ｙａｓｍｉｎｎ

ナビゲーターは魂だ

金子　みすゞ　　　　　　犬

2010-10-31 | 詩
　うちの　だりあ　の　さいた日に
　

　酒屋の　クロは　死にました。

　

　おもてで　あそぶ　わたしらを、
　

　いつでも、　おこる　おばさんが、
　

　おろおろ　ないて　おりました。

　

　その日、学校で　そのことを
　

　おもしろそうに、　話してて、


　ふっと　さみしく　なりました。

吉野　弘　　 burst　花ひらく

2010-10-30 | 詩
事務は　　少しの　誤りも　停滞もなく　　　塵もたまらず　


ひそやかに　進行しつづけた。



三十年。



永年勤続表彰式の席上。



雇主の　長々しい讃辞を受けていた　従業員の中の　一人が　


蒼白な顔で　突然　　叫んだ。



　――諸君


　　　魂のはなしをしましょう

　　　魂のはなしを！


　　　なんという長い間

　　　ぼくらは　魂のはなしを　しなかったんだろう――



同輩たちの　困惑の　足下に　　どっとばかり　彼は倒れた。


つめたい　汗を　ふいて。



発狂


花ひらく。



――又しても　同じ夢。


甲本ヒロト　　　　PARTYより

2010-10-27 | 甲本ヒロト
　僕の　SOS 　が　　君に　届かない


　　　交差点は　今　スクランブルの　暗号文に　埋め尽くされた　・・・・・




　
　本当は　大きな声で　　聞いてほしいのに

　
　　　ため息だとか　　舌打ちだとか　　独り言　のなかに　隠してる　・・・・・


　


　いつか　いつでも　いいから　　　　強い風ならば


　　僕を　抱えて　吹き飛ばしてよ　　できれば　南の方へ　・・・・・



　
　　
　Party Party Party 　にぎやかな　　Party　・・・・・





　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　http://www.youtube.com/watch?v=OY9NH1KMLw4

西条　八十　　　　　かなりや

2010-10-20 | 詩


唄を　忘れた　金糸雀(かなりや)　は　　後の山に　棄てましよか。


いえ　いえ　　それは　なりませぬ。




唄を　忘れた　金糸雀　は　　背戸の　小藪に　埋(い)けましよか。


いえ　いえ　それは　なりませぬ 。




唄を　忘れた　金糸雀は　　柳の　鞭で　ぶちましよか。


いえ　いえ　　それは　かはいさう。




唄を　忘れた　金糸雀は


象牙(ぞうげ)の　船に　　銀の　櫂(かい)


月夜の　海に　浮べれば


忘れた　唄を　　おもひだす。