etceterakoの勝手にエトセトラ

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「宝塚歌劇の宣伝は、変わらぬ伝統を保っております」51へえ!

2008年05月19日 | レヴューのトリビア

 
「宝塚歌劇の宣伝は、変わらぬ伝統を保っております」51へえ!

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 ※写真は昭和9年の広告の「枠」です。本文の最後のほうに出てきます。

 昨日引用した夕刊フジの記事には、あと少し続きがあるんです。続きも読んでみましょー。

 宝塚は〝バック・トゥー・タカラヅカ〟を、まじめに検討しはじめた。少女たちのために美しい夢を、花園を取り戻そうというわけだ。
 若さを売りものに宝塚歌劇団の理事長に就任した小林公平さんは〝バック・トゥー・タカラヅカ〟を前向きにとらえたキャッチ・フレーズを決め、来春早々、あらゆる機会に大々的に打ち出すと宣言した。
 いわく「ファンタジー・アドベンチャー」

 下線は生意気娘Kによる。

 「ファンタジー・アドベンチャー」(笑)
 いい標語ですねえ(笑)
 でも、創始者の一三先生の「清く、正しく、美しく」にくらべると、だいぶ弱いかなー。

 「清く、正しく、美しく」は、キャッチコピーであるだけでなく、もともと夜の文化であったレビューを「ウチは違う!」と強弁し、タカラヅカを従来のレビューや芸能のイメージから切り離すための、非常に巧妙な「思想(的戦略)」になってたんですよね。
 それにくらべると、「ファンタジー・アドベンチャー」は、カッコイイけど無味乾燥で思想性がないなあ。(いや、なきゃイカンというわけじゃないけど。)タカラヅカはそれ自体が思想なんだから、そんなスマートすぎるコピーじゃなくて、もっと「宝塚とは!!」を無理やり定義づけるような強引さがあったほうがイイと思うけどねえ(笑)

 話それるけど、去年から宝塚歌劇団がキャンペーンはってる「応援します! 世界にひとつのタカラヅカ」ってコピー、あれは「宝塚らしくて非常にナイス!」だと思う(笑) 有名人つかって、「ほらほら、こーんな有名人も応援しちゃってる、世界にひとつのタカラヅカあああ!」という、自画自賛のおたけびポスター、最高じゃないですか?(笑) 宝塚はこうでなくては(笑) 

 ではここでスペシャル企画。
 昭和10年の新聞広告と、昭和51年の新聞広告を見比べしてみましょう。

 まずは1976年(昭和51年)5月26日の新聞広告。(何新聞かは不明)

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 青春と向い合って62年ーーーー
 愛を語り、夢を追って62年!

 80人の妖精と40人のオーケストラで
 あなたを魅了する東京宝塚劇場は・・・・・・

 国電有楽町駅から3分、地下鉄銀座線
 から2分、日比谷駅から1分の東宝有楽街の中心です。


 ヒビヤ 東京宝塚劇場
宝塚歌劇
 「ベルサイユのばら」観客数一〇〇万人突破!
 ファンタジックなロマンを求め、男性にも
 女性にも、そして年令も超えて楽しまれています。

野坂昭如 氏   ’75年11月21日号「週刊朝日」より
「ベルサイユのばら」は、六十年の歴史の中ではぐくまれた
宝塚の真髄が一気に噴出した感じで、ミュージカル、
音楽劇といった枠を超え、こちらを圧倒する。
ティーンエージャーと舞台の交歓を、どんな風に
おとしめて考えることだってできるだろうが、そのかもし出す
雰囲気は、何といっても、もっとも良き劇場のそれである
ことを、多分、夜道をたどりつつ納得できるはずだ。
宝塚歌劇は、美しい夢であり、いっそオスカル様風に
いえば、場面の一つ一つが思い出を紡ぐ五色の糸、
それぞれの胸に、綾なす錦織りなして、それは浮世の浪風に
決して色あせぬ。要するにキレイなのだ。

〈星組7月公演〉 7月2日→8月1日/6月6日前売開始
〈月組8月公演〉 8月5日→30日/7月11日前売開始
  友の会割引席は一般前売の2週間後に前売開始
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長谷川一夫・演出 植田紳爾・脚本・演出 池田理代子・原作
                          「ベルサイユのばら」より
                          少女週刊誌「マーガレット」協力

宝塚グランドロマン
ベルサイユのばらⅢ
第1部・薔薇になみだを 第2部・別れの紅薔薇
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  引用されている野坂の文章は、週刊朝日の連載エッセイです。このもとのエッセイも、P様の資料には入っていました。(スゴイ!)
 「野坂昭如のオフサイド75」に「『ベルサイユのばら』とわが家と宝塚」として、見開き二ページ、連載まるまる一回分を使って、思い出を絡めながら宝塚を語っています。「連載・46」と書いてあるから、連載46回目??タイトルの「75」が1975年を表しているなら、1975年の週刊連載46回目・・・は、年末かな。
 次は1934年(昭和9年)5月20日、朝日新聞に出た広告をどうぞ。

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 東京朝日新聞紙上より

 五月九日付朝刊、東京朝日新聞に次の様な記事が出てゐました。簡潔な記事ではありますが世間が、宝塚星組公演をどんな風に見てゐるかと云ふ事を知っていたヾく一助にもならうと思ひまして、此処に大略掲載させていただきます。

 好手際の「太平洋行進曲」

東京寶塚五月公演の出し物はレヴュウ「太平洋行進曲」、オペレット「アルルの女」、日本舞踊「奴道成寺」、オペレット式レヴュウ「ウィーナー・メーデル」の四本でいづれも相當に見られるものをそろへてゐる。
 「太平洋行進曲」は酒井海軍少佐の原作に岸田氏がレヴュウ的手法を加へ、山田耕筰氏が作曲したもので、音楽が全作品を通じ一貫した個性によって統一されてゐる。
場面の変化も封照に富み、少女たちと思はれぬ程雄壮に海兵生活を活写する。鉄骨構成によるフィナーレの旗艦に於ける砲塔の操作、これにつゞく礼式整列、分別式、いづれも手際よく行はれ、軍国日本の海の誇を壮麗に展開する。

 ▽・・・・・・・・

「アルルの女」は金曜会の藝術的な演出に比すると遜色があるが、大切な老人役、殊にバルタザールも少女にさせる以上はこの位に行けばよいとしなければなるまい。

 ▽・・・・・・・・

「奴道成寺」は五月公演中、藝術的にもっとも光ってゐる。白拍子花子、実は左近をつとめる天津乙女の踊りは正月のコケラ落しの三番艘よりずっと出来がよい。

 ▽・・・・・・・・

 最後の「ウイーナー・メーデル」にはもちろん種があるが、材料を上手にこなし、宝塚向きに改装したロマンチックなオペレットで、無邪気なユーモアもあり、あまり■にもならぬセンチメンタリズムもある。
 明津麗子の女主人公アニー、春日野八千代の主人公エミール、共に適材適所、その他の配役も當を得てゐるので、全出演がきはめて自然に行はれ、観客の心を素直に作中の人物へ導く。(牛山)

 五月星組公演 三十一日まで

日本海海戦二十九年記念上演
海軍省軍事普及部提供

一、レヴュウ 「太平洋行進曲」(全六景)  海軍少佐 酒井慶三作
                                  岸田辰彌改修及振
                                  宇津秀男舞踊振付
                                  山田耕筰作曲
二、オペレット 「アルルの女」(全三場)   白井鐵造改修及振
                           須藤五郎編曲
                           
三、舞踊 「奴道成寺」(全三場)     水田茂作及振
                         酒井協作曲

四、レヴュウ 「ウィーナー・メーデル」(維納娘)(全十八場)  堀正旗作及振
                                      荒尾■一舞踊振付
                                      中川榮作作曲
                                      山内匡二編曲
 平日 午後四時開場・六時開演
 土・日曜日 昼夜二回公演
          昼の部 午前十時開場・正午開演
          夜の部 午後五時開場・六時開演

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 六月の東宝は
   春秋座 市川猿之助一幕
   東宝専属男女優合同公演
   一、「若き日の成吉思汗」
   二、「武者修行とお化け」
   三、「吉田大八」
前売開始!!

 御観劇料
  三階席 五十銭・一円
  一、二階席 一円五十銭・二円
  御座席券は当日売、前売に区別して御座いますから
  いつでもよい席が御座います。
 前売開始 毎日午前九時より

ヒビヤ 大衆藝術の陣営 
     家庭共楽の殿堂 
東京宝塚劇場
 


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 むりやりブログで再現してるんで、レイアウトまでカンペキに写しとれてないんだけど・・・。まあ雰囲気だけ見てくだされ。■は活字がつぶれてて読めないとこですじゃ。
 レビュー「太平洋行進曲」は、なんと海軍少佐が原作したとな!?ご時世とはいえ、すごいですね~。「日本海海戦二十九年記念上演」とか「海軍省軍事普及部提供」というコトバが、時代をよくあらわしとるな。

 で。どーですか。ふたつ見較べてみて、「広告の仕方」、変わってないよね!!

 昭和51年は「週刊朝日」から、昭和9年は「朝日新聞」から、批評を引用してきて「どおだあ!」と載せる方法が一緒~。

 あと、が一緒なの。広告を囲んでいる枠が。
 広告を囲む枠が、五線譜みたいなデザインになってるんですよ。これ、昭和51年のも昭和9年のも両方、五線譜デザインです。(まったく同じではないみたい。びみょーに太さとかデザインは変わってるっぽい)

 すごいよねー。戦前、戦後と何十年も変わらないスタイルで広告を打ってたんだ・・・。写真は昭和9年のほうを、枠だけ撮ってみました。うまく見える??

 わたしは「東京宝塚劇場」の新聞広告を目にする機会、まったくないんですけども、ひょっとして今も「五線譜の枠」あるのかなあ?

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4 コメント

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Unknown (ksracing)
2008-05-20 00:56:59
Kさんも僕と同じ18日の12時公演をご観劇されたんですか! ぜひ、Kさんにお目にかかりたかったです。僕は3階席最後列でしたが、もしかしたら劇場内ですれ違っていたかもしれないですね。

ショーの『ハートダンスの鏡』の場面のハプニングは、本当に驚きましたよね! あれが、ある意味生の舞台なんですよね。ただ、梅芸での公演はこれ以外にもハプニングがあったみたいですが…


ブログと関係のないコメントを書いてしまい、申し訳ありませんでした。
五線譜の枠 (ちどり)
2008-05-20 19:33:11
五線譜の枠、ありましたね。
阪急電車の吊り広告で東宝系映画館のロードショーラインアップの広告は五線譜の枠でした。宝塚音楽学校の校歌の楽譜だと、ローカル番組でウンチクしてた覚えがあります。

そういえば最近見ないような気がする、>東宝系映画館のラインアップ広告。
ksracingさまへ♪ (なまいきむすめK)
2008-05-20 22:34:42
>Kさんも僕と同じ18日の12時公演をご観劇されたんですか! 

そうなんです、そうなんですー!
ksracingさんのブログを見て、「わっ。一緒だったんだ」って思いました。わかっていれば、ぜひお会いしたかったです~。わたしも3階でしたよー。きっとどこかですれ違ってますね(笑)

大道具倒れてきたのは、びっくりでしたねえー。
何事もなくて、本当によかったです。
ちどりさまへ♪ (なまいきむすめK)
2008-05-20 22:37:55
>阪急電車の吊り広告で東宝系映画館のロードショーラインアップの広告は五線譜の枠でした。

おおー!
昔の新聞でも、東宝系の興行広告は、芝居も映画もみんな五線譜で囲んでます。
じゃあ東宝系はずっと、そのデザインを使っていたんですね!
音楽学校の歌だったんですかぁ。へええーっ!

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