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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~
その九
中川忠則
2014年10月17日・18日(スラウェシ島にて)
本ツアーは、経由するスラウェシ島のマカッサル郊外バンチムルン渓谷周辺での採集が追加された。
ここは、オオルリオビアゲハやアンドロクレスオナガタイマイで有名な「バンチムルン蝶の谷」がある。
渓谷一帯は、国立公園に指定され、水遊びの観光客で賑わっているが、蝶の採集は禁じられている。
ところが、ポイントに到着したものの、異様な風景に驚いた。
周りの草や竹林が枯れ、川も干上がっているのである。
蝶が乱舞するというポイントも僅かにマダラチョウの仲間とトンボを目にするだけで、ここがスラウェシかと唖然とした。
地球温暖化の影響か、例年比べて雨が少なく、異常に乾燥しているとのことであった。
それでも、ジャングルの奥に進むと、次第に熱帯雨林の様相となり、ヘレナキシタやサビモンキシタを観察することができ、数は少ないものの、スラウェシ特産の蝶を採集することができた。
最終日は、午前中に採集を行い、正午に公園近くの標本商に立ち寄り、コーランを聞きながらの昼食と標本の購入となった。
ここでも、セラム島のゴライアストリバネをはじめ、各地のトリバネ・キシタを扱っているが、サイテスの認可を受けていないことから、購入はできても、日本に持ち帰ることはできない。
そろそろ終了時間のため帰路に着いたが、飛行場に向かう街道はオートバイと車の数が異常に多く、マカッサル郊外は人力車を巻き込んでの渋滞に次ぐ渋滞、さながら交通戦争であった。
渋滞により、いよいよ帰りの飛行機の時間が無くなってきたことから、ガイドが機転を利かして、空港に近いビジネスホテルへ急遽変更、全員シャワーを浴びて空港に向かった。
お世話になったガイドに別れを告げて、空路ジャカルタへ。深夜のジャカルタ~成田便に乗り換え、翌朝定刻に無事帰国、西イリアンの旅を終えることができた。
さいごに
今回、トリバネチョウの採集成果は端境期のため少なく、筆者の承知しているところでは、メンバー9名で計37頭、うち、雄は、パラディシア2頭、チトヌス1頭、ゴライアス1頭、プリアムス2頭の結果であった。
筆者は、残念ながら雄を捕らえることはできなかったが、ゴライアス、チトヌス、プリアムスの各雌をネットインすることができた。
網の中で「バッサ、バッサ」とうごめくそれは、まさに「とりばね」を実感した。
何より、所期目標のゴライアス、パラディシア、チトヌス各雄の自然の姿を目の当たりにすることもできた。
さらに、飼育ケージ内であるが、間近に見るゴライアス雄の勇姿に感動、その黄金に光り輝く羽ばたきと微かな羽音に言葉を失った。
今回の旅は、西アフリカのエボラ出血熱や本邦初のデング熱が感染拡大する中、催行されたが、道中、不安な出来事は無く、乾期のため蚊も少なかったことから、安心して採集と観察を行うことができた。
また、ガイドの十分な水分補給により、誰も熱中症に罹ることはなかった。
そして、何より、ニューギニアの原始の森で元気に網を振ることができたこと、やさしい現地の人々に接したことで、一層、この地域に親しみを感じることができた。
さいごに、旅行企画の関係者並びに現地旅行スタッフの皆様に心から感謝申し上げる次第である。
終わり
この紀行文は 北海道昆虫同好会のうすばきNo.104 p. 6-19 に掲載されたものですが非常に好評であったため 本ブログにも再録させていただいたものです。
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ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~
その九
中川忠則
2014年10月17日・18日(スラウェシ島にて)
本ツアーは、経由するスラウェシ島のマカッサル郊外バンチムルン渓谷周辺での採集が追加された。
ここは、オオルリオビアゲハやアンドロクレスオナガタイマイで有名な「バンチムルン蝶の谷」がある。
渓谷一帯は、国立公園に指定され、水遊びの観光客で賑わっているが、蝶の採集は禁じられている。
ところが、ポイントに到着したものの、異様な風景に驚いた。
周りの草や竹林が枯れ、川も干上がっているのである。
蝶が乱舞するというポイントも僅かにマダラチョウの仲間とトンボを目にするだけで、ここがスラウェシかと唖然とした。
地球温暖化の影響か、例年比べて雨が少なく、異常に乾燥しているとのことであった。
それでも、ジャングルの奥に進むと、次第に熱帯雨林の様相となり、ヘレナキシタやサビモンキシタを観察することができ、数は少ないものの、スラウェシ特産の蝶を採集することができた。
最終日は、午前中に採集を行い、正午に公園近くの標本商に立ち寄り、コーランを聞きながらの昼食と標本の購入となった。
ここでも、セラム島のゴライアストリバネをはじめ、各地のトリバネ・キシタを扱っているが、サイテスの認可を受けていないことから、購入はできても、日本に持ち帰ることはできない。
そろそろ終了時間のため帰路に着いたが、飛行場に向かう街道はオートバイと車の数が異常に多く、マカッサル郊外は人力車を巻き込んでの渋滞に次ぐ渋滞、さながら交通戦争であった。
渋滞により、いよいよ帰りの飛行機の時間が無くなってきたことから、ガイドが機転を利かして、空港に近いビジネスホテルへ急遽変更、全員シャワーを浴びて空港に向かった。
お世話になったガイドに別れを告げて、空路ジャカルタへ。深夜のジャカルタ~成田便に乗り換え、翌朝定刻に無事帰国、西イリアンの旅を終えることができた。
さいごに
今回、トリバネチョウの採集成果は端境期のため少なく、筆者の承知しているところでは、メンバー9名で計37頭、うち、雄は、パラディシア2頭、チトヌス1頭、ゴライアス1頭、プリアムス2頭の結果であった。
筆者は、残念ながら雄を捕らえることはできなかったが、ゴライアス、チトヌス、プリアムスの各雌をネットインすることができた。
網の中で「バッサ、バッサ」とうごめくそれは、まさに「とりばね」を実感した。
何より、所期目標のゴライアス、パラディシア、チトヌス各雄の自然の姿を目の当たりにすることもできた。
さらに、飼育ケージ内であるが、間近に見るゴライアス雄の勇姿に感動、その黄金に光り輝く羽ばたきと微かな羽音に言葉を失った。
今回の旅は、西アフリカのエボラ出血熱や本邦初のデング熱が感染拡大する中、催行されたが、道中、不安な出来事は無く、乾期のため蚊も少なかったことから、安心して採集と観察を行うことができた。
また、ガイドの十分な水分補給により、誰も熱中症に罹ることはなかった。
そして、何より、ニューギニアの原始の森で元気に網を振ることができたこと、やさしい現地の人々に接したことで、一層、この地域に親しみを感じることができた。
さいごに、旅行企画の関係者並びに現地旅行スタッフの皆様に心から感謝申し上げる次第である。
終わり
この紀行文は 北海道昆虫同好会のうすばきNo.104 p. 6-19 に掲載されたものですが非常に好評であったため 本ブログにも再録させていただいたものです。
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