↑久屋大通公園テレビ塔下
江戸時代に著名な俳諧師を囲んで洒落た「俳諧の句座」に加わるのは裕福な
庶民の楽しみでありステータスでした。
とはいってもそこは庶民であり貴族の和歌と違って「雅」と「俗」が一体化する
座の文学です。
有名な芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」は川でも海でもなく「古池」です。
ましてや主人公は鳥や魚ではなく「蛙」という俗のものでした。
しかし俳句は川柳とは違って何でもいいのではなく季語を入れなければなりません。
春は桜に象徴される「花」秋は清かな気候にふさわしい「月」などです。
和歌の伝統をひく季語の「雅」が全体の句調を整えてくれます。
中部ヤマハメール句会は現代の「高校俳句甲子園」などで行われている、他人の句を
鑑賞や批評したり自作の句を説明するような、和やか方式で進めています。
今や500万人を超える俳句愛好者の粋な楽しみ方作句方法を勉強し、それを鑑賞・説明する
句座をわいわいがやがやと楽しく進めていく、蕉風文化発祥の地らしい名古屋(和やか)方式
の俳句会です。
↑久屋大通公園
「令和3年夏のメール句会投句選評一覧」
*[ ]作者氏名 ( )選句者氏名
①老いてなほ自粛切なや五月晴れ [大曾根駄空]
老境の心に共感 (八幡大明神)
年を重ねた5月ばれの季語に、このコロナ禍のおかげで自粛せねばならないため息が聞こえそう (道岡和子)
五月晴れなのに老年になっての自粛生活は切ないです。 (葛山折情)
②紫陽花や流しておくれ悪疫も[舩橋小樂]
紫陽花に勢いよく雨の降るこの時期、コロナも一緒に流してほしい願いを感じます (道岡和子)
雨の中の紫陽花、情景が浮かびます (荒木純子)
③薬玉(くすだま)の房を束ねて祈りかな [伊藤和子]
折々の習わしには願いや祈りが込められるようです (大曾根駄空)
古来からの厄払いには大事な祈りが込められているのでしょう (葛山折情)
④水無月や雨雲多くにわか雨 [道岡和子]
選句します (荒木純子)
⑤雨の中仕掛け花火かアガパンサス [三浦雅風]
鬱陶しい雨の中で艶やかに咲く花に花火を見た (大曾根駄空)
花火とアガパンサスの対比が意外でした (伊藤和子)
➅闇なれど小声の多し蛍狩り [葛山折情]
暗闇の中でもほのぼのとした懐かしさを感じます。(舩橋小樂)
闇の中で懐かしく楽しい蛍狩りにワクワク感や楽しさが聞こえてくる
ようです (道岡和子)
選句します (三浦雅風)
⑦友からの元気の便り桜桃(さくらんぼ )[荒木純子]
少しづつ、欠けてゆく、友人 (八幡大明神)
友人からの変わらぬ元気印(さくらんぼ)と、友情に安堵感が (道岡和子)
⑧晩節の梅雨空寒しコロナの世 [大曾根駄空]
⑨命など知った事かと盛夏来ぬ [舩橋小樂]
長引く自粛や巣籠へのいら立ちに同感です (葛山折情)
⑩夏マスク眼と眼があっても擦れちがい [伊藤和子]
早く顔と顔を合わせた挨拶をしたいものです (舩橋小樂)
この人は知人かもしれないと思うようなコロナ禍の擦れ違いですね (葛山折情)
選句します (三浦雅風)
⑪向日葵に過ぎし日浮かぶ笑い顔 [道岡和子]
楽しさ、明るさを向日葵に込めたのが良いです (荒木純子)
⑫時代かな赤白紫あじさいが [三浦雅風]
⑬赤門の門扉を登る蝸牛(かたつむり [葛山折情]
門扉と蝸牛の組み合わせがユニークでした(伊藤和子)
⑭世は自粛庭のプールに子らの声[荒木純子]
子供達は庭のプールでも大はしゃぎしています (舩橋小樂)
ステイホームの切ない親心と元気な子供たち (大曾根駄空)
自粛とはいえども子供たちの元気な声は救いです (葛山折情)
選句します (三浦雅風)
⑮遙かなり立山詣で岩桔梗[大曾根駄空]
岩桔梗の可憐な花が心を和ませます (伊藤和子)
選句します (道岡和子)
選句します (三浦雅風)
⑯梅雨晴間良きお恵みと遠出する [舩橋小樂]
選句します。(荒木純子)
⑰オンライン画面の中に夏の空[道岡和子]
どんなに暑くても、外の空気を思い切り吸いたいですね。(舩橋小樂)
選句します (荒木純子)
選句します (三浦雅風)
⑱立葵峠は越えたかコロナ禍の [三浦雅風]
燃えるように咲く花を見てコロナ禍の先を見た。(大曾根駄空)
⑲モノクロの若き夫婦や青林檎 [葛山折情]
まだ新鮮だった新婚の頃を思い出しました (舩橋小樂)
青い林檎の頃の思い出はモノクロに限ります(大曾根駄空)
両親の若かりしの姿を想像しました! (伊藤和子)
以上 (記:葛山折情)