野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

ヌートリアが兵庫県でひろがったわけ

2023-03-25 | 兵庫の自然

ヌートリア

ネズミ目ヌートリア科ヌートリア属の動物で、南アメリカが原産です。

この写真は、伊丹市の昆陽池で撮ったものです。

20年ほど前から市民にはなじみの動物です。

「哺乳類げっ歯目カブロミス科。南アメリカ原産の動物で、本来の名はコイプ。ヌートリアはその毛皮をさします。

体長50cm尾長40cmほどで、体形はドブネズミに似るが、はるかに大きい。

水辺にすみ,岸に直径 20cm,深さ数メートルの巣穴を掘って生活する。植物食で、イネ、イモ類 のほか畑作物を荒らす。加工した毛皮は水に強く、1900年ごろは国際的に高価に取引された。

日本への渡来は明治 40年(1907)、最初の繁殖は昭和13年 (1938)に淡路で成功している。

その後,加工の困難さや毛色から毛皮獣としての価値が低下したが、日本では軍用毛皮用として飼育が推奨された。しかし、次第に野生化し、農業害獣になっている。

兵庫県下でも飼育が行われていたが,野生化しているものは、京都府福知山市仏谷で、第2次大戦後飼育されていたものの子孫といわれる。この系統は昭和35年ごろから由良川本流に現れ,竹田川をさかのぼって氷上郡市島町、春日町に被害を与えた。また 土師川からは多紀郡西紀町、多紀町などにも出現している。竹田川からは分水嶺をこえて,50年篠山川へ移り、55 年ごろから加吉川本流流域にも発見されている。

県下での捕獲数は年間50 匹ほどであったが、最近は数匹程度。 日本全体では年間2,000匹程度で、そ の90%以上が岡山県である。」

(1983年 兵庫県大百科事典下 神戸新聞出版センター より)

 

ヌートリアは農業などに被害を与える有害生物になっていった。ちなみに兵庫県の2018 年度の農作物被害金額はアライグマが最も高く約5千万円、次いでヌートリアの約1千万円となっている。

 

日本では、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」により、特定外来生物に指定し、ヌートリアを野外へ放つことや、飼育・販売・輸入が原則禁止されています。

 

環境省では、1973 年(昭和 48 年)から 40 年以上にわたって実施している自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)の一環として公表している冊子から、ヌートリアの分布を見てみましょう。

「2002 年(平成 14 年)以前のヌートリアの分布と並べてみると(※注1、注2)、東海地方以西に分布するという基本的なパターンには変化はありませんが、2002 年の分布域よりも周辺の広い範囲で確認され、特に近畿・中国地方にその傾向が目立っています。淡路島、小豆島のような瀬戸内海の島嶼でも確認されていますが、四国・九州地方への拡大は確認されていません。」とある

 

1980年代に一番多く取れた岡山県では、岡山理科大の小林 秀司(こばやし・しゅうじ)准教授の研究室から「獣扱いは理不尽!? 知るほどにカワイイ南米原産の大型ネズミ、ヌートリア」で「どうにかうまく共生していきたいですねぇ…。」とヌートリアの研究から述べている。

http://hotozero.com/knowledge/amazing-pencil/knowledgeanimals012/より

 


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