点滴容器をじっと見る
(2011年)
3年前
病院のベッドの上で書いた日記です。
(2011年)
3年前
病院のベッドの上で書いた日記です。
2011年9月24日(入院14日目)
午後4時頃、主治医が左手と左足の具合を見にやって来た。右脳をやられて左半身が不自由になったのだが、なぜか左足が一番回復が早い。入院4日目には一人で歩けたから。診察は数分で終わった。
夕方「yamacさん、これが最後です」と言って看護婦さんが点滴容器を持って来た。
看護婦さんが帰った後ベッドに横たわり、点滴が一滴一滴落ちてくるのをしばらく眺めていた。
すると、朝から晩まで2週間も私に付きっ切りだった点滴が、今夜で最後だと思うと、いつも離れたところにぶら下がっていた点滴容器を、近くで見たくなった。
ベッドの上に立ち上がり、点滴容器を手に取ってじっくり見た。ふと容器の裏側を見ると『点滴終了・抜針』と油性ペンで書いてあった。
私は思わずにんまりしてしまった。
夜中に点滴の液剤が全てなくなり、看護婦さんが点滴をはずしにやって来た。そして、右腕に長い間付いていた針を抜いた後言った。
「yamacさん、やっと終わりましたね」
「やっと終わったよ~」
私は安堵感でいっぱいだった。
ベッドの横にいつもあった、キャスター付き点滴棒もなくなった。
そして、右腕にはもう管は付いていない。
これで完全に『ひも付き』でなくなった。
( "ひも付き"とは、点滴の管の事。キャスター付き点滴棒を持って、隣の男性のベッドの前を通った時、「"ひも付き"でどこ行くの?」と言われた事がある) (*^^*)
確かに点滴の管はひもを付けている様にも見える。隣の男性はいつも面白い事を言っていた。
明日は退院、入院生活も終わりだ。私は心地良い眠りについた。
つづく