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兵庫「年金裁判」 原告の訴え棄却の不当判決

2023年12月18日 | 活動

年金支給額を国が引き下げたことは生存権を保障した憲法に違反するとして、兵庫県の受給者95人が訴えていた裁判で、最高裁は15日、年金の減額は「合憲」と判断し、原告の上告を棄却しました。今回の判決は最高裁では初めての判決でした。原告・弁護団などは、判決に対して抗議の「声明」を出しました。以下、「声明」の全文を紹介します。

年金引き下げ違憲訴訟最高裁判決に対する抗議声明

1 本日、最高裁判所第二小法廷(裁判長尾島明、裁判官三浦守、裁判官草野耕一、裁判官岡村和美)は、「特例水準の解消」を理由とする一律2.5%の年金減額を定めた平成24年改正法が違憲であるとして、平成25年10月の年金減額決定を取り消すことを求めた上告審で兵庫事案に上告棄却の判決を言い渡した。年金引き下げ違憲訴訟は、現在、兵庫事案を始めとして30の事案が最高裁に上告されている。われわれは、最高裁が全ての事件を大法廷に回付し、立法府の大幅な裁量を認めた「堀木訴訟大法廷判決」を見直し、憲法25条、29条、98条(社会権規約)に基づき、正面から違憲判断をすることを求めて、運動に取り組んできた。 22年11月9日の第1次要請から23年12月6日の第7次に及ぶ要請行動を取り組み、大法廷回付を要求する署名を4万9000筆と「最高裁長官への手紙」2000通を積み上げてきた。 こうした中で、最高裁第二小法廷が、大法廷に回付せず、弁論も開かないまま、年金減額を合憲として、上告棄却の判決を言い渡したことは、最高裁判所が「憲法の番人」としての役割を放棄したものであり、強く抗議する。

2 判決は、年金減額を定めた平成24年改正法が、憲法25条、29条、98条2項に違反するとする上告人らの主張に対し、広範な立法裁量を認めた堀木訴訟最高裁大法廷判決をそのまま維持し、「世代間の公平」や「年金制度の持続可能性を確保する」という国の主張をそのまま認め、憲法25条、29条に違反するものとはいえないと判断した。これは、違憲立法審査権を持つ裁判所の役割を放棄したものと言わざるを得ない。他方で、三浦裁判官は補足意見の中で「このような年金額の給付のみでは、他に収入や資産等の少ない者の生活の安定を図ることが困難であることは否定できず、そのことは、近年における生活保護の被保護世帯の高齢化等の状況からもうかがわれる。」と指摘し、「現に困難を抱える個人が必要な給付や支援を円滑に受けられることが肝要であり、適切な施策の充実が求められる。」と述べている。これは、本件年金減額による当事者の被害を無視できなかったことを示している。

3 年金裁判は12万人を超える全日本年金者組合員らが参加した「不服審査請求」を経て2015年5月29日を中心に44都道府県の組合員らが39地裁で5297人が提訴し、社会保障訴訟としては画期をなす取り組みとなった。年金引き下げ違憲訴訟は2.5%の減額と高齢期を安心して暮らせる「年金制度」の在り方を問う訴訟である。年金裁判の8年間の取り組みは貴重な前進をしてきた。第一に、法廷では全国で181人の原告が年金生活者の実態、特に女性の構造的低年金の実態を告発し、マスコミにも報道されるなど、年金だけでは生活できない実態が社会的な問題となった。第二に、年金裁判で、労働組合の役員の方々29人が証言に立った。また、憲法、社会保障の学者、研究者20人が意見書の作成や証言等、大きな協力を得た。裁判を通じ、「最低保障年金制度」の確立等、生活できる公的年金制度の確立が若者を含めた共通の課題であることが明らかとなった。

4 われわれは、今回の不当判決に屈することなく、残された事件について、引き続き、大法廷回付と違憲判断を求めて取り組みを続けていく。あわせて、最低保障年金制度など、誰もが安心して生活ができる公的年金制度の確立を求めて闘う決意である。

2023年12月15日       

                    年金引き下げ違憲訴訟兵庫原告団                      

                    全日本年金者組合兵庫県本部 

                    全日本年金者組合中央本部

                    年金引き下げ違憲訴訟兵庫弁護団    

                      年金引き下げ違憲訴訟全国弁護団         

 



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