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本栖湖周辺の歴史散歩『甲斐武田氏ゆかりの史跡と中道往還』を実施しました。

2012-03-26 16:29:24 | インバウンド観光情報

 中道往還は、甲斐国(山梨県)と駿河国(静岡県)を結ぶ街道で、軍用道路として重要な役割を担っていたとされ、さらに江戸時代になると、海が無い甲斐国にとって、駿河からの塩、海産物などの輸送路、経済の流通道路として、活況を呈しました。中世・戦国時代の軍事上重要な中道往還は、御坂山地や富士山麓などの山裾を通過する街道であり、往来の監視や良質な甲州金の流出を防ぐため、武田氏は本栖と古関(現甲府市)に関所を設置、駿河今川氏の侵攻の脅威に対しては、標高1056mの城山山頂の主郭を中心に、南北に狭く細長い尾根の自然の地形を利用して本栖城を築きました。甲駿国境本栖の警備にあたり、中道往還と本栖金山を守る九一色衆十七騎の長である渡辺因獄佑(ひとやのすけ 実名・守)は武田氏に仕え、天正10年(1582)に武田氏が滅亡し、本能寺の変を経て、同年の7月徳川家康の甲斐入国に際して功を立て、家康から諸商売役免許の印書を与えられました。武田軍の人馬が跋扈し、信長・家康が通った九一色郷と中道往還、関所あり、金山あり、甲州駿河の国境ということから、本栖の地を中心に歴史の一端が動いたといえるでしょう。

このような歴史背景のある本栖、3月24日(土)、地元ガイドとともに、甲斐武田氏ゆかりの史跡や旧中道往還を巡り、本栖城跡(城山山頂)では往時に思いを馳せ、今の本栖の風景や富士山をはじめ周辺の山々の眺望を楽しんできました。

            集合場所の「県営本栖湖駐車場」で『初めの会』

                     『渡辺因獄佑の墓』と『上九一色中学校(現在は廃校)』

                                    中学校の前から『旧中道往還』に入り、溶岩石の多い道を進みます。

                     『本栖城跡(城山山頂』への登り口で小休止、ガイドの滝口さんから歴史的背景のレクチャーを受けます。

                                『のろし台』の構造や、溶岩の流れがわかる特殊な地図で現状の地形と比較したり、とても興味深いお話しをしてくれました。

                                      城郭跡(城山頂上)で休憩、富士山は頂上が雲で隠れていました。

                           城山を下山、青木が原樹海に少し入ると、総延長2kmほどの『石塁』があります。この辺りは高さ1mから1m50㎝、武田信虎、信玄親子の時代に築造されたと伝えられ、大小の溶岩石を積み上げ、敵の侵入を防いだといわれています。

                                        石塁から本栖の信号に向かう途中の左側に、『七社大明神』があります。  中道往還の道筋、本栖集落の北端に位置し、行商に行く人たちの道中の安全祈願や、村に蔓延した疫病退散の祈願をしたと語り継がれており、武田信玄の石碑、石仏などが残っています。

                                                           本栖の信号付近には『地下道』があり、安全に渡れます。        渡って少し下ると、『本栖関所跡』があり、表示板のみで建物等の名残はありません。

                                           本栖関所跡からさらに少し下ると、『山神社』があります。        ここでは、300年もの昔から伝わる古いお祭り『本栖公家行列』が、毎年5月17日に行われます。徳川家康から命を受け、本栖関所で駿河国境の警備に当たっていた渡辺囚獄佑(わたなべ ひとやのすけ)が、若者の士気を鼓舞するために始めたと伝えられている伝統行事です。

                                             『与謝野晶子歌碑』、大正12年8月、夫の鉄幹とともに立寄った際に詠んだ歌「本栖湖をかこめる山は静かにて 烏帽子が岳に富士おろし吹く」が歌碑となっています。

約3時間30分のウォーク、ここで終了・解散です。

ウォークを実施する前、身近な人たちに「本栖にお城があった」というと、大半の人が「え?」と言って、知りませんでした。           ガイドさんの解説を聞いて「初めて知った!」という驚嘆のお声がたくさん聞かれ、「動」の印象を持つ『河口湖・山中湖』とは違い、「静」の趣をもつ『本栖湖』、歴史や風景をゆっくりと堪能するのにおすすめです。


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