本日は某所で話題に上りました牽引バーのお話など。
さて、皆さまには釈迦に説法かもしれませんが・・・・WWⅡの独軍では、前線で破損・故障した車輌を回収する際に使用するため、ほぼ全ての戦車に牽引用ワイヤーが標準装備されておりましたが、車体の外側に取り付けられておりますので、当然のことながら敵から砲撃を受けますとこれら自体も被弾するわけでございますし、ワイヤーは過負荷で複数回使用致しますと劣化して切れてしまいますので、回収戦車や回収任務に当たる半装軌車(主に12tハーフ、FAMOですな)にはトーイング・ワイヤーのほかに牽引バーが装備されておりました。で、この牽引バー、当時の写真などをチェックいたしますと車体の軽重に応じて少なからずバリエーションがあったようではございますが、中~重戦車の回収用として一般的に使用されたものは、タミヤのFAMOのキットに付属するタイプのものなんでございますよ。でもってこの実物が鮮明に写っている写真はと申しますとニーベルンゲン・ヴェルケで撮影されたこちら・・・
フェルディナンドとP虎(牽引バーに合わせて車体前後に取り付けられた台形の板が第653重駆逐戦車大隊に実戦配備された003号車の象徴的な特徴と合致するゆえ、本車は試作13号車乃至は14号車の可能性ありとする見解も有)の牽引試験時の写真なんでありまする。でもって、タミヤのFAMOに付属する牽引バーはと申しますとこちら・・・
う~む、流石は世界のタミヤ様、ちょっとした備品まで抜かりなくリサーチされておりますな~。前述の如く、この牽引バーはベルゲ・パンターにも装備(通常エンジングリル上にハの字に装備)されておりますのですが、へタレリさんのベルゲ・パンターのキットに付属している物は太さも足らず、何より2本を1パーツと勘違いして最初からV字型のパーツに作っててご苦労な事に更に接点を台形の補強板で繋げてしまっているという・・・・・これじゃ一定の車幅の車輌しか牽引でけへんやないか~い!と突っ込みどころ満載のものだっただけに、以前ベルゲ・P虎を作りかけてた時に歓喜したのを思い出しましたです。(^^; で、ここからが本日のちょいとした薀蓄なんでございますが・・・・・
度々このブログでも取り上げております、他の車輌に見られないP虎系の特徴・・・牽引用の75mmシャックル(しかし一体何時になったら、まともな75mmシャックルがモデル化してくれるんでしょうねえ、ドラゴンさん?)でありますが、1943年の12月頃までクンマースドルフに残されて各種の試験に使用されていた量産型フェルディナンド1号車(車番150011、これが残されたんで第654重駆逐戦車大隊は定数45輌のところ44輌のフェルディナンドでクルスク戦に参戦しとります)には他の車輌に装備された75mmシャックルではなく、こんな物が付いてるんでありますね~
ちょいと見には解かり難いかもしれませんので、クローズアップしてみますと・・・
ほらね!変わってるでしょ?実は私もFAMOのキットが出るまで、“また独逸人はたった1輌のためにケッタイな物を作ってからに・・・”と思っておったんでありますが、これって牽引バーのシャックルやん!! で、ここからは妄想ですが・・・・戦闘重量50tにもなる当時としては超重量級のフェルディナンドを牽引するには並みのシャックルじゃ埒があかんやろと、量産1号車には堅牢な牽引バー用のシャックルを取り付けてみたものの、これじゃ肝心の標準装備品でもある牽引ワイヤーを取り付ける隙間もない・・・・ってんで、急遽フェルディナンド専用に75mmシャックルを企画製作したんじゃないか?と思うんでありますよ。 じゃ、フェルディナンドの前身のP虎はどないやねん?と言う疑問が賢明な皆さまには湧いてくると思いますが・・・・ご安心を、少なくとも虎Ⅰとして不採用になる試作10号車まではシャックルは装備されておりませんので、この妄想もあながち捨てたもんじゃ・・・・ないんでありますな。 しかしまあ、シャックル一つとっても色んな歴史があるようで・・・・やっぱ、戦車はオモロイですわ。v(^^)
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