yasminn

ナビゲーターは魂だ

イエーツ  湖のなかの島  

2010-07-13 | 
ああ、 明日にでも 行こう、 あの島へ

そして あそこに 小屋を立てよう。


壁は泥土、屋根は 草葺きでいい

豆の畑は 畝(うね)を九つ、蜂蜜用の巣は ひとつ

その蜂たちの 羽音のなかで 独り暮そう。


ああ、 あそこなら、いつかは 心も安らぐだろう


安らぎは きっと、ゆっくりとくるだろう


水の滴(したた)りのように、また

朝靄(もや)から洩れてくる 虫の音(ね)のように。


そして夜は 深く更けても 微(ほの)明るくて

真昼は 目もくらむ光にみちて

夕暮れには 胸赤き鳥たちの群れ舞うところ。


ああ、明日にでも あの島へ 行こう

なぜなら いまの僕には、いつも

昼も夜も、あの湖の水の

岸にやさしくくだける音が聞こえるからだ。


車道を走っていようと

汚れた歩道に 立っていようと いつも
 
あの水の音が いつも

心の 奥底のほうに 聞こえるからだ。



加島 祥造 訳