武弘・Takehiroの部屋

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葛飾北斎とミケランジェロは満88歳まで長生きしました。

2024年06月10日 14時56分04秒 | 芸術・文化・教育

<2017年4月に書いた以下の文を復刻します。>

      葛飾北斎(自画像)

               ミケランジェロ

美術にまったく素人の自分が、あえて有名な芸術家を論評するので、戯言(ざれごと)として聞いて欲しい。世界のアーティストの中で、最も好きなのはミケランジェロと葛飾北斎だ。この2人を論評するのがだった。この2人は造形美の天才ではないのか。天才である以上に、その生き方や人間性に魅力を感じる。
ミケランジェロの作品はいくつか観たことがある。10年以上前にイタリアへ行った時だが、フィレンツェのアカデミア美術館で『ダヴィデ像』をじっくりと鑑賞でき、とても感動したことを覚えている。また、ローマではシスティーナ礼拝堂などで有名な天井画や『最後の審判』、それに『ピエタ』などを観たことが今でも忘れられない。
特に『ピエタ』の聖母マリアの美しい表情はたとえようもなく、これに叶うものがあるとすれば、せいぜい広隆寺(京都)の弥勒菩薩像ぐらいだろう。それほど神々しく美しかった。ミケランジェロの素晴らしさはいくら語っても足りないが、それは美術の専門家に任せるとして、次は葛飾北斎だ。
北斎についてもあまりに知られているが、特に『富嶽三十六景』は大好きだ。「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」の富士などはあまりにも有名だが、彼の浮世絵はゴッホやモネら西洋の画家にも大きな影響を与えた。そういう点を日本人は誇りに思っていいが、彼の絵など浮世絵の多くの傑作は大部分が海外に流出している。
それは明治維新で“西洋崇拝”の風潮が起きたため、浮世絵など日本独特の文化や芸術が軽視、蔑視されたからだ。素晴らしい浮世絵も、陶磁器の“包み紙”などに使われたという。これはまことに残念なことだが、包み紙にされるぐらいなら、芸術を尊重する西洋人に大切に保存されたからかえって良かったのだろうか。 浮世絵には春画が多いから、日本人はそれを軽蔑したのだろうか。
北斎が自由自在に描いた『北斎漫画』も荷物の緩衝材に落ちぶれたそうだが、ヨーロッパに渡ってパリなどで大好評を博したという。天才の作品は万国共通だと言える。もし、北斎が現代に生きていたら、絵の具や画材が豊富なだけにどんなに素晴らしい作品を生み出したか想像もできないほどだ。
以上、ミケランジェロと葛飾北斎の天才ぶりを自分なりにまとめたが、これは序論に過ぎない。2人のことを少しは知っていると吹聴したかったのだが、いろいろ調べていくうちに完全な共通点を見い出した。それは2人とも、驚くほどの“長命”だったということだ。
ミケランジェロも北斎も満88歳まで生きた。これは16世紀のイタリアや江戸時代末期では、異例のことだったと思う。88歳は日本でも“米寿”と言ってお祝いをするぐらいだ。今でも長寿だろう。そう考えると、医学や健康療法などが未熟な16世紀イタリアや江戸末期に、米寿まで生きたというのは驚くべきことだったと思う。
日本では“才子多病”などと言うが、才能のある人はとかく病気がちで短命になりやすい。早死にした才人は多いのだ。ところが、ミケランジェロと北斎は稀に見る天才だったのに、満88歳まで長生きした。そして、最期まで芸術活動に命の火を燃やしたのだ。
そう考えると、われわれ凡人はもっと長生きしなければならない。98歳、いや108歳まで生きても2人の天才の業績には追いつけないだろう。せめて長生きして、命だけでも2人を上回ろうではないか(笑)。
今日はミケランジェロと北斎の長命に刺激されて、一文を書く羽目になった。しかし、これからも2人の芸術を堪能しながら、まずは「88歳」に挑戦しようではないか!(2017年4月28日)


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