じゃっくり

日常をひたすら記すブログ

京都オフ会

2005年08月25日 | 雑記
 京都に向けて特急スーパーはくと2号が進みはじめた。特急に乗るのは今回で二度目だ。一度目は高校生の頃、快速列車と勘違いして特急に乗ってしまい、スマートな女性車掌さんに「今回はいいですが、これからは気をつけてくださいね」としっかり特急料金を払わされた苦い思い出がある。今回はいいですがって、何が「いいですが」だったんだろう。
 列車内ではひたすら暇になることが目に見えていたので、本を読んでいた。僕のセレクトは角田光代「いつも旅のなか」だ。直木賞作家の彼女は実は旅が大好きで、本書の中ではアジアからヨーロッパ、オーストラリアに至るまで世界各国を旅した旅行記が読める。各々の国の話が10数ページに収まっており、飽きることもない。
 本を読むのは遅いのに、割とさくさく進んだ。角田光代の文章の雰囲気がどことなく田口ランディに似ていて、田口ランディのエッセイを読みふけったことのある僕は、ときおりにやにやしながら、周りの乗客にそれを悟られないように気をつけながら心地よい列車の動きに身を任せていた。

 京都駅に着いた。



 あいかわらずの造形美に驚かされ、僕は天井を見てしばらくぼーっとしていた。到着したので、今回会うことになっているもっちぃさんとにゃんさんに到着メールを送った(以後、「さん」はとることにする)。

「ついたよ~(^0^)」

 普段はほとんど顔文字を使わないが、メールの会話では使う。特に使うのが(^^;)だ。挙動不審で汗かきな僕にものすごくお似合いな顔文字だと思う。相手を安心させられる効果もありそうなので、なにか言った後に思わずつけてしまう。
 案内板の所で待っていると、一人の女性が僕の顔を見て、こちらに寄ってくる。僕は誰だか分からず、変な表情をしてしまったけど、その横にいるおだやかな表情の女性を見て、はっとした。
 にゃんともっちぃだった。にゃんには失礼かもしれないが、想像していたよりもかわいらしく、すらっと細かった。僕はたしかにゃんに「こんにちは」と「初対面ですね」と言ったと思うが、そのときにはまだ彼女がにゃんだという実感は得ていなかった。もっちぃは前回の京都オフで受けた印象そのままで、雰囲気も表情もあいかわらず、名前の通りもちもちしていた(なんだこの表現)。
 これから大文字山(前日まで「ふともじやま」と読んでいて、父親に指摘されて笑った。「だいもんじやま」が正確)にハイキングに行く予定でいたのだが、小雨が降っており、台風11号が接近していることもあり、午後からさらに降る恐れがあったので、やむなく断念した(おそらく女性2人はラッキーと思っていたに違いない)。
 2人はお腹を減らしていたに、僕は11時すぎに1人で先に昼食(チャイナ服が見たいがために中国料理屋に入った)を食べてしまうという、空気の読めないことをしてしまっていた。だから、3人でその辺のカフェに入り、2人がご飯を食べ終わるのを待っていた。
 その間、にゃんを別の人を見るような感覚で見ていた。芸能人でいえば誰に似ているだろう。うーんうーんと考えていて、結果、小川真琴に似ているかもという結論に至った。19歳で若く、いや、元々若く見られるのかもしれないが、僕とは肌のつやが違うと思った。そして、笑ったときに周りの空気が古いものから新しいものに変わっているように感じた(なんだかすごい表現だな)。もっちぃはご飯を食べながら僕に2、3質問をしてきて、僕はいつものように短文で答えた。表情は穏やかそのもので、彼女が怒るなんてことはまずないんじゃないかという気さえしていた。そして、もっちぃにはもっちぃと言ったらいいのだけど、にゃんにはにゃんと呼ぶのがどうも違う気がして、本名で呼ぼうとしたが、呼び捨ても変な感じがして、ちゃん付けは嫌いなので、にゃんをどう呼ぼうか思案に暮れていた。
 
 にゃんが「五条坂に行きたい!」と後ろに(^~^)/とか(=^_^=)とかいった顔文字が見えるような満面の笑みでいうので、四捨五入したら30歳になってしまう大人の僕はいまだ10代の若々しさを備えた彼女の要望を避けるわけはなく、言った1秒後には決定していた。
 五条坂をめざし、バスを乗り継ぎ、最寄りのバス停で降りた。降りる際にもっちぃに「カードがあるから買った方がいいよ」といわれ、運転手さんに「か、カードは」とほとんど単語だけの言葉で伝え、500円でバス乗り放題のカードを買った。
 五条坂は少し傾斜のある坂になっており、両側が陶器や扇子などの伝統工芸品を扱っている店や、抹茶を中心にかき氷を売っている店などが軒を連ねていた。途中猫のポストカードや置物があって、猫が大好きな僕たち3人はしばらく「萌」えていたようだが、なごりおしくそこを後にした。
 五条坂の終わりに差し掛かり、目の前に赤塗りの大門が姿を現した。


 
 どうも清水寺の門だったらしい。ものすごく整っていて、美しくて、つやつやで僕が先日観た鳥取県三朝町にある三徳山のおんぼろお堂(失礼)とはえらい違いだった。観光客がばしばし写真をとっていて、写真が趣味のにゃんはそれこそ決まったアングルからだけではなく、近寄ったり遠ざかったり、別のアングルでカメラに写真を収めていた。もっちぃは観光客の声をにゃんの声と間違えたらしく、天然ぶりを発揮していた。
「あの、すいません」
 ふいに誰かからそう言われてその声の方を向くと、一組のカップルがいて、女性の方がどうやら僕にその門を背景に写真をとってほしいといっているようだった。断れない性格の僕は言われるがままに「はい、いきますよ」などと乗り気なのを演じて2つのカメラで写真を撮った。
 五条坂を下る途中に僕ら3人は都路里に赴き、僕は抹茶白玉アイスを食べ、もっちぃは「抹茶」を飲み、にゃんは抹茶フロートを飲んだ。僕だけ社会人だったので、かっこいい所をみせたくて料金は僕が払った。
 そこからしばらく歩いて、今度は南禅寺行きのバスに乗り込んだ。100円を落とした長身の白人男性に拾ってあげると「アリガトゴザイマス」と言われ、車内では僕の隣の席が空いていたのだが、座る気持ちはさらさらなかったので、目の前のさきほどの白人に手振りで「どうぞ」と示すもなかなか座ろうとされず、結局彼の付き添いの眼鏡をかけた女性が「アリガトゴザイマス」と言いながら腰をかけた。
 南禅寺の最寄りのバス停からしばらくことこと歩くと、中高一貫教育のなんとか学園とかいうものが見えてきて、すごいすごい言っていたのだけど、もっとすごかったのが幼稚園で、荘厳な趣のある門に金色で○○幼稚園と書かれていて、僕たちはそれに圧倒されてしまった。まさかここに入る児童らは全員丸坊主が原則だったりしてね。
 南禅寺の門はこれまたどでかくて、頭を上げてそれを見ていた。



 にゃんの両腕が上がる。右側から撮りはじめ、正面から撮り、ちょっと下がって全体を撮った。もっちぃも自分のデジカメを使って撮る。僕は右腕をさっと上げて2枚ほど撮り、さっと下げた。
「あの」と言いながら袖にフリルのついたピンク色の服を着た女性が声をかけてきた。
「すいません。撮ってほしいのですが……」
「はい、いいですよ!」
 なぜか元気に答えてしまった。そしてまたさきほどのように「はい、いきますよ!」と乗り気で左手を上げて合図をしてシャッターを押す。撮れているのを確認して、僕を見て「すいません。ありがとうございました!」とはにかんだ笑顔で言った。
 僕はカメラのシャッターを押してくださいと頼まれたことがほとんどないのに、どうして今日に限って2度もあったんだろうとしばらく考えていた。声をかけやすい何かがあるんだろうか。ちょっとして気づいた。なるほど、一人旅をしている人のように映ったからだろう。もっちぃとにゃんと行動していたけど、僕は1人だけリュックを背負っているし、男1人と女が2人が一緒に行動するなんてあまり見かけるものじゃないので、別々に行動しているように思われたんだ。複数で行動している人より、1人で行動している人の方がたしかに声をかけやすい。なるほどな。
 


 大きな壷が備え付けてある所があり、人が集まっていたのでなんだろうと思っていってみると、中には灰が敷き詰められていて、そこにぐさぐさ線香が刺さっていた。どんな効果があるかも知らず、僕らはとりあえず刺してみた。僕はなぜか深く刺してしまい、線香の姿がほとんど見えなくなってしまった。後からふと思ったのだが、たぶん煙を浴びたら健康になるとかいうあれじゃないのか。そうだとしたらもっと煙をあびておけばよかった。
 脇道を少し進んだところに、僕が一番観たかったものを発見した。

    

 水路閣。それは社会科の授業のときに写真で見たローマの水路を思い出させ、実際それをモチーフに設計されたらしかった。正面から観ても素晴らしいが、斜めから観るそれはいっそう美しかった。それだけじゃない。様々な観方があるらしく、半楕円形にくり抜いた壁から奥を覗くこともできたし、上から見ると水路になっていることが実感できた。にゃんのカメラはうなりをあげ、次々にその造形美を収めていった。もっちぃは僕とにゃんの間に挟まり、適度な距離を保ちつつ移動していた。
 南禅寺からの帰り道、ふと左側の掲示板に貼られたポスターの文字にひっかかった。



「あやしい者」の「あや」と「しい」の間にそれこそあやしいのばし棒がついていて、その下にワニのような異形の生き物が描かれていて、本当にあやしかった。つっこみどころが満載だったので、もしかして観光客に見せるために貼られたのかもしれない。話題作りにもなるしね。ところでにゃんは富山人だけど、変なところでのばし棒を使うことがあるらしいね。
 バスで京都駅まで帰り、それからカラオケに行こうとしたが、女性陣がどうしてもプリクラを撮りたい! というので、プリクラ機探しに奔走することになった。デパートの屋上まで行くも、なくて、駅構内をうろうろ歩くも、なくて、パチンコ屋に行くも、ただうるさすぎる音だけしか聞こえてこなくて、でも僕の帰る時間の20分前になってカラオケ屋の前にそれを発見した。僕はプリクラ機の前ではいつもは変な顔をするのだけど、今回は女性の前なので、ある程度までに抑えておいた。
 帰る時間になり、2人が改札入り口前まで見送りにきてくれた。僕は「お疲れ。じゃあまた」といつものように短文で、でもできる限りの笑顔で手を振って別れた。
 帰りの特急電車の中、飲み物を運んでくる眼鏡をかけた太った男性に「コーヒーを」と言った。差し出されたコーヒーは、とても熱くて湯気がもわもわと立ち上っていた。その湯気は京都での出来事を回想させ、しばらく僕は思いを巡らせていた。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様でした。 (もっちぃ)
2005-08-27 00:37:50
オフ会お疲れ様でした。

細かく書かれていて、一つ一つ思い返しながら読みました。さっぱんの記憶力に脱帽!

急遽、予\定を変更してくれてありがとね。3人でオフ会をできて、すごく嬉しかったよ(^O^) 楽しくてあっという間でした。

ネットに繋がってから、アップされている写真を改めて見ます。楽しみ♪

遠くからありがとうございました!
返信する
(^ー^)お疲れ様でしたぁ~♪ (にゃん)
2005-08-28 01:02:11
3人で逢えて、本当に楽しかったよ!

予定を五条坂に変更してくれてありがとう。

抹茶フロートを買ってもらって、嬉しかった "^_^"



私は小川真琴さんに似ているかも、なのか(笑)

モー娘。の方かな?

幼さんの想像よりマシだったと言う事で、個人的に嬉しいです(笑)

私には名前を言わずに話しかけてきてくれて、あぁHNでの会話に慣れてるからね、そうだよね。なんて思って喋ってました。



私には撮影の量は少ない方だったんだけど、これでも十分多いんだね(笑)

いっぱい写真撮ったもんね。

まだまだ下手でブレが多いからだよ(笑)

幼さんはちょこっと撮っただけなのに、全部ブログで使えるほど綺麗に撮れてて凄いわ。

2組に声をかけられていたね、私はその間も写真を撮っていたけれどw



水路閣、本当に綺麗だったね。

日本って感じしなかった。

暑い中歩いた甲斐があったね!



張り紙は笑えたよね。

富山弁のページ、観たよ☆

「べんとばーこは?」なんて言わないけど(笑)「気ーつけられ」とは言うわw

面白いページを見つけたもんだね。

私、方言たっぷりで喋ってた?

話、理解できてたかな…(笑)



プリクラ、後日送ります。

遠くから来てくれて、本当にありがとう。

またいつか逢えると良いね♪
返信する
おつかれ~ ()
2005-08-29 03:04:44
>もっちぃ

オフお疲れでした。

レポートってはやめにかかないと忘れちゃうんで、大急ぎでかいたよ。ちょっとところどころ想像のところがあるけどね^^;

ネットはやくつながるといいね。それまではネカフェで我慢!?



>にゃん

お疲れでした~

そうそう。もーむすの。似てないかな?

ケイタイが最新式だから、誰がとってもそれらしくとれるんだよ(笑) 200万画素だし、デジカメいらずかな。



「気ーつけられ」はこっちもよくいうなあ。けっこう似ているかも。僕はけっこう方言つかっていたとおもうけど、にゃんのはいまいちわからんかったかも。もっちぃと話している声をもうちょっときけばよかった~



また会えるといいね
返信する