エコツアーを2000年から始めた
当会の会員がナチュラリストクラブの皆さんに宿泊して研修をおこなう計画で始めたものです
2006年にひょうごエコフェスタで報告したものです
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東北自然満喫の旅
2005年6月25日(土)から6月27日(月)
1日目
青森空港到着後早速観光バスに乗る。これから3日間お世話になる秋北バスである。バスの中にはガイドさんの手作りの行程地図が。お誕生日3日前の20歳の秋田美人のガイドさんはとても楽しい方でした。一行はバスに乗り込み、睡蓮沼へ。ここはスイレン科のエゾヒツジグサが自生していることからスイレン沼と呼ばれている。八甲田山中にはたくさんの湿原があるがここからの眺めが一番雄大とのこと。
写真正面に見えるのは八甲田連峰のひとつ、高田大岳。標高980mのこの沼の周りはアオモリトドマツ(オオシラビソ)に囲まれている。他に、レンゲツツジ、ミツガシワ、ワタスゲ(種穂)、イワカガミ、ベニバナイチゴの花などを観察。ここはJR路線観光バスの「睡蓮沼」停留所で降りて目の前の階段をトントントンと何段か駆け上がるともう目の前にはすばらしい眺めが広がっているというお勧めスポット。
ついで、奥入瀬渓流へ。奥入瀬渓流は相坂川上流の十和田湖町子の口から焼山までの約14kmの渓流を言う。全行程を会歩くと3時間以上かかるのでまず石ケ戸(いしげど)でバスを降り付近を散策、再びバスで玉簾の滝まで行き、ここより奥入瀬の流れに沿って銚子大滝まで遊歩道を歩く。途中にはいくつもの滝や大きな岩があり流れは変化に富んでいる。湖の水門によって水量が調節されているので川の水量が年間を通じて変わらないため川の中の岩には美しいコケが生え木が育っている。
奥入瀬にはいくつもの滝があるがその中でも銚子大滝は幅20m、高さ7mの水量豊かな滝。落差と水量のため奥入瀬を逆上して十和田湖に入ろうとする魚を拒む魚止めの滝とも呼ばれている。このため十和田湖には長い間魚が棲めないと言われていた。現在はヒメマス、サクラマスなどが放流され、そのほか数種類の魚が棲息している。
十和田湖は青森と秋田の両県にまたがる標高400mにある二重カルデラ湖。青く澄んだ水をたたえ、遊覧船で約1時間の湖上の旅を楽しむこともできる。
十和田湖の乙女の像の前で記念撮影。ここでこんな看板を発見。昨年知床に行ったときにも確か「ヒグマ出没中」の看板ありましたっけ。
十和田湖湖畔を散策の後、発荷峠(はっかとうげ)を経て本日宿泊の西目屋村(にしめやむら)「白神館」へ向かう。
2日目
今日はいよいよ白神山地散策。ここは白神山地は青森県と秋田県にまたがる広大な山岳の総称。この中で人為の影響がほとんどなく、世界最大級のブナ林で占められている16,971ヘクタールが1993年(平成5年)12月にユネスコの世界遺産として登録された。この地域には核心地域(原則として、人手を加えないで自然のまま残す地域)と緩衝地域(必要に応じて一定の行為を規制し、現状の保全を図る地域)があり、今回私たちが訪れるのは緩衝地域にあるブナ林散策道と暗門(あんもん)の滝。が、暗門の滝登山道は残雪で通行禁止になっていたためブナ林の散策のみとなった。なお暗門の滝への歩道は6月29日に開通したそうで、3日違いで歩くことができなくとても残念。
まずは白神山地への入り口となるアクアグリーンビレッジへ。ここから少し歩くとブナ林散策道の入り口に着く。ここで森林環境整備協力金(強制ではありません)を300円以上を払うと左のような協力者証がもらえる。協力費を払って入山。散策歩道の中にトイレはないのでここで済ませること。
遊歩道に入ると足の下にはふかふかの落ち葉の感触が。ブナは秋には葉を落とし地表は腐葉土で覆われる。この腐葉土に水分が蓄えられるのでブナ林は森のダムとも呼ばれている。頭上より光が漏れてくるブナ林を約1時間散策。
大きな倒木のところで小休止して記念撮影。このあたりではギンリョウソウをたくさん見ることができた。
ブナ林の散策を終え、今日の宿泊地の八幡平(はちまんたい)温泉郷へ。宿泊予定の八幡平ロイヤルホテルの前には県民の森が広がる。早速S先生のお話を伺いながら森を散策する。立ち並ぶシラカバが美しい。
3日目
3日目、ホテルのカーテンを開けると雨。早速天気予報を見ると昼から雨あしが強まると言う。今日の八幡平山頂は歩けるんだろうか。近くにある乳頭温泉(実は最初は予定に入っていたが、急遽八幡平山頂散策に変更された)に入るのもいいと思うのだが・・・。I先生はきっぱり「行きます!」と言われる。それに参加者は山歩きのベテランぞろい。さっさと荷物の中から雨具を取り出して着用。さすが!!
バスにて八幡平山頂に到着。雨がひどくなり風も吹いている。山頂はガスに覆われ周りの景色はまったく見えない。だが遊歩道はコンクリート作りで雨でも歩くのに支障ないようだ。入り口より反時計回りに歩くことにする。雨にもかかわらずみんなしっかりカメラを持ち山頂の花を写す用意をする。少し行くとまだ雪が残っているところを通過。途中のガマ池もまわりは雪に覆われ水面はガスでほとんど見えない。やっと山頂に到着。見晴台があるのだが誰も上がってみようとしなかった。そこからめがね池、鏡池を通って駐車場に戻る。この二つの池もほとんど見えない。山頂からの景色は楽しめなかったが、6月の下旬に雪を踏みしめて歩けて感激。またフキノトウ、イワカガミ、ショウジョウバカマ、ゴゼンタチバナ、シラネアオイ、オオバキスミレ、ウワズミザクラなどたくさんの花を見ることができた。
八幡平の山頂をあとにして次は大沼湿原へ。ここは標高1000m近くに位置する湿原で高山植物の宝庫。木製の遊歩道がきちんと整備されていて歩きやすい。コバイケイソウ、レンゲツツジが咲き乱れる中を散策する。今年は例年になくコバイケイソウ・レンゲツツジが見事だそうだ。イワハゼ、ハクサンチドリ、イワカガミなどを観察。気の早いニッコウキスゲも何本か咲いていた。大沼横に建つレークインにて昼食。バスの運転手さんがきりたんぽ定食を注文してくれていた。山頂と大沼の雨の中での散策で冷え切った体に熱々のきりたんぽ鍋のおいしかったこと!
昼食後はいよいよ最終訪問地の小岩井農場へ。小岩井農場は総面積3,000ヘクタール(900万坪)、東西に5km、南北に13kmもある農場だ。ここのまきば園では牛の乳搾りやシープ&ドッグショー、羊毛を使ったクラフト教室などいろいろな体験ができる。又4月下旬から11月上旬までは案内バスが運行され普段は見ることのできない農場の施設を見ることもできる。乳業工場の後ろには宮沢賢治ゆかりの『狼森(おいのもり)』があるという。ここで休憩の後17:40無事花巻空港に到着。運転手さんとガイドさんに別れを告げ伊丹へと向かう。世界遺産のぶな林の中を歩き、たくさんの高山植物を見ることができて、自然を満喫できたすばらしい旅だった。