたとんでもないことになってしまいました。

最近、DVDの問題について読んだので、やっぱり印刷しておいた方がいいのかなと思い、フォトブック
関係のサイトを探したのですが、その中に、ソフトを無料インストールでき、自分で紙面をアレンジして
注文・・・というのがあって、「インストールは簡単。パソコンを傷めるようなこともなく、ADSLならわずか
数分でOK」と出ていたので、ついついその気になってインストールを始めたものの失敗。

結局、パソコンの強制終了を強いられたため、不安になり、その後、以前のポイントに戻そうとしたら、
システムの修復ができない・・・(涙)

気を取り直し、いったい何が起こったのか、順を追って書いてみます。




推奨ポイントあるいは選択ポイントを選び、修復しようとすると、
「ローカルディスク(C)上のファイルシステムが壊れていることが検出されました。
復元する前にディスクのエラーを確認してください」
というメッセージが出ます。

そんな殺生な・・・と思いつつ、
「ディスクのエラーを確認します」を選ぶと、

「ファイルエラーを自動的に修復する」
と言う項目にチェックの入った画面が出るので、「OK」をクリック。

すると今度は、
「ディスク使用中にそのディスクを検査できません。次の起動時にハードディスクのエラー
を検査しますか」
と言う表示が・・・。




選べる項目は、「ディスク検査のスケジュール」か「キャンセル」のみなので、ひとつ目を選ぶと、
何の応答もなく画面が消えて終わり。再起動しても状態は変わらず、同じメッセージが冷ややかに
繰り返されるばかり・・・。

今のとこ、ちゃんと動いているので、そのままにしてありますが、これまで「どらえもんのポケット」の
ように、ちょっと問題があるたびにシステム修復に頼ってたので、なんだかすごく頼りない気分です。
OSが悪いのか、運が悪いのか、使い方が悪いのか、ただ単に馬が合わないだけなのか・・・

ウィルスが処理できません(泣)

2008-02-12 | Weblog

・・・とちょっとショッキングな題名にしてみましたが、幸い解決済みです。(今のとこ)

アンチウィルスソフトとして「ウィルスバスター2007」を使っていたのですが、最近、異変続きでした。
このソフト、去年の夏、日本でPCを購入した際、安くサービスしてもらったもの。

これまでは特に問題なく動いていたのですが、ここ一週間ほど、ちゃんとアップデートしてるのに、
「ウィルスバスター2007が最新の状態ではありません」と言う警告がでるようになりました。

それなのに、ウィルスバスター側は、「最新バージョンです」の一点張り。
それだけでなく、パソコンを起動するたびに、「PcScnSrv.exeに問題が起きて云々」の表示が
出る、心配になって手動でウィルス検索しようとすれば、今度は、「ウィルスが処理できません」
というメッセージが出続けて収拾がつかなくなる、と言う具合で、なんとも穏やかじゃありません。

これはついにウィルスにやられたか・・・と青くなってネット検索すると、似たような症状に悩んでる
人は私だけじゃないことが判明。解決策として出ていた修正プログラムをインストールしてみました
が効き目なし。

(蛇足ですが、このプログラム、昨日まではちゃんとあったのに、今日、調べたら、なくなってました。
2008年版が出たせいなのかな?)




このソフト、「お持ちのパソコン三台までOK」と謳っていますが、要は、三回以上のインストールは
不可、ということ。

私のPCは、買ってからまだ半年もたたないのに、すでに2回リカバリーしていて、このソフトもその
たびに再インストールしているので、これまでですでに三台目(=三度目)。

再度インストールすることになれば、再購入が必要になるけど、これではとても信用できないので、
すっぱり諦め、他社のを探すことにしました。

それで、偶然、見つけたのが、Avasti Antivirusという無料ソフト。
無料と言うことでちょっと不安だったけど、このブログを読む限りでは大丈夫そうかな・・・なんて。
ちょっと情報が古すぎるけど(汗)

ヴィスタは対応機種に入ってないようでしたが、インストールしてみたところ、問題なく動きました。
気のせいか、パソコンの動作も前より軽快になったような・・・。全ディスクのウィルス検索をしてみた
ところ、とりあえず問題なし。その後も定期的に、検索とアップデートをしてくれているようです。

無料ソフトとは言え、14ヶ月(60日間のお試し期間含む)ごとにユーザー登録が必要。
日本語バージョンはもちろん、かなりマイナーな言語もすべて揃っている上、インターフェース言語が
追加できるのもいいですね。

うちの相棒のパソコンには、海賊版もどきの無料OSがインストールしてあるのですが、聞くとウィルス
対策を何もしてないとか。私に輪をかけてPCに疎い彼は、大学のコンピューター技師に任せっ放し。
いくらなんでもアンチウィルスソフトが何も入ってないというのは危なすぎるので、このソフトの仏語版
をインストールするのもいいかもしれないと思いました。例え無料ソフトでも、何も入れないよりはマシ
ですよね。たぶん・・・(汗)

帰ってきました!

2008-02-11 | Weblog

ようやくE400が帰ってきました。
一ヶ月間、長かった~。

どうしてこんなにかかったのか聞いてみたら、何のことはない。
1月25日以降、受け取り可能ではなく、早くても2週間、つまり、早ければ25日に受け取れるけど、
詳細はオリンパスからの電話で確認してね・・・ということだったらしい。

幸い、故障その他の問題はなかったようで、結局、掃除だけで一月かかったということらしいです。
悠長だなあ・・・。まあ、無事、帰ってきたからいいけど。

液晶シートがはがされてしまったので、新しいのを購入しないと・・・。
こっちで売っているの、あまり見たことない気がするんだけど、いくらLVがないとは言え、むき出し
のままじゃ、傷つきそうだしなぁ。

せっかくきれいになったので、年末、買っておいたKPS(韓国製)のマグニファイヤーアイピース、 
U-13Cをつけて見ました。これで、ファインダー像が1.3倍になるはずなのですが・・・。

私はド近眼なので、とにかく大きく見えればいいや、と軽い気持ちで購入したのですが、つけると
視度がかなりマイナスになるので、ほんの少しだけ視度調整したら、なんと裸眼でピント合わせが
できるようになってしまいました。信じられない・・・。




・・・と言うことは、写真を撮るたびに眼鏡を外さなければならない+完全に私用化してしまったと言う
ことでもあるのだけど・・・。目が悪いことではうちの相棒もいい勝負(私よりさらに悪い)ですが、これ
までは、眼鏡の方に視度を合わせてあったから共同で使えたけど、今は私の視力に合ってしまって
いるわけだから、他の人に撮ってもらう時はちょっと面倒かも。

旅行の時とかは、眼鏡に合わせる方が合理的だと思うけど、やっぱり裸眼で見えるのは気持ちいい
ですね。ファインダー像が大きくなった以上に、こっちの方がうれしかったりして・・・。

単に像が大きくなっただけなら、慣れると同時に、ありがたみも薄れてしまうけれど、裸眼で蹴られず
にはっきり見えるのは感動もの。ファインダーの隅々まではっきり見えます。

帰還後の勇姿をさっそく写真に収めたのはいいけど、掃除したばかりなのに、もうアイピースに誇り、
じゃなくて埃が・・・。このところ空気が乾燥しているせいか、周り中、静電気だらけ。ちょっと、触れた
だけで、すぐ指先に電気が流れるので、最近、物に触れるのが怖かったりします。


【追記】

裸眼なら、蹴られもなくよく見える云々・・・と書きましたが、ホトボリが冷めたところで、もう一度
調べてみたところ、やっぱり四方の蹴られはあるようです。見心地がよすぎて、つい見過ごして
しまっていたようですね。視点を真ん中に据え、周辺を見るというやり方なら、ファインダー像が
大きいせいで、それほど気になりません。ファインダー情報を見るには、目玉を右側へ少し寄せ
なければなりませんが、データの文字はくっきりとよく見えます。 
(2008/02/12)

仏蘭西的ジャポニズム

2008-02-09 | Weblog
今回は映画の話。
ポジティブな映画評ではないので、この映画がお好きな方は無視して下さい。
それでも敢えて読まれた方、気を悪くされたらすみません。


今日の午後、アラン・レネ監督の「広島、わが愛」を見てきました。1958年の作品です。
今回、この映画が、地元の映画館で上映されることになったのは、バカロレアの課題に選ばれた
からだとか・・・。そのせいで、館内には高校生がたくさんいました。




欧米人の和風映画は苦手なのですが、制作スタッフに日本人の名も幾つか見えたため、ついつい
足を向けてしまいました。

その結果は、私のフランス語能力の決如を勘定に入れたとしても、メロドラマが安物のコメディーに
摩り替わってしまったような按配。原作はマルグリット・リュラスと言うことでしたが、今日、聞いた
話では、「広島」をテーマにして映画を作ると言う企画が先にあり、脚本は後から用意されたそう。

脚本家の候補としてサガンとボーボワールが挙げられたものの、双方が断わったため、アジア人と
恋愛経験があると言う理由で、リュラスにお鉢が回ってきたとか。同じアジア人とは言え、日本人と
中国人って、性格的にかなり異なりますよね。

この映画、日本の俳優が主役を演じているのですが、これがもう、アジア人の皮をかぶった西欧人と
いった代物。舞台が欧州ならともかく、1950年代の広島では、不自然なことこの上ありません。

私の場合、文化的背景や演技に信憑性がないと物語に入っていけないところがあるので、この時点
ですでに興ざめでした。

フランス語の台詞には目をつぶるとして、日本語の部分、もう少しどうにかならなかったんでしょうか。
あれだけ日本人スタッフがいながら、どうしてあんなに不自然な台本が書けたのか不思議です。
不幸中の幸いなのは、日本語のシーンがほとんどないことですね。

例えば、広島駅構内の待合室ベンチで交わされる会話。
向かって左脇にヒロインのフランス人女性、右隣には小柄な老婆、そのまた右隣には、主役の日本
人男性が座っているのですが、老婆はいかにも物珍し気にフランス人女性を見つめ、その後、女性
の知り合いである日本人男性にも同じ視線を向けます。

これがエキストラならすごいと思うほど、しぐさと表情が自然で、つい見とれていたら、なんと台詞つき。
素朴で可愛いお婆ちゃん。おまけに、ここは広島。人情味豊かで温かみのある言葉を期待していた
のに、耳元に入ってきた会話は・・・




老婆:「あの人はどこの人ですか。」
日本人:「フランス人です。」
老婆:「あの人、どうしたんですか。病気なんですか。」
日本人:「あの人は国へ帰るんです。僕たちは愛し合っているので、別れるのが辛いんです。」

これには唖然・・・。
大体、1950年代の広島で、それも、かなり年のいったお婆さんを相手に、「僕たちは愛し合って
いるので・・・」なんて言葉をしゃあしゃあと吐けるような無神経な日本人男性がいるでしょうか。

お婆ちゃんだって、普通なら、「あそこの外人さん」とか、たぶん、そんな言い方をしますよね。
もし、「ガイジン」と言う言葉に語弊があるのなら、「あそこにいる外国の方」でもいいと思う。

何が書きたかったかというと、日本人を出演させるのなら、書き言葉ではなく、話し言葉の日本語
をしゃべらせて欲しいということ。映画は教科書の朗読と違うんだから・・・。


驚いたのは会話だけじゃありませんでした。

まずは反戦デモのシーンから。
大伸ばしにした被爆者の写真を掲げて行進するのですが、厳粛な場面だというのに、バックには
陽気なお祭の音楽に踊り。おまけに、デモ参加者が、「わっしょい、わっしょい」という掛け声と共
に走り去っていきます。

お次は、カップルがカフェで顔を近づけて話し合う場面。
古い恋の話を打ち明けながら、ヒロインが感極まり、心を乱すシーンがあるのですが、そこで日本人
がやおら立ち上がり、恋人の頬を、バシッ、バシッと平手打ち。戦争映画の戦友同士じゃあるまいし、
いくら日本でも、女性(それも恋人)に往復ビンタを食らわせるようなことはしないと思うのですが・・・。




お陰でついには、不覚にも笑ってしまいましたが、背後の高校生の輪からも笑い声が聞こえました。
これが卒業試験の課題だという彼らに同情します。

終演後、映画館のおばさんに、「泣けたでしょ」と言われたので、申し訳ないと思いつつ、率直な感想
を述べると、「確かに、日本人から見て変だという部分はあるかもしれないわね」と頷いていました。
おばさん、ごめんね。


悪口ばかり書き連ねてしまったけれど・・・

この映画の一番の見所は、冒頭に流れる広島の被爆者の映像。
この監督が、まだ駆け出しの時代、ドキュメンタリー映画で名を挙げたと言うのも頷けます。
あまりに惨たらしくて、直視するのが辛いのですが・・・。

ただ、この映像があるからこそ、安易なラブストーリーにはつなげて欲しくなかったなぁという気持ちが
あるんですよね。かなり乱暴な評価だと言うのは承知の上で。ヒロインとドイツ兵との悲恋、その後に
受けた心の傷・・・など、思い入れがあるのはわかるのですが、あの映像と比較してしまうと、大抵の
悲劇は色あせます。


【追記】
この映画の邦題は「24時間の情事」というそうです。
ここのサイトで、私の上っ面な批判とはまったく違う見事な改題がなされているので、興味の
ある方はどうぞ。主役の日本人は、「砂の女」で岸田今日子と競演した俳優だそうです。

ああ勘違い

2008-02-08 | Weblog

今週の火曜日のことです。
相棒が私のところに来て、「ゴメン、今日、間違えて、君のを持っていっちゃったみたいなんだ」と
私の携帯を差し出しました。「留守電にメッセージも入ってるみたいだから、調べた方がいいよ」
と相棒。確かに「伝言あり」のマークがついています。

メッセージは、ポーランド語を教わっているE嬢からで、「水曜日は大丈夫?」という短いもの。

『そう言えば、先週会った時、E嬢が、日本語を習いたがっている知り合いがいるから会わせたい
という話をしていたな。水曜日辺りという話だったけど、あれは来週になったんじゃなかったっけ。
先方の予定が変わったのか、それとも、用心深いE嬢のことだから、来週の事を聞いてるのかな。』

私は思いを巡らし、もし明日なら、先方にも報告しないといけないだろうし・・・と、大至急、E嬢に
メールを送りました。(ちなみに彼女は携帯を持っていません。)

「明日、OKです。来週の水曜日もOKです。もし明日なら、待ち合わせ場所を知らせて下さい。」




それでもどうにも落ち着かず、思い余ってE嬢のうちに電話しました。
火曜日は授業があると言っていたので、終わる頃を見計らい、夜9時過ぎにかけたのですが・・・

受話器から聞こえてきたE嬢の声は、聞くも無残なガラガラ声。
考えてみれば、先週、会った時、すでにその前兆はあったんですよね。
授業中もしきりにせきをしていたし・・・。この状態で話をさせるのはあまりに残酷なので、

「私が一方的に話すから、一言(あるいは「はい」か「いいえ」)で答えて。3人で会うのは明日?
来週?」と聞くと、「来週」と一言。

「わかった。もう話さなくていいから。お大事に。金曜の授業だけど、木曜日、こっちから確認の電話
いれるよ。そうすれば、声聞いただけで状況がわかるでしょ。だから、今日はよく休んでね。」

そう言って電話を切ったのですが、翌朝、新着メールをチェックすると、E嬢からのメールが・・・。




「実を言うとね、昨日、あなたから、「水曜日の確認」電話が来た時、すごくびっくりしたのよ。その時、
思ったんだけど、留守電に残っていた伝言って、年末、21日の授業のことで私が残した伝言じゃない
かしら。録音日時を調べてみて。」

それで思い出しました。
昨年、クリスマス休暇の前に、「実は木曜日からバカンスに出かけることになりそうなんだ。だから、
21日の金曜日はちょっと無理かも・・・」とE嬢に話した時、彼女がすぐさま、「今なら大学も冬休みで
授業がないし、金曜が無理なら水曜でもいいわよ」と言ってくれたことを・・・。

今回、私が聞いた留守電は、この19日の授業の確認電話だったわけです。
E嬢もさぞかし驚いたことでしょうね。

でも、それならなぜ、携帯に新着メッセージのマークがついていたのか・・・。 うーん、謎だ。




ちなみに、今回の写真は、引き続きブルゴーニュ(Beaune)のものですが、ここに出てくるE嬢と、週末、
お世話になったE嬢はまったくの別人。紛らわしくて申し訳ないです。

予定通り行けば、明日はいよいよ、E400の退院日。実を言うと、この日は祖母の一周忌でもあります。
初孫+おばあちゃん子だったせいもあって、これが単なる偶然だとは思いたくなかったりして・・・。
新しく生まれ変わったE400と一緒におばあちゃんが帰ってきた!と信じたかったりするんですが、あまり
に迷信臭いかなあ・・・

ブルゴーニュ散策

2008-02-04 | Weblog

週末(2/2-2/3)、ブルゴーニュのDijonへ行ってきました。今回は、相棒抜きの一人旅。
訪問先は、以前、一緒にカルチエラタン探しをしたE嬢です。

Dijonの高校と大学でポーランド語を教えていて、今なら高校が冬休み中で、少し時間がとれる
と言うことなので、お言葉に甘え、遊びに行くことにしました。

話があったのは年明けすぐのこと。
ポーランドに里帰り中だった彼女に、クリスマスメールの中で「今度、会おうね」と書いたら、帰省
後すぐ、連絡をくれました。二月まで待ったのは、E400を連れて行きたかったからなのに・・・
と言うわけで、結局、旅のお供はFZ5。

口から先に生まれた私よりさらに口の回るE嬢のこと。
今回も旅行よりおしゃべりが中心になるだろうと予想してはいましたが、まさにその通り。
花より団子、史跡よりジョーク、食事中、ティータイムの間、散策しながら、ドライブのさなか・・・。
寝ている間とトイレを除き、会話が絶えることはありませんでした。




「ポーランド語でこんなにしゃべったのって、クリスマス以来のような気がするなあ。学生相手だと、
やっぱり話題や語彙に気ー使うもんね~。」別れ際にE嬢がポツリ。私も久しぶりに言いたい放題
しゃべりまくり、大満足。最近、忘れかけているとは言え、フランス語よりはまだかなり楽なようです。
お陰で今朝は喉が痛い・・・。

彼女は高校の寮(Internat)に住んでいるのですが、この高校、屈指のエリート校で、寮内の規則も
ヘッセの「車輪の下」なみだそう。ブザーみたいな音が聞こえたので、不思議に思い、聞いてみると、

「ああ、あれ?日課用のベルよ。私はもう慣れちゃったけど、この寮、統制が厳しくてさ。食事から
入浴からすべて時間が決まってるのよね。無料で住まわせてもらってるし、幸い私は教師だから、
好き勝手に生活できるけど、学生は大変よ~。私と違って門の鍵ももらえないから、門限に遅れたり
したらもう大変。ここの卒業生は出世する子が多いらしいけど、ここでの生活が身につけば、どんな
生活でも耐えられると思うわ。」

そう言って、この学校の日課を説明してくれたのですが・・・




●朝8時には寮を出て、校内で待機すること。
●授業は必ずしも8時に始まるわけではないが、寮は施錠されているため、帰宅は無理。
●お昼は校内の食堂で12時ぴったりにとる。
●帰宅は6時。習い事などで遅れる場合は寮長に前もって報告。寮の門も6時に施錠。
●コンサートや観劇は校内で企画されたもののみ。
●シャワーは共同。夕食後の1時間半で、全員が入浴を終えねばならない。 
●10時半就寝。

とまるで軍隊か修道院生活のような日課をこなし、週末は家族のもとへ帰宅するそう。
ポーランド人の学生も二人いて、E嬢が話を聞いたところ、外国人学生は、週末、フランス人の家庭で
ホームステイができるのだけど、その前に、色々な注意事項が書かれた分厚い冊子が渡されるとか。

ちなみにこの女の子、E嬢のところでシャワーを浴びながら、「好きなときに入浴できるっていいねぇ」
とため息をついていたそう。エリート校ってどこも大変なんですね。




「忘れ物に気づいたときとかはどうするの?」と聞くと、「打つ手なしよ。そのお陰で、出かける前に
ちゃんと点検する習慣が培われるというわけ。」

「でもまだ高校生なんだし、友達とロックコンサートに行ったり、夜、寮でドンチャン騒ぎしたいと思う
こともあるんじゃない?」

「ここの子達は、そんな「馬鹿くさい」ことはしないのよ。6時に帰宅して、夕食と入浴を済ませたら、
あとは10時半までひたすら勉強。」

「反対運動とかはないわけ?」

「あるはずないじゃない。校風にそぐわない子がいれば即退学。「高校なんて腐るほどあるんだから、
気に入らないなら他校へ行ってください」と言われて終わりよ。」




とは言っても、勉強するだけしか能がないガリ勉タイプばかりではなく、機転が利き、ユーモアの
センスがある子も多いとか。

「生徒の一人が夏休みをポーランドで過ごしたらしいの。そこで会ったポーランド人が、「俺の娘は
3歳だけど、お前よりポーランド語がうまいぞ」って自慢したんですって。それでその子、「娘さんは
もう3年もポーランドにいるんでしょ。僕はまだ3ヶ月ですよ。娘さんの方がうまいのは当然じゃない
ですか。3年も住めば、僕だって立派にポーランド語が話せるようになります」と切り返して、見事
に応酬したらしいわ。」

これには笑ってしまいました。




教師生活20年というベテランのE嬢は、文系と理系の違いについても話してくれました。

「実を言うと私、これまで理系クラスって教えたことなかったの。今回、初めて教える機会ができた
んだけど、もうびっくり。だってあまりに反応の仕方が違うんだもの。例えば、「奇跡」というテーマ
で授業をするとするじゃない。これが文系だと「奇跡が人々の生活に与えた意味と役割は?」とか、
「このような概念の根底にはどのような思想が潜んでいるのか?」とか、私でも想像できるような
ことを言うわけよ。ところが、理系の場合、もう頭の構造からしてぜんぜん違う。「どのような科学的
検証を経た上で、「奇跡」とみなされたのか?」とか「どのような過程を経て「生成」されたのか?」
とか・・・。カルチャーショック以外の何物でもなかったわ。」

この話はよくわかる。数学者であるうちの相棒と話をすると、似たようなズレがあるものなあ。
以前、フランス語の教科書に載っていた「朝六時。外は雪。お日様は顔を出したのに、フランソワ
はまだ寝ています」という文章を読んだ時も、「冬の朝六時に太陽が見えるわけがない」と文句を
言っていたし・・・。

E嬢にその話をすると、「でしょ。私にも純理系の友達がいるけど、一緒に映画に行くと、スクリーン
の風景をひとつひとつ科学的に分析するのよね。例えば「太陽が正面から射しているのに、登場
人物の背景に影がないのはおかしい」とか・・・。」




そして最後はお決まりの政治の話。
日本同様、ポーランドも混迷が続いています。

「この前の議員選挙、行ったわよ。初めての国外投票だったけど。このままの状態が続くのだけは
勘弁して欲しいもの。本当、あのろくでなしのカチンスキ(大統領)、恥ずかしいったらありゃしないわ。
お陰でEUでももの笑いの種。これまで選挙なんてろくに行ったことなかったけど、今回だけは別よ。
在英ポーランド人の選挙の模様も見たけど、ものすごい行列。カ氏の功労と言えば、選挙の投票率
を上げたことと、最近、ネタ切れだった政治的ジョークを活性化したことくらいじゃないかしら。」

と、こんな調子で、この二日間、胡椒のきいたポーランド的会話をたっぷりと堪能しました。


滞在中、ブルゴーニュの代表的な街、Dijon、Beauneを訪れたのですが、このところ、紀行文ばかり
だったので今回は割愛。どちらも、もの静かで趣のあるいい街でした。パリより居心地いいかも・・・。

田舎コンサート

2008-02-01 | Weblog

先月の29日、フランス・クリダのピアノコンサートがありました。
開演は夜8時半。場所は、地元で唯一の映画館兼コンサートホール(もどき)です。

フランス・クリダは、ブダペストで行われるフランツ・リストコンクールで、1956年、優勝したことから、
リスト弾きとして一躍有名になったヴィルトゥオーゾ型の女性ピアニスト。日本でも有名で、私がまだ
子供だった頃から、彼女のアルバムをよく見かけました。オードリー・ヘップバーンを思わせる細い
ラインのドレスを着た彼女の写真がレコードジャケットに印刷されていたのを、今でも覚えています。

すでに70歳を超え、かなり貫禄がつきましたが、往年のテクニックはそのまま。
プログラムには、一番きれいだった頃の写真が載せられていて、やっぱり女性だなあと思いました。

いくら田舎でも、これはないんじゃないかと思うくらい杜撰なオーガナイゼーションだったのですが、
大物ピアニストだけあって、慌てず騒がず。



最初の問題は椅子。高さが合わなかったらしく、よこのつまみを回して調整しようとしたのですが、
このつまみが固まっていたらしく、いくら頑張っても回らない。しまいには、最前列に座っていた
おじさん(係員の一人?)がステージに出て手伝ったのですが、ぜんぜん駄目。

係りの人は、のんびりした口調で、「予備がございますので、少々、お待ちを・・・。」
こういうのって、普通は、開演前にチェックしておくものじゃないでしょうか。

クリダは、「じゃあ、新しい椅子が来るまで、今日のプログラムの説明でもしましょうか」と余裕綽々。
その日のプログラムの主役、ショパンとリストが愛用したピアノブランド(ショパンはプレイエル、リスト
はエラール)の話を始め、ショパンの祖国へのノスタルジーの話になった時、椅子が到着。

十八番のリストについて聞くことができなかったのがちょっと残念でしたが、その落ち着いた口ぶり
を聞く限りでは、演奏家としてのみではなく、教師としても有能な人という印象を受けました。
パリのエコール・ド・ノルマルで教鞭をとっているようです。



椅子の問題は解決したものの、これで一件落着・・・と言うわけには行きませんでした。最初の曲を
弾き終えてすぐ、今度は、「悪いけど、上のライト、真上のだけでいいから消してもらえないかしら。
手元が陰になって、弾き辛いったらありゃしない。」

さっきと同じ係員がゆったりと立ち上がり、「照明係に合図を送ります。彼、上にいるので、今しばらく
お待ちを・・・。」「困ったわね・・・」とクリダさんも呆れ顔。

「この体たらくじゃぁ、ここで演奏してくれるのも最初で最後だな・・・」なんて想像していたのですが、
2度のトラブルにもめげず、一部、二部と見事に弾き通したのはさすがでした。アンコールも四曲、と
これまた大盤振る舞い。



プログラムの第一部はショパン、第二部はリストで、超絶技巧の難曲ばかり。
ショパンに至っては、「マズルカ」四曲、五番の「ポロネーズ」「葬送行進曲つきソナタ」とポーランド的
な曲が勢揃いでした。外国のピアニストは、ノクターン、ワルツ、即興曲など、フランス的なものを選ぶ
ことが多いのに。ポロネーズの5番は、表題つきの「英雄」や「軍隊」ほどポピュラーではないけれど、
すごく評価の高い曲。ポロネーズの中間部にマズルカが入るという二重にポーランド的な曲で、技術
的にもかなりの難曲です。

リストはもともと自らの技巧を宣伝するために作ったような曲が多いのですが、クリダはその中でも
特に難易度の高い曲を選んだという感じでした。十八番だけあって、ただ技術をひけらかすだけでは
なく、音楽的にも程度の高い演奏だったけど、ショパンの後にリストを聴くと野暮ったさは否めません。
「オレ、こんなに難しいのが弾けるんだぞ」というのが、パッセージの間から見え見えなんですよね。

コンサート以上にびっくりさせられたのがアンコール曲。
あれだけ難曲が続いたにもかかわらず、ファリャの「火祭りの踊り」、リストの「巡礼の年」から一曲、
ショパンのマズルカを一曲、メンデルスゾーン(だと思う)の小品を、どこにこれほどの力があるのか
不思議に思うほどのエネルギーで弾ききりました。



演奏会後の親善パーティーに来ていた日本人の知り合いが面白いことを教えてくれました。
以前、同じ場所で、近日完成予定のメディアテックを記念したパーティーがあったそうなのですが、
お開きの後、貫禄のある女性がおもむろに出てきて、ステージにあったピアノを弾き始めたそうです。

素人にしてはあまりにうまいので、思わず聴き入ってしまったそうですが、その時は誰だかわからな
かったそう。今回、クリダの名前すら知らないまま、このコンサートに来たら、その時の女性が舞台に
上がってくるのでびっくりしたとか・・・。「あの時はきっと、お忍びでパーティーに来てたのね」というの
が彼女の弁。ちなみに、この時もコンサートがあったらしいのですが、アマチュアに毛が生えた程度
で、クリダの演奏の足元にも及ばなかったそうです。

性懲りもなく、また長々と書いてしまいました。