ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「青いドレス」

2021-02-28 | エッセイ
2021年2月28日(日)

首都圏4都県を除く6県が、緊急事態宣言を解除されるという。
千葉は、まだまだ「崖っぷち」の状況なのだけれど、後1週間で、
本当に解除出来るのかどうなのか・・?
そうは言っても、今日も、ダンス練習場へ。
こういう所は、女性は、黒を着る人が多い。
ウィステも黒。(^^)
そして、パーティなんかで、カラフルなドレスにするのね。
そこで、去年の11月ごろのエッセイを・・・。
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「青いドレス」
                               
 十一月の中旬の木曜日の午後、私は、いつものように先生のご自宅で開かれる
洋裁教室へ出かけた。
孫のゆ~ちゃん、み~ちゃんのために作っているピンクのマスクを
早く仕上げて送らなければと思いながら玄関に入ると、先生が、
「ウィステさん、あの、悪いけれど、アルコールで消毒してから入ってくれない」
 と、教室になっている八畳の和室から顔だけ出しておっしゃり、私は、
「確かに、今の時期、他所のお宅に入るマナーね。失礼しました」
と、棚に置いてあるボトルで、急いで手を消毒してから部屋に入った。
 お仲間四人も集まると、手を動かしつつ、口も動く。
話題は、コロナのことで、先生が、
「第三波だって。すごく、怖いの。でも、午前の人たちで、ここしか行く
場所が無いって方もいて。十二月までは、教室を続けるけれど、
年が明けてからは、分からないわ」
と、話すと、私は、急にコロナが身近に迫ったと実感し、ぞわっと怖さが
湧いてきた。
夕方、マンションに帰っても、テレビのワイドショーは、コロナのことばかり。
もし、毎週ダンスをしている私が、教室にコロナを持ち込んだら、どうしよう。
公民館やお店でのクラスターと違い、個人のお宅でのクラスターでは、
先生にどれほどご迷惑をかけることになるだろう。
それに、AさんやBさんのご主人たちは、大きな手術をしたばかり。
私経由でコロナを移してしまったら、大変なことになる。
万一のことになったら、本当に、ごめんなさいじゃ、済まない。
そう気づくと、もう怖くて、あのお教室へは行けない……。
決心する時が来たのだと、次のお稽古日の前日、私は、挨拶用のお菓子と、
先生から頂いたけれど、まだ手を付けていないドレス向きのキラキラした青い布や、
チュニック用のベージュの布も、お返ししようとご自宅に持って行った。
出ていらした先生は、止めるという挨拶に、びっくりはしても、穏やかに、
「あら、そんなこと気にするなら、あちこち出歩いている私も危ないわ」
 と、言ってくださったが、それは、引き留めるというより、
はなむけの言葉のようだった。
 私は、「春にワクチンが出来たら、また、お願いします」
 と、「辞める」のでは無く、「止める」んだと、自分を納得させた。
 一人でマンションの自室に籠ると、さすがにいろいろと思い出す。
 平成の初期に入会して二十数年、残念ながら、万年初心者のままで、
ず~っと、先生に布に型紙を置いてもらい、言われるままに裁断し、縫い、
仕上げを見てもらい続けた。
そんな情けない生徒でも、お仲間も良い方たちで、居心地は、良かった。
そこで、何着ものラウンドダンスの膝丈の可愛いドレスを縫ってきた。
ブルー、ピンク、ローズ、黒にバラの花模様。どれも、手作りの私だけの
ドレスだった。
 社交ダンスを始めると、高額なドレスは、いらない、いや、作れないと、
公民館でのパーティ用の簡単なドレスを何着も縫った。
すべて、先生に手取り足取りして頂いたっけ。
 太ってしまったここ数年は、それを隠せるチュニックに取り組んだ。
近頃は、洋裁へのパワーは落ちたが、相変わらずコートやジャケットなど大物を
作り続けるお仲間に混じって、私は、リサイクルショップで買ってきた洋服を
リフォームしてみたり、今年に入ってからは、マスクばかり作ってきた。
それでも、お仲間とのざっくばらんなおしゃべりが楽しく、私には大切な
場所だった。
夕方になり、そのお仲間にもご挨拶しなくてはと、電話をかけた。
 Aさんは、「私も怖くなって、教室、そろそろかなと、思っていた」
 Bさんは、「私も持病があってコロナ怖いから、明日までと思っていたのよ」
と、言っていたので、私と同じような気持ちだったんだと分かって安心した。
翌日の木曜日、夕方から、私は喉が痛くなり、その次の日から、咳が出だした。
まずい!コロナかも!やっぱり、止めるという直感は、正しかったようだ。
心の中は、半分、この先の病変を怖れつつ、半分、コロナなら、うつさずに
済んだと、ほっとした。
幸い、熱も出ず、三日ほど風邪薬を飲んだら、喉の痛みも咳も収まった。
普通の風邪だった。
コロナ、セーフだった。
心と体が軽くなると、春になってワクチンが出来たら、又、洋裁を始め、
夏には、縫い上げた青いドレスを着て公民館のダンスパーティで踊ろうと
思えるようになった。
その春を、今は、じっと待っている。
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その春が来つつあるけれど、ワクチンは遅れそうね・・。
それでも、河津桜は見たし、次は、ソメイヨシノと、
心は動き始めているわ。(^^)
コメント
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