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光るミニキーボード SD-2199S レビュー

2005-07-08 13:57:00 | ハードウエア

 ひさびさのハードネタだが,今回は「光るミニキーボード SD-2199S」について,レポートする.このミニキーボードは,今年4月に1,981円(税込)でドスパラ静岡店にて購入したものだ.現在も発売中で,ドスパラの通販(1,980円税込,送料別)で購入できる.


 箱に記載されていたSD-2199Sの主なスペックは以下の通り.


  • 83Key notebook minikeyboard
  • Size:横23.6×縦13.2×高さ1.2 cm
  • PS/2またはUSB接続(USB→PS/2変換アダプタ付属)
  • メンブレン,ノンクリックキー
  • ストローク:3.0±0.1mm
  • 通電状態での寿命:1千万分

 このキーボードの裏側の刻印によると,正式モデル名は「AL-2199」らしい.この名称で調べたところ,このキーボードがHAVIT(中国)製ミニキーボード「HAVIT2199」の日本語バージョンOEMであることがわかった.


  SD-2199Sの最大の特徴は,青色にキーボードが発光することだ.今までにも発光キーボードは,いくつか発売されてきたが,SD-2199Sの発光はセンチュリー「蛍」(CK-89LU-P)によく似ているように思う.また発光ムラが確認できないことから,SD-2199Sの発光部は薄膜EL素子と推定される.発光輝度は,キーボードから伸びるUSBケーブルの途中にある小さなボックス(注:なぜか「DC/AC POWER ADAPTER」と刻印されている)のボリューム抵抗(注:Offのノッチ感あり)でコントロールできる.しかし,ELの特性のためか,実際にはボリュームを変化させても,輝度は「OFF,(低),高」の2~3段階程度にしか変化しない.また,キートップ(白)は透明度がそれほど高くないため,実際に発光するのは「キーとキーの隙間」といった感じになり,センチュリー「蛍」(CK-89LU-P)と同様の発光感が得られる.このような発光形態ではあるが,完全な暗所においても,発光させればキートップの刻印が可読であり,単なる装飾発光ではなく,実用レベルの発光と言える.ちなみに,センチュリー「蛍」(CK-89LU-P)は,既に生産を終了しており,フルキーボードタイプの発光キーボードのみが,センチュリーから発売されている.


 ミニキーボードでよく問題になるのが,キー配列だ.SD-2199Sの配列は,それほど変則的ではないが,いくつか注意点がある.


  • Fnキーが左下角にあり,その右隣がCtrlキー
  • 漢字キーがAltキーと無変換キーの間にある
  • CtrlキーとAltキーが1つずつしかない(ゲーム等で問題ありか?)
  • Pause/Breakキーがない

 Fnキーについては,ノートパソコン等において,Ctrlキーが左下角で,その右隣がFnキーというパターンも多く,ノートパソコンのキーボードなどに慣れているユーザーは要注意だ.


 キートップの形状・大きさについては,画像を見て頂くとわかるとおり,ファンクションキーとカーソルキーが,小さく横長に変形されている.特に多用されるカーソルキーの変形は痛いところだが,カーソルキー群が判別しやすいように,わざわざスペースを空け,一段下がっているところは,有名ミニキーボード Happy Hacking Keyboard Lite2ライクで好感が持てる.またENTERキーがフルキーボードのように,通常キー2個分の大きさを持っていることも,この製品のいいところだ.


 さらに細かいところを見ていこう.SD-2199Sには,通常のキーボード同様に,「足」も存在する.この足がSD-2199Sの底部に存在するのではなく,上部側面に存在するところがユニークだ.無線LANアクセスポイントによく見られるアンテナのように,2つの足は底面方向にスイングさせて立てるしくみだが,足がかなり細いため,強度にはやや不安が残る.この大きさのキーボードで足を立てる必然性はあまり感じられないので,「単なる飾り」と見た方がいいかもしれない.


 さて,それではお約束の「解剖」に移ろう.底面のネジをはずすと,ブリキ板(おそらくEL部)のような底板が現れる.スペースバーの下部あたり,ちょっとしたパームレスト的スペースの下に小さな基盤が存在したが,その半田付けはかなり汚い.ヤニが飛び散っている上に,おそらくニッパーで切った芋半田のくずが,基盤上に散っていた.なんとも言えない手作り感だ.さらにブリキ板を固定している十数個のネジを精密ドライバではずそうとしたが,何と1つのネジのネジ山が既につぶされていた!それゆえ,ブリキ板を完全にはずすことはできなかった.しかもこのネジの精度にも問題があり,1つのネジは,ネジ頭の円の中心が,「+」中心よりずれていた.しかたなく,ブリキ板をずらしてみると,メンブレンスイッチのシートが現れ,キートップの下のラバードームも露出した(注:本Blogの画像参照). ということで,解剖はここまで.


 最後に使用感と不具合について書いておこう.まず最初に言えることは,このキーボードは,常用するためのものではないということだ.ストロークが短い上にほとんどクリック感がないため,打ち込めたかどうかはっきりしないのだ.ここで気になるのが,SD-2199Sの輝度調節用のコントロールボックスに,スピーカー出力の為のような穴が空いている点だ.これは私の母の指摘だが,「もともとこのコントロールボックスには,キー打鍵時のクリック音を出すためのもので,ボリュームはその音量調整のためにあったのではないか?」という推論は,あたっているかもしれない.それならば,SD-2199Sがクリック感のないストレートタイプのメンブレンであることにも納得がいく.


 不具合については,一点だけあったが,これはこの個体特有の問題なのかもしれない.CalsLockするときに,左Shiftキーとの併用が効かず,右Shiftキーとの併用時のみ,有効となる点だ.この不具合については,大きな実害はないだろう.


 SD-2199Sは,常用キーボードには向かない.キーピッチの狭さ,ストロークの短さ,ノンクリックキーといったSD-2199Sの特徴は,常用キーボードとしてはあまりにも厳しい.ただし,「モバイル・キーボード」としてみた場合,SD-2199Sは非常に安価で優秀な製品だ.持ち運びに関しては,小型で,非常に薄く軽量なため,かさばらないし,荷にならない.ケーブルも通常のキーボードに比較すると細く,束ねてしまえば,モバイル運用のじゃまにはならないだろう.さらにPS/2・USB両方の接続をサポートしているため,接続するPCを選ばず,また何らかの理由で暗所や閉所で作業しなければならない場合にも,その小型形状や発光能力が大いに役立つはずだ.


 ということで,安価なモバイル・キーボードやメンテ用キーボードとして,あるいは,非常時のサブキーボードとして,SD-2199Sはお薦めできる.またSD-2199S後継機が開発されるのであれば,キーのクリック感の問題を解決し,より製品の完成度を高めて欲しいと思う.