野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

鵜殿のヨシ

2023-03-03 | フィールドガイド--植物編--

ヨシ(アシ)・セイタカヨシ

 

高槻市の鵜殿では、毎年2月、新しいヨシの生育を促す目的で、ヨシ原に火を入れ、ヨシを焼く行事があります。淀川の下流域にはこうしたヨシの群生エリアが5か所あります。この鵜殿地区は最も広い範囲で群生しており、古くから歴史にも登場します。

水辺を代表する植物のひとつであるヨシ。アシとも言いますが、「アシ=悪し」となるのを嫌って江戸では「葦(よし)」と言われました。吉原(よしわら)などと言うのは江戸の地名。

 大阪では「アシ=足(お金)」という意味にとらえ、あまり嫌わなかったようです。環状線には芦原橋(あしはらばし)という駅があります。

ヨシは茅葺屋根の材料や、ヨシズとしてかつては使われましたが、現在は瓦屋根に、ヨシズはカーテンに変わってしまい、その需要や屋根を葺く技術の継承者も少なくなりました。

雅楽で使われる管楽器「篳篥(ひちりき)」のリード部分「蘆舌(ろぜつ)」に使われています。鵜殿のヨシでないとよい音色がでないそうです。

 淀川河川敷にはヨシによく似たセイタカヨシ(セイコノヨシ)やツルヨシ、ヤマアワがあります。特にセイタカヨシはヨシに似ていますが、葉が斜上し、アシのように垂れることがありません。

植物の中でイネ科は花もあまり大きくなく、目立たないので見分けることが難しいグループです。そのイネ科を見分けるポイントの一つが葉舌(ようぜつ)です。

 ヨシの葉舌は1.5mmぐらいあり、セイタカヨシでは0.5mmぐらいしかありません。

また、ツルヨシはもっと小さく茎は地上を這い、鞘は赤みを帯びています。ヤマアワは、背たけは1m前後で、葉の長さは30~60cm、幅も1cmほどの細さです。花は5~6月に咲きます。また、葉舌は膜質で4~6mmと大きいです。(「生きている淀川」より)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿