「宿も荒れ主もなけれど月のみぞ 澄みも変わらぬ広沢の池」(慈鎮)
地理的には、広い意味で嵯峨野ということになるだろうが、観光客が訪れる嵯峨野・嵐山界隈からは、かなり離れており古刹「大覚寺」に近い。しかも、歴史的風土特別保存地区に指定されていることもあり、静かな景観が保たれている。道路沿いに鶏の水炊きの店などがあり、池を眺めながらの水炊きは格別な風味がある。
目に入るのは、池と、背後の小高い山、そして西に広がる田園風景。そんな静かな風景が広がる広沢池、王朝時代より多くの人に愛されたいわれ深い洛西の別天地である。
この池は、平安時代の中期、永祚元年(989)、宇多天皇の孫で真言宗の寛朝僧正がこの地に遍照寺を建立した時に、庭園の一部として造られたと言われていおり、当時、池のほとりには、釣殿、月見堂などが設けられていたそうだ。その後、寺は荒廃し、池だけが残ったという。遍照寺創建当時から月の名所として知られ、西行をはじめ多くの歌人が歌に詠んでいる。
「いにしへの人は汀に影たへて 月のみ澄める広沢の池」(新千載集:源三位頼政)
「あれにける宿とて月は変わねど 昔の影はなほぞこひしき」(風雅集:薩摩守平忠度)
現在、池の西のほとりに橋が架けられた小さな島があり、観音像と池築造千年の碑が建てられている。この島は、寺があったころの観音堂の名残といわれており、時代劇の撮影地として大覚寺と共によく使われている。取材で訪ねた頃は夏の盛り、観音堂のある小島の周辺には古代蓮が咲き、一幅の日本画を見る思いであった。
ところが冬になると池の水がほとんどなくなる。別に干上がっているわけではなく、水を抜いているのだ。池は養魚場にもなっており春、鯉や鮒、もろこの稚魚が放流され、そして冬を迎えること1月くらいかけて水を徐々に抜いていき、人が入れるくらいの深さになったところで、大きく育った魚を獲って即売したり、市内の料理屋などに売られていくというわけだ。魚を獲る様子はテレビなどで放映され、京都の冬の風物詩として定着している。冬は湿地のようになり、ところどころに水路があり、魚をねらって日が昇るにつれて、鳥たちが集まってくることから、バードウッチング愛好家たちの撮影ポイントとしても人気がある。
周囲約1.3km、面積14万平方メートルでカイツブリ、イシガメなどが生息する。季節もやはり秋が一番。水面に赤や黄色の木々が綺麗に映る。観月にぴったりの小さな洲もあり、のどかな田園風景が広がる北嵯峨にある観月の名所。一説には、嵯峨野を開拓した秦氏の手によって造られたともいわれるが定かではない。
所在地:京都府京都市右京区嵯峨広沢町。
交通:JR京都駅より市バス26系統山越行(約30分)、山越より徒歩7分。
地理的には、広い意味で嵯峨野ということになるだろうが、観光客が訪れる嵯峨野・嵐山界隈からは、かなり離れており古刹「大覚寺」に近い。しかも、歴史的風土特別保存地区に指定されていることもあり、静かな景観が保たれている。道路沿いに鶏の水炊きの店などがあり、池を眺めながらの水炊きは格別な風味がある。
目に入るのは、池と、背後の小高い山、そして西に広がる田園風景。そんな静かな風景が広がる広沢池、王朝時代より多くの人に愛されたいわれ深い洛西の別天地である。
この池は、平安時代の中期、永祚元年(989)、宇多天皇の孫で真言宗の寛朝僧正がこの地に遍照寺を建立した時に、庭園の一部として造られたと言われていおり、当時、池のほとりには、釣殿、月見堂などが設けられていたそうだ。その後、寺は荒廃し、池だけが残ったという。遍照寺創建当時から月の名所として知られ、西行をはじめ多くの歌人が歌に詠んでいる。
「いにしへの人は汀に影たへて 月のみ澄める広沢の池」(新千載集:源三位頼政)
「あれにける宿とて月は変わねど 昔の影はなほぞこひしき」(風雅集:薩摩守平忠度)
現在、池の西のほとりに橋が架けられた小さな島があり、観音像と池築造千年の碑が建てられている。この島は、寺があったころの観音堂の名残といわれており、時代劇の撮影地として大覚寺と共によく使われている。取材で訪ねた頃は夏の盛り、観音堂のある小島の周辺には古代蓮が咲き、一幅の日本画を見る思いであった。
ところが冬になると池の水がほとんどなくなる。別に干上がっているわけではなく、水を抜いているのだ。池は養魚場にもなっており春、鯉や鮒、もろこの稚魚が放流され、そして冬を迎えること1月くらいかけて水を徐々に抜いていき、人が入れるくらいの深さになったところで、大きく育った魚を獲って即売したり、市内の料理屋などに売られていくというわけだ。魚を獲る様子はテレビなどで放映され、京都の冬の風物詩として定着している。冬は湿地のようになり、ところどころに水路があり、魚をねらって日が昇るにつれて、鳥たちが集まってくることから、バードウッチング愛好家たちの撮影ポイントとしても人気がある。
周囲約1.3km、面積14万平方メートルでカイツブリ、イシガメなどが生息する。季節もやはり秋が一番。水面に赤や黄色の木々が綺麗に映る。観月にぴったりの小さな洲もあり、のどかな田園風景が広がる北嵯峨にある観月の名所。一説には、嵯峨野を開拓した秦氏の手によって造られたともいわれるが定かではない。
所在地:京都府京都市右京区嵯峨広沢町。
交通:JR京都駅より市バス26系統山越行(約30分)、山越より徒歩7分。
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