タロー8の脳腫瘍闘病記改め 健康長寿の窓口

2009年に乏突起神経膠腫の手術を受け15年が経過したことを機にブログをリニューアル、健康長寿の情報を発信していきます。

悪魔の証明

2024-06-11 17:25:49 | 日記

 6月9日(日)のNHKスペシャル「追跡“紅麹サプリ”~健康ブームの死角に迫る~」を視ました。何を伝えたかったのか、よく分かりませんでした。

 

 紅麹問題を採り上げて健康食品を中心とした健康ブームの問題点を考えて、消費者に注意喚起しよう、というものだと期待していましたが、注意喚起は最後の数分。健康食品(保健機能食品、いわゆる健康食品)のGMPによる品質管理や表示の問題の解説には、当たり前のことでレベルの低いものと感じました。

 

 GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)は通常思い浮かぶのは医薬品の製造管理ですが、多くの健康食品(特にサプリタイプ)でも同様に管理されています。問題となったコレステヘルプを機能性表示食品データベース(番組内でも紹介されていました)を確認する限り、製品はGMPの基準に従って製造されていることが分かります。

 

 今回の問題は、製品の製造メーカーではなく、原料の紅麹を製造したメーカー(小林製薬)であるのに、製品をGMP下で製造すれば良い、と誤認してしまう内容だったと思います。おそらくほとんどの方が、「サプリはGMPで作るように法改正しろ」と思っているのではないでしょうか。私達の受信料で番組を製作した内容が週刊誌のような低レベルであることに違和感を覚えました。

 

 ある企業(製品メーカーだと思います)の例として紹介された高速液体クロマトグラムは、複数の成分を分離して確認する試験方法です。一定の条件下で規格通りに成分が含まれているか、場合によっては有害成分が含まれていないかを検査しますが、ここに死角があります。

 

 製品メーカーは原料メーカー(今回は小林製薬)から原料を納入した際、ニオイや色などが規格通りであることを確認した上で使用します。高速液体クロマトグラムで成分を確認したとしても、有害成分として分かるのは、「誤って含まれてしまう可能性がある、既に分かっている」規格成分です。GMPは、原料の納入から製品のアウトプットまでをきちんと手順書にしたものであり、製造工程の異常などで”含まれる可能性がある”未知の場合は検査で引っかかりません。

 

 原料の色やニオイで分かれば良いですが、紅麹サプリでは判断できなかったのだと思います(番組内の実験でも区別つかないと言っておりました)。このような未知の有害成分が含まれていないことを高速液体クロマトグラムで確認するのであれば、例えば、成分を分離するための時間を長くするとか、分離するための装着を変えてみるとか、温度や酸性度などを変えてみるなど不可能ではないですが、時間条件で見ても、例えば1時間程度で有害成分が分離されるのであれば、製造に大きな支障はないと思われますが、数時間、数日、数ヶ月で分離されるようでは現実的ではありません。

 

 今回は、腎障害という有害事象が確認されて、多くの時間を掛けて原因となる(であろう)青カビ由来のプベルル酸が初めて確認されました。おそらく分離するための多くの条件を物事が試したと思います。

 無いことを証明することは難しいことを悪魔の証明というそうですが、現実の原料や製品製造で有害成分が含まれていないことを証明するのは“悪魔の証明”に近いと思います。 

 悪魔の証明が前提であれば、やはり、有害事象情報を掴んだ時点で、原因が何か分からなくても然るべき対応をする、ということが大事なのだと思います。今、検討されているようですが、医薬品では以下のような規定があります。紅麹問題では早い段階で死亡例が分かっていたと言います。メーカーにとっては、報告するのは厳しい決断となりますが、人の命に変わるものはないのです。

 

 もう一つが”表示”の問題です。番組内で紹介された景品表示法や薬機法で問題となった例が紹介されていましたが、いわゆる健康食品(ただの食品)と保健機能食品(特定保健用食品:トクホ、栄養機能食品、機能性表示食品、の例がゴチャ混ぜになっていて、遵法精神企業であればあり得ない、あまりにも低レベルの表示でした。このような”低レベル”の表示製品はおそらくほんの一部と考えられ、法的措置も講じられるので、機能性表示食品制度が甘いだの改正だの、という問題ではないと思いますが、何故かそう感じる報道の仕方でした。

 

 番組が、「嘘、誇大広告」があることを消費者に認知してもらう啓蒙が目的であったなら、保健機能食品、食品で何が表示できるのか、消費者が確認できることは何か、を医薬品との違いを交えながら伝えるべきではなかったのか、と思う次第です。機能性表示食品で言えば、消費者庁のデータベースで確認できるなどと、どの番組でも紹介されますが、データベースの内容を見て理解できる人がどれだけいるでしょうか。

 

 消費者が店頭で確認できるのは、パッケージ表示です。そこには製品を選択(摂取)する上で大切なことが書かれています。画像は「宝脚」という製品の機能性表示食品データーベースからダウンロードしたものです。小さい文字で沢山書かれているし、内容も読んでもよく分からない、ということもあるでしょう。保健機能食品は主にドラッグストアで売られており、お店の薬剤師や登録販売者に相談するのが良いと思います。食品なのでスーパーでも売られていますが、不安に思ったら一旦買うのを控えて、販売者やメーカーに問い合わせてみるのが安全です。



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