武弘・Takehiroの部屋

このブログは 文系のあらゆることを発信し 
あらゆることを発表するのを 使命とする

アメリカこそ世界最大の“戦争国家”ではないか

2024年06月21日 14時07分42秒 | 政治・外交・防衛

<以下の文は2009年10月9日に書いたものですが、一部修正して復刻します。>

昨日の記事で私は、アメリカの軍需産業が不況の中でも好景気に沸いている話をしたが、よく考えるとそれは当然ではないかと思ってしまう。なぜなら アメリカの経済自体が、戦争と軍需産業に頼っている面が大きいからそうなるのだ。
アメリカは絶えず「戦争」に頼ってきた。19世紀のことはよく知らないが、20世紀に入ると第1次世界大戦が起き、アメリカは一気に景気を回復し、大戦が終わると一転して不況に陥った。そして、第2次世界大戦の時も参戦して不況を乗り切り“戦争特需”にあずかったのである。
その戦争経済体質は非常に明らかで、「軍産複合体」というのは、アイゼンハワー元大統領が、1961年1月の退任演説で指摘したものである(末尾にウィキペディアの記事をリンクしておく)。 アメリカの大統領自らが軍産複合体の存在を指摘し、それに懸念を表明したというのは、アメリカがいかに戦争経済で成り立っているかを証明するものである。
その後、アメリカはどうしてきたか。軍産複合体を止めようとしたのか? とんでもない! ますます、それを推し進めてきた。いい例がベトナム戦争である。当時はソ連、中国など共産主義国家の強敵がいたから、旗印に『反共』を掲げ、ベトナムが共産化すればアジア地域はドミノが倒れるように次々と共産化するという、有名な“ドミノ理論”のもとに戦争を拡大していったのである。
ベトナム戦争以後も、『反共』の旗印は長く続いた。しかし、1991年にソ連が崩壊すると、もうこの旗印は通用しなくなった。冷戦が終了し、人々は平和な時代が到来するものと期待しただろう。ところが、現実は違った。幾つもの民族紛争が起きたことは事実だが、アメリカは『反共』に代わる新たな旗印を模索していたのだ。
そして、現われたのが『反テロ』である。湾岸戦争などを経て、この新しい旗印は次第に鮮明になっていった。2001年9月、アメリカで同時多発テロ事件が発生すると、この『反テロ』は不動の“錦の御旗”になった。それまでにイラン、イラク、北朝鮮、キューバ、シリアなどが、アメリカによって次々に「テロ支援国家」に指定され、アメリカは正々堂々と戦争を行なう口実を得たのである。(ただし、これは自分勝手に決めたことである。)

そして、イラク戦争が勃発したのだが、アメリカは戦争を起こすために、次々と“敵対国家”を作り上げていったのである。その旗印が『反テロ』なのだ。イラクの場合は、大量破壊兵器があると言い掛かりをつけて侵攻し、サダム・フセインを討ち取った。しかし、ご承知のように、大量破壊兵器はなかったのだ! 今頃になって、あの戦争はおかしかったなどと反省めいたことを言っているが、軍需産業は大儲けしたのだから、目的は果たしたのだろう。アメリカ兵は4000人以上戦死したというが(イラク人はその100倍以上も死んだ!)、アメリカの戦争経済のために死んだのなら、名誉の戦死と言えるのだろうか。
さて、次にアメリカが触手を伸ばすのは(すでに一部伸ばしてはいるが)、アフガニスタンである。イラクから撤兵すれば余力が出るから、本格的に軍事介入してもおかしくはない。“テロリスト”たち(タリバンなど)は沢山いるのだ。(沢山いればいるほど好都合だ!) すでに、アメリカの軍需産業はアフガンで儲けているようだが、絶好の“戦争市場”になることは間違いない。
こうして見てくると『反テロ』と言いながら、実際にテロを推し進めているのはアメリカではないのか。敵対者を見つけては(あるいは、作り上げては)、いろいろな口実を設けて戦争を仕掛ける。その度に軍需産業が儲かるという仕組みが出来ているのだ。テロ(暴力・破壊活動など)の最大で究極の形が戦争である。そう考えると、アメリカほど戦争をしている、又したがる国は他にないから、世界最大の『戦争国家』だと言えよう。

アイゼンハワー元大統領は、アメリカの「軍産複合体」に警鐘を鳴らした。しかし、あれから50年近く経っても、アメリカの戦争経済体制は少しも変わっていないようだ。いや、むしろもっと巧妙に狡猾に出来上がっているようだ。
将来、日本が北朝鮮や中国などと戦争を起こすことはまずあり得ないだろう。しかし、仮にそういう戦争が起きたら誰が一番 得をするか、儲かるかを考えたことがあるだろうか。誰が一番 喜ぶだろうか。そう、その通り、それはアメリカである。アジア人同士を戦わせ、両方に武器を輸出して“漁夫の利”を占めようというのがアメリカのやり方である。これによって、アジア諸国はさらに疲弊するのだ。
かつてアメリカは(レーガン大統領の時代)、“断交中のイラン”に武器を密かに輸出し、その売却代金を中米ニカラグアの反政府勢力に渡していた事件があった。これは「イラン・コントラ事件」と言って大スキャンダルになったが、アメリカはこうしたことを平気でやる国なのである。戦争と国益のためなら何でもやる国なのだ。
長くなるのでもう止めるが、アメリカは日本の同盟国だから、私も嫌いではない。大リーグもハリウッド映画も大好きである。しかし 何度も言うが、この国は戦争のためなら何でもするということを、日本国民は深く認識すべきである。そして、アメリカ主導(謀略、策動を含む)の戦争には、出来るだけ係わらないように注意すべきである。そうしないと、いつ日本に火の粉が降りかかってくるかもしれないからだ。(2009年10月9日)

<いま問題になっている「集団的自衛権」について、これは大いに参考になると思う。>

「軍産複合体」・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93(ウィキペディアより)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 政治家たちの印象 | トップ | ガンジーとヒトラー »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・外交・防衛」カテゴリの最新記事