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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

ヒメサユリの鬼が面山へ

2013年06月30日 | さんぽ


2013年6月29日(土) 曇り

六十里越トンネル→六十里峠→マイクロウエーブ→吹峠分岐→南岳→鬼が面山の往復

「鬼が面山(おにがつらやま)」、これはどうみても可憐なヒメサユリが咲く山とは思えない名前だ。新潟と福島県の県境にあり、浅草岳同様ヒメサユリが咲くことで知られる。そして、鬼が面山は浅草岳と一緒に歩く方が多く、雪田が残る浅草岳は先週に山開きをしたばかりであった。今週は北アルプスの船窪小屋へ行くことを予定していたが、どうも天気がいまいちで中止にした。次に考えたのが比較的天気の良さそうな新潟県の巻機山であった。日帰りの出来る無理のない場所ということで選んだ。しかし、その天気の良さそうな山でも、関越トンネルを抜けると灰色の雲が垂れ込め、今にも雨が降り出しそうな感じだった。塩沢石打パーキングで休憩するが、空を見上げてはため息をする。巻機山はあまり気が進まず、急遽鬼が面山へと足を向けた次第だ。ここは4~5年前に、民宿へ一泊して守門岳と浅草岳を訪れたことがあるが、春には山菜、秋にはキノコ料理と山の幸がふんだんに食べられるのでとてもいい。ご飯もうまく、魚沼産の米の味は格別だったことを記憶している。ということで巻機山よりも7~80km先の登山口を目指すことになった。小出ICを降りて長い長い下道が続き、福島県は只見町と魚沼市を結ぶ国道252号線をただひたをすら走った。登山口である六十里越トンネル入口に着いたが時間が遅かった為、30台ほど駐車できる駐車場は満車状態にあった。既に皆さん出発したらしく誰もいない。隅の草地へ駐車して、慌てて出発準備をする。登山口は50mほど戻る場所にあり、小さな登山者カードを入れる箱があった。


<辺りは厚い曇が取り巻く>
登山口を入ればしばらくは勾配のきつい登りが続くが、その昔越後魚沼と奥会津を結ぶゆるい街道が登山道に変わる。小さな沢を渡りながら進むと、左へ進む道標に出合い、ここが六十里峠のようだ。六十里峠からは噴き出る汗を我慢しながら登れば送電線の鉄塔下に出た。下刈りされた鉄塔下からはさえない空を見上げる。遠路はるばる来たが予想外に悪い天気。愚痴を言っても始まらない。風もなく玉の汗がしたたり落ちる始末だ。



<タニウツギ>
送電線の鉄塔から再び黙々と登る。山道の周りは木々に囲まれ、生い茂った雑木が風を遮り、蒸し風呂状態だ。気温も湿度も高く、なかなか稜線に出ない。我慢に我慢を重ね、やっとたどり着いた場所がマイクロウエーブの反射板が建つ場所だ。微かだが風が心地よい。朝が早かったのでここでパンを食べた。流れ落ちる汗を拭き拭き流し込んだという感じだ。それでも満足せず、おにぎりを食べた。



<マイヅルソウ>
マイクロ中継所からゆるい坂道が続いたが、ここで花が出てくる。盛りは過ぎているものの、ツバメオモト、マイヅルソウ、サンカヨウなどがお出迎えだ。まったく景色が望めない山道だから、足元に咲く花はありがたい。気持ちも和むというものである。



<サンカヨウ>



<やっと稜線に出てきた>
ここに来ると風がいい気持ちだ。右側に切れ落ちた断崖は福島県、なだらかに緑に被われた斜面が新潟県、対照的な尾根だ。そして、ゆるりと尾根を登り上げるようになれば南岳らしき姿も望める。この山塊は豪雪地帯なのだろう、標高は1,200mたらずだが雪田が多く残っていた。



<ゴゼンタチバナ>
晴れていれば気持ちの良さそうな稜線歩きが始まった。山道の両脇はゴゼンタチバナが至る所に咲いている。春から秋にかけて絶え間なく花々が彩りを添えて登山者を歓迎するという。



<南岳>
南岳に立つとヤブが切れる。そして、右側に大きく切れ落ちた崖はのぞき込むと身が引ける思いだ。時間があれば浅草岳まで行ってみたいが、この天気ではその気になれない。今日はヒメサユリが目的で、下山後は温泉に入って汗を流したい。



<ガスがなかなか切れない>




<やっと出てきたヒメサユリ>
南岳から左に折れるように下るとヒメサユリに出合う。ヒメサユリは日本特有のユリであり、飯豊連峰、吾妻山、守門岳周辺にしか群生していない貴重な花らしい。大朝日岳、飯豊連峰に続く出合いだが、やはりヒメサユリはどことなく愛らしい。それでは、このヒメサユリロードをしばらくは楽しむことにしよう。





















<ヒメサユリ咲く山道>



<切れ落ちた只見沢>



<山道にヒメサユリが続く>



<ミツバオウレン>



<鬼が面山>
忠右エ門沢のカッチを過ぎると、小ピークが見えてくる。鬼が面山の山頂だ。そこは狭く、稜線の途中にあるという感じだ。4~5人の方が食事をしていたが、ゆっくりと休む場所もないほどである。雑談をしながら場所が空くのを待ち続ける。地元の方だというので日帰り入浴の場所を尋ねたり、新潟の山の話しを聞いたり、あっという間に時間は過ぎ去った。しかし、腰を下ろせば虫が身にまとい始め、いささかうるさい。食べるものも食べず下山するはめになってしまった。



<忠右エ門沢のカッチ>



<ヒメサユリ咲く山道から鬼が面山を振り返る>



<景色も見えたり見えなかったり>



<浅草岳が見えてきた>
下山する頃になるとガスも切れ始め、浅草岳の山頂付近が見えてきた。風も強く吹き出し、涼しく、爽やかだ。鬼が面山の先へ行けばニッコウキスゲとヒメサユリが共演しているという話しを聞いた。次回は機会があれば浅草岳まで訪れたいものだ。



<ガスが切れてヒメサユリも色鮮やかだ>



<南岳から望む稜線>



<毛猛山、未丈ケ岳方面を眺めるが相変わらず雲が多い>



<振り返って見納めの浅草岳を>



<やっと田子倉湖がはっきり眺められた>



<再び、むしむしした山道へ入る>
冷たい風が吹いてきた。再び雑木に囲まれた山道を下山する。雲行きも怪しくなってくる。マイクロ中継所まで戻るとパラパラ大きな雨粒が降ったり、止んだり。休憩を入れて駐車場へたどり着く頃には雨も連続して降り始めてきた。雷こそ鳴らないが、やはり今日の天気は変化が激しい。下山後は早速、守門温泉まで車を飛ばし、汗を流した。巻機山から突然、鬼が面山になったが、思いもよらない花に出合えて良かった。来年はゆっくりと山菜でも食べながら一泊二日でヒメサユリを楽しみたいものだ。

2 コメント

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鬼が面山 (たそがれオヤジ)
2013-07-01 08:46:46
おはようございます。
鬼が面山、なかなかいい山ですね。あんぱんさん好みの花の山じゃないですか。
以前、浅草岳を行った際、左手にずっと鬼が面山が見えておりましたが、ゴツゴツ感があって、絶壁が続き、何やら怖い山のイメージがありました。
こんな時期なのにまだ残雪があるようですね。行きたくなってしまいましたよ。
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たそがれさん (あんぱん)
2013-07-01 20:43:07
こんばんは、たそがれさん。
もう少し早かったら浅草岳まで行くことも考えましたが、あの天気では温泉が待っていたもんで、あっさりと鬼が面で引き返しました。自転車をデポして周回しされている方も数名いましたよ。残雪にはホント、ビックリですね。それにしても、秋田、お疲れ様でした。涼しそうな滝を眺めて思いましたが、これもまたいいですね。
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