そろそろ夏本番.PCにとって,再び試練の季節がやってきた.夏だけに限ったことではないが,常時稼働しているサーバ用途のPCについては,できることなら,MBM5や,マザーボードメーカーの提供するハードウエアモニタソフトで,CPU・HDDの温度や,ファン回転数を常時監視し,貴重なデータやパーツの損傷を避けたいところだ.
しかしながら,このハードウエアモニタソフトによるPC内部温度の監視を過信してはいけない.センサーの返してくる温度の値と,実際のその部位の温度との間に,かなりの差がある場合があるからだ.できることなら,温度の気になるパーツ部位の実測値をとり,ハードウエアモニタの表示と比較して,モニタ表示値と実測値の関係を把握しておくべきだろう.
ただ実際にそれをやるとなると,通常の棒形の温度計ではほとんどムリだろう.そこで登場するのが,温度センサーと表示部が分離しており,その間を比較的長い線で結んだデジタル温度計だ.最近のファンコントローラは,このセンサー付き温度計を内蔵している製品が多い.さらには設定温度を超えると,警告表示や警告音を出すファンコントローラもある.
これらのファンコントローラは,当然の事ながらオープンベイに搭載され,電源はPCの4pin電源ケーブルで供給されている製品が多い.したがって,熱を測定したいPCがたくさんある場合は,それぞれに購入しなければならないし,ノートPCの場合はそもそも使用すら出来ない.
ScytheのTM01-WMは,ボタン電池(LR44)で動くセンサー付き温度計だ.大変小型だが,液晶表示は大きめで見やすい(画像参照).温度は0.1℃単位でまで表示され,3秒ごとに表示が更新される.温度センサーの線の長さは1mもあり,表示部設置場所の自由度は高い.ちなみに購入価格は,680円(ドスパラ静岡店).
この製品のライバルとしては,AinexのTS-03がある.こちらは,ブルーLEDのバックライト付きで暗所での温度確認ができる.ただし,TS-03は,電源としてPC電源(4pin)を使用する.またセンサーの線の長さも55cmとなっており,TM01-WMよりも短い.これらの仕様からTS-03が,PCに内蔵するか,オープンベイに何らかの方法で組み込んだ形態での使用が,想定されていると思われる.さらに言えば,TS-03の価格は1,300円ぐらいが相場のようで,TM01-WMの倍近い.この値段のPC組み込み機器となると,購入予定者の中には,もう少し出資してファンコントローラを購入したくなる者もいるかもしれない.
わずかな出資で手軽に温度を計測したいPCユーザーには,TM01-WMが今のところベストと言える.もちろんPCの温度測定以外にも,いろいろと使えるだろう.一つ備えておいても,損はないと思う.
…ということで,夏の熱対策は,お早めに.最後に一言,TM01-WMの液晶パネルには,使用されるはずのない謎のパターンがいくつか存在する.
- 右上隅にファンの形をしたアイコン
- 温度表示の3桁目となるはずの「1」(センサーにより100℃以上に対応か?)
- 上記の「1」の左横に「▲」「▼」
何かの流用品なの?