「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

「美山町」(みやまちょう)

2006年09月09日 12時27分14秒 | 古都逍遥「京都篇」
 京都は良き都である。近代化された街並と1200年にもおよぶ歴史をとどめる景観、そして一歩郊外に出れば田園や山紫水明の山河の美しさが心を癒してくれる風景が古都を包み込み、渾然一体とした中で見事に調和を保っている。

 山紫水明をとどめているその1つに私が愛する「美山町」がある。
 美山町は、京都府のほぼ中央にあり、豊かな緑と、清らかな水の流れを持つ自然美豊かな農山村地域である。集落の入り口には昔懐かしい赤い郵便ポストが出迎えてくれ、故郷に帰ってきたように落ち着けるアプローチである。
 この地に原始古代より人が住み、美しい山と川を守り続け、古い伝統と歴史を経て今日にいたっている。古くは越前と美濃を結ぶ要衝として栄え、中世には信仰文化が花開いた地域でもある。戦国時代には、動乱の中に自治村落を形成し、村民の固い絆によって守り続けられ、近世への道をだどってきた。

 昭和30年に大野郡芦見村、羽生村、上味見村、下味見村と足羽郡下宇坂村、上宇坂村の6ヵ村が郡境を越えて合併し足羽郡美山村となり、その後、昭和39年に町制を施行して現在の美山町となった。福井市の東部にあり、東は大野市、南は池田町、北は永平寺町および上志比村とそれぞれ接しており、総面積は約340平方km、京都府内の町村で一番大きな町である。飯降山、白椿山、剣ヶ岳などの800~900㍍級の山々に囲まれ、由良川が町の中央部を流れている。

 川に沿って建てられた民家のうちおよそ250棟は、昔ながらの茅葺民家で、特に北集落は茅葺民家が多く残っており、自然景観と、茅葺民家がうまく調和して、日本の農村の原風景とも言うべき風情を呈している。
 集落での茅葺建築数は岐阜県白川村荻町・福島県下郷村大内宿に次ぐ全国第3位となっている。その他の伝統技法による建築物群を含めた歴史的景観の保存度への評価も高く、平成5年12月、国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けている。春夏秋と季節の花が茅葺民家を包み彩りを添え、冬には2㍍ほどの雪が積もり、深々とした中に凛とした水墨画を見る思いである。

 のんびりと散策しながら是非立ち寄ってもらいたいのが、茅葺の里のシンボルである「美山民俗資料館」である。火災で焼失したが平成14年10月16日に再建されもので、農村文化の資料が豊富に展示され往時の暮らしぶりをうかがい知ることができる。入館料300円。食事と休憩には「自然文化村かじか荘」がいい。田舎の旬の食材をふんだんに使った郷土料理を出し、施設内には、松鉱石を使った薬石風呂・炭埋風呂に加え、季節によって「バラ風呂」が用意され女性に人気を得ている。
 地元で採れた蕎麦を使った十割手打ちそばが味わえる「食事処きたむら」は、茅葺屋根の素朴な佇まいの雰囲気で、旅の思い出を創造してくれる。

 美山の名水として親しまれている「神田の水」は、由良川の源流から湧き出たもので、この天然水を使い「美山の水とお茶」を商品化して売り出しており、お土産にいかがなものだろう。すこし足を伸ばして「唐戸渓谷」を散策されるといい。大小さまざまの奇岩、巨石に波しぶきをたたきつける清流が見事な景勝地で、春は一面の緑とツツジ・シャクナゲ、秋は紅葉と、四季を通じて人々の心を和ませ、自然の雄大さは北桑十景に数えられている。

 7月14日には、祇園社の神楽(田歌)が行われる。
八坂神社の例祭で、農産物の豊作を願って奉納される芸能で、天狗・鬼・ひょっとこ・お多福・爺などが、「かぐら」「さんぎり」「にぎまくら」3曲を披露しながら行列する。地域に根ざす伝統文化を知ることができ、観光客もこの時期、多く訪れる。(参考:美山町観光協会資料)

 所在地:京都府北桑田郡美山町大字島小字往古瀬23番地。
 交通:JR京都駅からJRバスで(90分)、周山で下車し美山町営バスに乗り換えて(55分)美山町下車、徒歩すぐ。またはJR山陰本線で(特急55分・普通90分)和知駅下車、美山町営バスに乗り換え(38分)美山町下車。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする