健康長寿の窓口 (タロー8の脳腫瘍闘病記改め)

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

サビを取る成分

2024-07-04 17:13:40 | 日記

 先日、鞄のベルトフックの金属のサビを取るために、金属サビ取り剤を100均で買ってきました。

早速使ってみると、

なるほど!

 

 良く落ちます(左がサビ取り前。右がサビ取り後、写真だとよく分かんねぇー)。

お手頃になりましたね。かつてサビ取り剤は、ホームセンターで数百円していた記憶があります。

 材質は結晶性シリカと記載されています。つまり研磨剤です。ステンレスに酸素が結合してできた酸化皮膜を削り落としている訳です。

 さて、最近TVのCMで、「サビを取って疲労感軽減」というサプリ(機能性表示食品)をよく見かけます。

サビを取るって、結晶性シリカなの?

エッ、まさか!

成分は、セサミン類とアスタキサンチンのようです。

 パッケージや広告に記載されている届出表示(機能性の簡単な説明)には「抗酸化作用を持つセサミン類、細胞の抗酸化作用を持つアスタキサンチン・・・、疲労感を軽減する機能」とされています。

 抗酸化というと酸化を防ぐと言うことだけど、「サビを取る」は酸化されたものを除去することではないかい?、ちょっと違うんでねぇ?

 と言うわけで、真相究明すべく、機能性表示食品なので、早速、消費者庁のデータベースで、エビデンス調査です。

 うーん、抗酸化作用についてはセサミン類、アスタキサンチンの作用、疲労感軽減についてはエネルギーを産生するミトコンドリアの機能低下作用について詳しく説明されています。ミトコンドリアの機能低下は酸化ストレスによるもので、酸化ストレスを低減することで機能回復(疲労感軽減)することのようです。

でも、サビを取るって、どこにも書かれてないよ-!

はて?

そもそも身体のサビって何?

 体のサビは、金属が酸素と結合して変化(酸化皮膜形成)するのと同じく、細胞も酸素と結合して変化(酸化)した状態です。

 細胞が酸化されるというのは、化学的にみれば、細胞を作っているタンパク質、もっと言えば、タンパク質を作っているアミノ酸が酸化されるということです。

 タンパク質が酸化されると形が変化するので、細胞の働きが弱くなります。ミトコンドリアも細胞の中に存在する細胞小器官で、タンパク質(アミノ酸)の塊なので、酸化されるとエネルギーを作ってくれなくなる、つまり疲れる訳です。

どうして、身体の中で酸化がおきるの?

  ミトコンドリアがエネルギーを作る時に酸素を使います。息を吸うのは酸素が必要だからです。この酸素のうち、0.1から2%は活性酸素種になると言われています。

活性酸素種というのは、その名の通り、反応性の高い酸素で、本来は身体に入ってきた病原菌をやっつける働きをするのですが、一部は身体の細胞にも攻撃をしてしまいます。

 ミトコンドリアは自分で活性酸素種を作っておきながら、自分自身を傷つけてしまうのです。

 ただ、身体の中にある活性酸素種を消すビタミンEなどの抗酸化物質が酸化-抗酸化のバランスを守ってくれています。ストレス(酸化ストレス)が強くなるなど様々な原因で酸化-抗酸化のバランスが崩れると酸化が進んでしまうわけです、

 細胞が酸化されてしまうとどうなるのか?

 以前にもブログで紹介したように、身体にはオートファジーとかユビキチン-プロテアソーム系などの機能があって、酸化された細胞やタンパク質を分解・除去してくれます。生命を維持(エントロピーに抗う)するために進化の過程で得られた素晴らしいシステムです。

このシステムが「サビを取る」ことだと思います。

 機能性表示食品の資料では、セサミン類にはオートファジー活性化作用がある、との記載があります。確かに多くの論文があります(ユビキチン-プロテアソーム系との関係はなさそうです)。アスタキサンチンのオートファジー活性化についての記載はありませんが、文献検索してみると活性化するようです。

 エビデンスはあるので「サビを取る」ということは間違いではないことは分かりましたが、セサミン類、アスタキサンチンのオートファジー活性化作用で疲労感軽減する、との説明はありません。

 機能性表示食品のパッケージ表示や広告は、消費者庁へ届出された範囲内で、というのが原則なので、「サビを取る」という表現は、範囲を越えているように思えるわけで、説明不足なのはとても残念です。

 広告宣伝は売れるため、です。が、誤解を招かないように、頭のサビを取って、考え直して欲しいですね。

 僕みたいに難癖つける変人はそうはいないと思いますけど・・・。

 何はともあれ、抗酸化、そしてオートファジー活性化は、健康長寿であるためのキーワードのようです。食事で摂ることができます。

 ストレスを控え、バランス良い食事で120歳を目指しましょう。