やおぶろ vol.2

スキー大好き、やおりのブログ。

ウィスラー旅記:キャットスキー(参)

2006-02-20 | Whistler 2006
曇天の下、雪面の見づらさと湿雪を気にしながら林間を滑っていたとき、
前方で事件が起きた。

林の向こうから、いくつも声が聞こえる。

「○○がケガしたみたい」
「なんか音がしたって……」
「え、誰? 誰がどうしたって?」
「待って待って! 一人ずつ来て!」
「どういうこと? 大丈夫なの? ヤバイの?」


林間を抜け、斜面を見下ろすと、モンチが、その場にちょこんと立っている。

立ってるんなら、大丈夫なのか?


「そこで、そのままで待ってて!」

Karlくんがモンチに声をかける。その声が、緊張している。

「いいから、みんなは一人ずつ、ダグのところまで行って!」
「モンチの立ってるところで急にフラットになってるから気をつけて」
と、Karlくん。

モンチ、Karlくん、ジェニファーの三人を現場に残し、言われたとおりダグの
待つポイント(フラットになったその先の、さらに林の向こう)まで滑る。


状況をつかみたくて、みんなの目撃談に耳をかたむける。
話をまとめると、モンチは、あの場所、突然フラットになっていたあの箇所の
斜面変化が見えず、吹きだまりに突っ込んでしまったらしい。
板が吹きだまりに刺さって抜けず、ビンディングも解放されなかったために、
勢い身体だけが前のめりになり、ふくらはぎをひどく伸ばしてしまったようだ。

あとで本人が言ってた。
「ふくらはぎの下のほうでゴリゴリッて、ヘンな音がした」

それってまさに、肉離れを起こした瞬間の音だったんだ。



しばらくすると、ジェニファーからダグに、無線が入った。
「負傷」「ふくらはぎ」「筋肉」「コース変更」「滑れそう」……
そんな単語が、こちらにも聞こえてくる。


無線を終えて、ダグが説明してくれた。
「どうやらキミたちの友人は、ふくらはぎの筋肉を傷めたようだ。肉離れかも
しれない。いま、ジェニファーが応急処置を済ませたところだよ」

さらにダグによると、
これから我らは、山肌を大きく回り込み、長い距離がとれるラインへ入る。
その間、モンチはジェニファーのフォローで緩斜面を下り、我らのコースを
ショートカットしてキャット乗り場を目指すという。

Karlくんも下りてきて、状況を聞かせてくれる。
「なんとか滑って下りられそうだから。ジェニファーも付いてるし……」


きっと大丈夫だ。 きっと大丈夫だ。
でも、早く合流して、無事を確かめたい。

とにかく、あたしたちも滑ろう。
ダグの後についてスキーを漕ぎ出す。


すると、


ダグに連れられていった先には……


なんと、


どかーんと広いオープンバーン! しかもバフバフ。


ぃやっほーーーぅ!


滑り出すと、やっぱり喜声が上がっちゃう♪
友だち甲斐が、あるのかないのか我々は……。



その後、
スタッフにお尻や足を支えられて、ようやっとキャットに乗り込んできた
モンチは、

「いやいやいやいや…、ご心配おかけしちゃって~!」

気丈だった。



もちろん滑走はムリで、あとの時間をずっとキャット車内で過ごすことになる。
ケガが痛むだろうに、滑れずがっかりしてるだろうに、
「キャットスキーじゃなく、キャットそのものを120%味わう旅だね(笑)」
なんて冗談を飛ばして。


前日負傷したやん様といい、今日のモンチといい、
もっとグズッたり、愚痴ったり、イライラして、当り散らしたっていいのに、
お二人の振るまいのオトナであること、人間性の高さには、頭が下がります。



この日 午前のモンチの勇姿。笑顔です♪



この日、午後のことは、記憶が飛び飛びだ。
いろいろあったし、けっこう疲れていたと思う。
(実は前夜、ダラダラ飲み続けて3時間しか寝ていないバカなあたし)

思い出すのは、

・ランチのバゲットサンドが、ありえないくらい巨大だったこと。

・どんくみのブーツの底が凍りついて「Glacier on the sole!」と笑ったこと。

・Iちゃんがジェニファーから「スクービー・ドゥー」と名付けられたこと。

・現地スタッフとたくさん話せて“英語で相手を笑わせる”が実現できたこと。

・酷寒の中での“Nature Call”by ウィスラー女学園。

・雪がどんどん激しくなって、予定されていた最後の1本がナシになったこと。

・ハイウェイ99で事故渋滞にハマり、ウィスラーまで2時間近くかかったこと。
(この事故の急患が優先されたため、やん様の診察は大幅に遅くなったそうだ)



記憶が飛んでいるなりに、今日の一日は、かなり思い出に残るよ、きっと。
みんなそろって完走できなかったことが悔やまれるけれど……、
でも、もちろん、
何本滑ったかわからないほどたくさん滑ったのは間違いなくて、大満足だ。
雪質で、いかに自分のスキー操作がおぼつかなくなるかも身に染みたし、
どの1本もチャレンジングで、まだまだもっと上手くなりたいって思った。


「概して大満足です!」

そうひと言残し、いつもは夜更かしのこのわたしが、
なんとキ○コよりも先に眠りについた夜だった。


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2 コメント

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Unknown (もんきち)
2006-02-23 00:16:00
まぁ~、いい笑顔してるわね、あたしったら。

「泣ける」を通り越して家族で大笑いだったわよ。

バカ~。

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素敵な写真だよ。 (やおり)
2006-02-23 16:52:58
一家で大笑いか…(笑)。でもこれ、ほんとにいい写真だよ。カメラマンのサカナくんも「彼女はフォトジェニックだ!」って絶賛してたもん。

早くよくなってね~。
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