タロー8の脳腫瘍闘病記改め 健康長寿の窓口

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

シン・腸活時代 「億万腸者で健康長寿」

2024-06-19 16:31:53 | 日記

 株式会社サイキンソーが提供している腸内細菌相の検査ができるサービスMykinsoの検査キットがネコポスで送られてきました。

 腸活は、20年前辺りから注目され始めた健康ワードですが、ここ数年で遺伝子解析を利用して科学的に腸活できるシン・腸活時代になってきました。

 健康長寿の窓口としては、シン・腸活時代の話をするなら自分の腸内細菌相はどうなの?と前々から思っていたので、税込16,500円も掛かりますが(通常は19,800円、とあるサービスで若干安い)、検査を受けようと思った次第です。

 ※ カルビーがサイキンソーの検査を利用した、検査結果に合ったグラノーラを販売するサービスを9,800円(検査料)で行っています。

 

早速、送られて来た内容を確認です。

  • 採便キット(ID付き、健康診断で使われているものに似ている)
  • 採便用シート(取扱い方法をYouTubeで確認するが、コツが必要)
  • チャック付きポリ袋と返信用封筒
  • ガイドブック(ID、検査の流れと、意事項が記載されている)
  • 検査利用に関する規約・研究に関する説明書

 まず、初めての利用なのでアカウントをWeb登録します。登録すると、検査結果の閲覧、管理栄養士による腸活レシピの提供、電話相談のサービスをうけられるようになります。登録後に質問票の回答をしますが、その際、研究参加の同意も聞かれます。当然ですが、倫理審査委員会の承認の手続きは取られています。参加は自由、撤回可能ですが、申込み時に、研究参加の説明はありませんでした。送られて来た⑤をしっかり読んで理解しておく必要があります。

 質問が50もあり、結構面倒でした。

※ 検査を受けるには、検査利用に関する規約に同意する必要があります。

えっ!検査の申込み時に規約の同意は求められなかったぞ!私は同意しますけど、同意しない場合、料金は返してくれるのか、と申込みサイトを確認したら、利用規約のページにリンクしておりました。もしかすると、購入ボタンをパチる時に訳も分からず同意したのかも(以後、気をつけなければ)。

※ ガイドブックに従って登録後に質問票入力へ進みましたが、採便日時と便の状態の質問があり、登録時に採便はできないよな、改善が必要だ!

 ガイドブックには、抗生剤を服用した際は、1ヶ月前後、2日酔いになるくらいの飲酒後は1日前後空けることなどの採便タイミングの注意点や、キットの取扱い上の注意(使用期限、採便と返送は1週間以内、火気厳禁、保存溶液の廃棄・摂取禁止、子供の手の届くところに置かない)が記載されています。また、夏の暑い時期の郵便の投函は、日中のポスト投函を避け、なるべく直接郵便局へ出すことが必要のようです。検査結果は3~4週間後に分かるということです。へぇ~、結構な時間が掛かるんだ (^^;)。

と言う訳で、今回は、シン・腸活時代って何?を考えてみます。

 その前に一言、サイキンソーさんのHPを含め一般的に細菌そうの”ソウ”は”叢”という漢字が使われていますが、本ブログでは”相”を使います。決して変換ミスではありません。その理由は後程。

 最近の腸活でよく目にするのは、免疫に良い乳酸菌とかよく眠れる乳酸菌とか、先日、バラエティ番組で採り上げられた、やせ菌やデブ菌とか、短鎖脂肪酸とか、具体的な菌種の名前と体への働きとそのメカニズムですよね。これらで言われていることは、「○○に良いとされる菌を食べれば良い」というのではなく、「他の菌とのバランス、多様性が大事」だということです。

 かつては、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と菌種を大雑把に分類して、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすのが腸活と言われてきました。ところが、2007年頃にアメリカのNIHが、 “ヒトマイクロバイオーム(マイクロバイオームとは微生物群・コミュニティのこと)プロジェクト”を開始して、腸内だけでなくヒトの体のあらゆる所に生息する微生物を遺伝子解析したら、1,000種類以上、100兆個を超える微生物が存在し、それらの健康への影響が徐々に分かってきました。その結果、悪玉/善玉と分けるのが難しくなり、善悪ではなく、多様性の重要性が認識されるようになったのです。ヒトの遺伝子は約21,000個と言われていますので、その何百倍もの微生物の遺伝子によって私達は支配されているのです。

 腸だけでなく、口腔内や皮膚にも微生物は棲んでいます。口腔内には700種以上1億~100億個、皮膚には150種以上、10万個、消化器には1,000種以上で、胃には1万個、小腸で1万~1,000万個、大腸では1,000億~100兆個と言われていて、総重量は何と!約1.5kgにもなります。

※ 今でも善玉・悪玉を使ったCMが流れていますが、分かりやすいから仕方ないです。本当は悪玉がいなければ善玉も働かないのですが、そんなの短いCMで説明できる訳がないです。

 どうして、こんなにも沢山の微生物に支配されるようになったのか、6月3日の投稿「コウモリはウイルスを抱いて空を飛ぶ」で書いたように、進化の過程で外敵と持ちつ持たれつの関係を築いてきた免疫寛容というシステムがあるからです。

 微生物相はヒトそれぞれであり、その多様性のバランスが変化して体調に影響してきます。これは、東洋医学の「証」に通じるところがあるのかも知れません。大建中湯や十全大補湯・補中益気湯・黄連解毒湯・葛根湯といった漢方薬が腸内細菌相に影響するなどの論文を見つけることはできたのですが、「証」という広い概念とマイクロバイオームの明確な関係に関するものは見つけることができていません。将来、「マイクロバイオームが証を支配している」なんていう研究が発表されるのを楽しみにしています。

 風邪をひいたから抗生剤を飲んで、てなことをしていると・・・、風邪の原因はウイルスで抗生剤は効かないのに腸内の細菌は死んでしまい、腸内細菌のバランスが崩れて体調が良くならないということになる可能性があります。もちろん、風邪によって弱った咽頭に細菌が感染して咽頭炎になる2次感染を抗生剤は予防する働きがありますが、身体の持っている免疫でも予防は可能です。

 風邪をひいたら無理をせず、ゆっくり体を休めろとよく言われますが、免疫を維持するのに効果的なのでしょう。そう言えば、最近の風邪薬には、ノンカフェインでゆっくり眠るというコンセプトの製品があります。一昔前の「風邪くらいで休んでもらっちゃ困るんだよ」なんてのは通じない時代です。

 怪我をしたら消毒というのも、皮膚の微生物相のバランスを崩すので良くないです。手術や注射の時のアルコール・ポビドンヨード消毒は、皮膚にいる病原菌を一時的に排除するので必要ですが、傷口を消毒すると皮膚に存在する微生物によって抑えられている病原体の侵入を許してしまうことになりかねません。また、傷口には体内の免疫細胞が集まってきますが、その免疫細胞も殺してしまいます。怪我をしたら水で洗い流す、が基本です。もちろん、大量出血するような大怪我では、まずは止血をして早急に救急車を呼びます。

 日本では、マイクロバイオームをターゲットにした創薬研究はあまり進んでないように思いますが、日本医療研究開発機構(AMED)が、腸内マイクロバイオーム制御による次世代創薬技術の開発を進めていて、2026年までの6年計画で取り組んでいるようです。

 ということで、タイトル通り、シン・腸活時代は億万長者ならぬ億万腸者が勝ち、だと思っています。健康情報で、「あれ」が良いと言われると「あれ」に飛びつき、「これ」が良いと言われると「これ」に飛びついて偏るのではなく、運動・食事・睡眠・笑顔をバランス良く生活に取りいれて、微生物達と上手く共存していくことが秘訣なのです。

 そして病気になったら、漢方薬でバランス調整するのが良いのかも知れませんな。但し、重大な病気が隠れている場合があるので、薬を購入する際は、薬剤師・登録販売者にご相談を。

※ 2018年に「あなたの体は9割が細菌」っていう衝撃的なタイトルの書籍が発刊されました。2016年に発刊された「マイクロバイオームの世界」とともにお奨めです。微生物の体への働きの詳細に興味のある方は一読を。

 

 

 

 

 

 

最後に、つい最近の情報を一つ。

「口と胃はつながっているので、口腔内の細菌相は胃の細菌相を反映していて、胃がんの診断に応用できそうだ」というのがあります。これは胃がんになる前の13種類の細菌相が胃がん罹患後の細菌相と似ていることから予防にも繋がる可能性があるとのこと。この研究内容は、学会で発表された段階で正式に認められたものではなく、より大規模な研究が必要とのことです。

サイキンソーのような採便ではなく、唾液で病気のリスクが分かるようになれば良いですね。

【微生物”相”について】

本ブログでマイクロバイオームという聞き慣れない用語を使いました。マイクロバイオームは、人間の体内や体表、さらには生活環境など、あらゆる場所に存在する微生物の集まりを指します。集まりを分類するので「相」を使いました。英語では「microbiota:マイクロバイオータ」」と言います。微生物の多様性と重要性をより適切に表していると思います。

「叢」という表現は、“くさむら”を意味し、かつての分類で細菌を植物に含めていた古い用語です。

また、腸内細菌叢は、腸内にいる細菌が”お花畑”のように見えることから英語で「Flora:フローラ」と言い、「叢」が使われたと言われています(前々職でもそのように説明してきました)。でも、微生物は花には見えないんですけどね。

一方で、「叢」を使った論文やネット記事が沢山あります。研究者が過去の論文などを引用する場合、古い用語に合わせることで、学問の連続性を示す必要があるからではないかと考えています。

ネット上では”相”は誤字とか、誤った認識とかヒットしますが、どちらが正しい、間違っていると言うつもりはありません。文字の意味を理解した上で使い分けるのが良いかと思います。

 

 

 

 

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