yasminn

ナビゲーターは魂だ

永瀬 清子                 夜

2011-08-30 | 

    一日に 一度ずつ 色彩の無くなることは

     ほんとに いいことだ

     あすのあさ 鮮らしく 生れ出るのを

     こんなに 待ちどおしく よろこぶ 心を 持っている 私には



     この 空間に 在りと 思われ

     まだ 姿を あらわさぬ わがひとよ

     その人が 今 私に見えないことも いいことだ



     地球の まるみだけ ぼんやりみえる つめたい空気の中で

     翼のない 鳥の かたちの影を おとしながら

     ただ ひとりの あの 樅の木が

     だんだん 輝いてくるのを 待っているように

     新しい 朝の光を 待ちこがれている 私には――


種田 山頭火      このみち

2011-08-24 | 種田 山頭火


このみちを ゆく   ―― このみちを ゆくより ほかない  私である。


それは 苦しい、 そして 楽しい 道である。



はるかな、そして たしかな、

細い 険しい 道である。


白道(びゃくどう)である、

それは 凄い道である、

冷い道ではない。


私は うたふ、 私を うたふ、

自然を うたふ、人間を うたふ。



俳句は   悲鳴ではない、

むろん 怒号ではない、

溜息でもない。


欠伸であつては ならない。


むしろ 深呼吸である。



詩は いきづき、しらべ である。


さけび であつても、 うめき であつては いけない。


時として 涙がでても、

汗が流れても、

噛みしめて 味ふ、

こだはりなく 遊ぶ、


ゆたかに、

のびやかに、

すなほに、

さびしけれども、

あたたかに。