シリーズ最終回の今日は「情報通信」(テレグラフ)の話。
猫も杓子も携帯電話を持つ今の世の中にはとても想像できませんが、電話というものがまだ存在
しなかった時代、遠方の人と伝達し合える唯一の手段が、この「テレグラフ」だったんですね。
【シャップの腕木式通信機器】
この分野のさきがけとなったのは、1791年、両腕を横に広げたような「腕木式」の通信機器を発明
したフランスのクロード・シャップ。
通信には時代の古い順に「光学系」「電気系」「無線系」の3タイプがあって、最古の通信機器である
シャップの「腕木式通信機器」は「光学系」に分類されます。その理由は、高い塔や柱の上につけた
腕木のポジションを望遠鏡で拡大して読み取ったところから来ているよう。(詳細はコチラ)
↑ シャップの「腕木式通信機器」をモチーフにしたお皿。
教会や修道院の屋根に取り付けられることもよくあったようで、ノルマンディー地方の観光地として
名高いモン・サン・ミッシェル修道院にもこの器具があったそうです。このお皿に描かれているのも
教会で、「サン・ピエール教会、モンマルトル、1818年」という文字が見えます。
↑ これは通信犬(!)シャップの「腕木式」通信機器をくわえています。
せっかく可愛い絵やお皿を見ても、そのカラクリを知らなければどうにもなりません。
ネットで調べてみたところ、この時代の通信は、数字を表す信号で語彙リストのページと行を
指定するという方法だったよう。下の写真はフランス語版ヴィキペディアから拝借したもの。
↑ 数字リスト(向かって右)と語彙リスト(向かって左)
↑ 通信の例
向かって左から、「伝達情報なし」「通信予告」「第一の情報:リストの何ページか」「情報間の間」
「第二の情報:リストの何行目か」
【モースの電気通信】
18世紀半ば、「腕木式」に代わって颯爽と登場したのが アメリカ人モースによる電信技術。
アルファベットの替わりに電信パターン(ツー・トン、ツーツー・トンなど)を組み合わせて相手に伝える
モールス(←モース)信号のデモ装置がありましたが、先客がいたので今回は見送り。
次回はぜひ挑戦したいものです。
通信席の正面に信号のパターンを書いた表が見えましたが、全部覚えるのはかなり大変そう・・・。
(詳しくはコチラをどうぞ)
↑ 電信機器のようですが、機械音痴の私にはお手上げです。
↑ 電信柱をモチーフにした漫画も・・・「柱に耳あり」ですね。
前回の気球便もそうでしたが、今回の通信技術編も、記事を書きながら、当時の人々の熱い思いを
感じずにはいられませんでした。知識がないせいで舌足らずの内容になってしまったのが残念です。
あまり人目に触れない小さな記念館や博物館、立ち寄ってみると意外な発見があるものですね。