goo blog サービス終了のお知らせ 

WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

新無線LAN規格802.11n対応品が,まもなく登場か?

2005-03-05 20:20:14 | ネットワーク技術
 無線LANの規格と言えば,現在,802.11a,802.11b,802.11gの3つの規格があることは,既にご存じの通りだ.これらの規格にはそれぞれ長所と短所がある.そのため最近の無線LANアダプタには,11b/11gの2規格対応,あるいは11a/11b/11gの3規格すべてに対応したアダプタもある.さらに細かいことを言えば,同じ無線LAN規格対応製品でも,使用している無線LANのチップの種類や世代により,性能が異なる場合があるので,無線LAN製品を購入する際には,できれば使用されているチップについて確認したいところだ.

 最近特に,これら無線LAN規格において注目されるのは,それぞれの規格のバリエーションだ.例えばAtheros社の無線LANチップでは,「AtherosXR(電波の飛距離を2倍にする)」や「SuperAG(11a,11gにおいて通信速度を高速化する)」という機能が,この3つの無線LAN規格内で使用出来る.またAirgo Networks社の「MIMO」という新技術では,複数のアンテナを使用することにより,最大2倍の通信速度を得ることができる.

 このように現在の無線LAN製品は,無線LANの3つの規格に,それぞれの無線LAN製品メーカーのオリジナルの技術を付加されている場合が多い.ただし,これらの「オリジナル技術」には問題がある.例えば,SuperAGの場合,無線LANアダプタがこの規格に対応していても,通信相手の無線LANアクセスポイントもSuperAGに対応していなければ,通信速度は高速化されない.またMIMOにおいても,Airgo Networks社の採用しているSpatial Multiplexing方式では,やはり無線LANアダプタと無線LANアクセスポイントの双方がこの規格に対応していなければ,大幅な通信速度向上は望めない(注:但し,MIMO対応製品は従来品よりも受信感度はよいので,通信は安定するらしい).つまりこれらの「オリジナル技術」の恩恵を被るためには,単純に無線LANの規格が,双方で合致しているだけでなく,「オリジナル技術」も双方でサポートしている必要があるため,無線LAN製品購入時には,より細かい双方のスペックチェックが必要となるわけだが,これは確かに不便だ.

 そこで登場するのが,新無線LAN規格802.11nだ.この規格は,上記のMIMOをベースにした規格で,通信速度としては100~540Mbpsが期待されている.3月3日,その802.11nの最新動向に関するニュースが入った.それによると,802.11n規格は現在,2つの規格案のどちらを採用するかについて投票が行われている状況のようだ.ただし,2005年7月にはどちらかの案を採用した「ドラフト1.0」が策定される.その後細かい修正が順次なされ,最終的に規格として確定されるのは,2007年3月となるようだ.

 ただし,11g規格の時のように,ドラフト1.0が決定された時点で,801.11nドラフト1.0対応の無線LAN製品が発売されるはずだ.とりあえず,無線LANアダプタと無線LANアクセスポイントが,この802.11nドラフト1.0に対応しているだけで,細かいことは気にせず高速な無線LAN通信が可能となる.しかも「オリジナル技術」ではなく,標準規格なので,様々な無線LANチップがこの規格に対応していくのは間違いなく,将来的にも安心だ.おそらくドラフトがバージョンアップしたり,802.11n規格が確定した時点で,メーカー側よりそれに対応したファームがリリースされ,機能や互換性も向上すると思われる.ただちょっと気になる事は,上記記事中の『ドラフト1.0ベースの製品では、最終的な802.11nには対応できない可能性がある』という点だ.802.11nドラフト1.0規格と,802.11n規格は,別物であるという割り切りも最終的局面では必要になるかもしれない.

Wikipediaが一時オフラインに!

2005-02-23 09:17:28 | ネットワーク技術
 最近,GoogleでWebサーチをしていると,百科事典ページのWikipediaに当たることが多くなった.Wikipediaは,書き変え可能なページシステムWikiを利用した,ボランティアにより編集されたネット百科事典だ.このフリーの百科事典は,言語毎に内容が分かれており,もちろん日本語版も存在する.画像等のインタラクティブなコンテンツは少ないが,既に日本語版において10万件以上の項目が記載されており,分野によっては,相当の知識を得ることができる.通常の百科事典には掲載されていない内容も掲載されており,例えば「ガンダムシリーズ登場兵器一覧」などには,モビルスーツの「製造会社名」「ジェネレータ出力」等の詳細までマニアックに記述されている.

 その,Wikipediaが,太平洋標準時で2月21日午後2時15分ごろ,停電により一時オフラインとなったというニュースが入った.記事によると,単にオフラインになっただけでなく,百科事典の内容を保持するデータベースが壊れたため,現在データの復旧作業を行っているとのことだ.23日朝8時現在は,表示自体はほぼ可能だが,普段よりかなり反応が悪い.またまれに,ページが表示され無い場合もあり,この時何度かリロードすることによってようやく表示される場合もあった.現時点では,完全には復旧していないようだ.これからしばらくの間は,Wikipediaの使用に関して,不自由を強いられることになるかもしれない.事件の詳細についてはこちら(英語).またUSAのスラッシュドットにおけるこの事件の議論はこちら

 この記事でまず疑問に思ったのは,「全世界規模で使用されるインターネット上のサーバーが,なぜ停電で止まってしまうのか?」と言うことだ.通常のWebサーバー(ホスティング)ならば,RAIDによるハードディスク障害への対処はもちろんのこと,UPS自家発電により,停電が起こってもサービスを維持できる体制を持ってしかるべきだ.記事によるとWikipediaのホスティング先には,非常用電源があったそうだ.原因は不明だが,その非常用電源が停電時うまく作動しなかったようだ.停電から数分後,すべてのサーバーがリブートしたそうだが,これが非常用電源によるものか,通常の電源が回復したためかは記事には記載されていない.

 また上記リンクの記事から,Wikipediaが,データベースとしてMySQLを採用し,テーブルとしてトランザクション可能なInnoDBを使用していることがわかった.InnoDBは,(トランザクションにおいて)今回のような電源断も含んだ障害に対する耐久性が高いとされているが,他のMySQL(InnoDB)を使用したサイトで起こった同様な事件においては,復旧にかなりの時間がかかったようだ.はたして完全なる復旧にはどれぐらいかかるのだろう?

 今やWikipediaは,インターネット上の知識タンクとして重要なの役割を果たしている.「無料なのだから,ある程度の不自由はやむを得ない」と言えばそれまでなのだが,人々が苦労して蓄積した膨大な知識の塊が,一瞬にして消えてしまうような弱いシステム構成の上に乗っているとすれば,心許ない話だ.ここはGoogleからの申し出をとりあえず素直に受け入れ,より盤石な体制をWikipediaは取るべきなのかもしれない.

フリーのデータベース対決:MySQL vs PostgreSQL

2005-01-28 04:55:51 | ネットワーク技術
 一般PCユーザーが手軽に使うことの出来るデータベースソフトと言えば,MS-ACCESSFileMakerを思い浮かべる方が多いと思う.これらの有償ソフトは,個人用あるいは,小規模なLANにおけるデータベースとしては,十分な性能を持っている.しかしWebページをインターフェースとしたインターネット経由のデータベースアクセスや,比較的アクセス頻度の高いデータベースとなると,これらのソフトの手には負えなくなる.いわゆる,データベースサーバ(SQLサーバ)が欲しくなってくるわけだが,デファクトスタンダードであるOracleはもちろんのこと,マイナーな存在であるFileMaker Server 7(約13万円)や,Microsoft SQL Server 2000 Standard Edition (5CAL)(約19万円)でも大変高価で,個人が手の出せる代物ではない.もちろん企業にとってもこれらの導入は負担が大きい.

 そこで登場するのが,無償のSQLサーバだ.現時点でWindowsXP上で動作する無償のSQLサーバには,機能は限定されるが速度に定評のある「MySQL」と,最近Windows版の発表された高機能が売り物の「PostgreSQL」がある.Linuxサーバにおいては,以前からこの2つのSQLサーバが利用可能であったが,その当時から,どちらがSQLサーバとして優秀なのかが議論の種になっていた.以前のバージョンの「MySQL」には,いわゆる「ロールバック機能」がなかったため,トランザクションを行うシステムには向かなかった.このため,本格的なデータベース構築は「PostgreSQL」で,小規模なデータベースや,速度重視のデータベースは「MySQL」と住み分けが出来ていた.また,WindowsをサーバOSとした場合は,選択の余地はなく,「MySQL」しかフリーでは存在していなかったので,SQLサーバ選択で悩む必要もなかったわけだ.

 しかし現在の「MySQL」は,InnoDBを導入することにより「ロールバック機能」を持ち,またこのような高機能化に伴い,以前よりも処理速度が落ちてきているという噂がある.これに対し「PostgreSQL」は,最新バージョンにおいてWindowsに初めてネイティブ対応し,またさらなる高機能化を果たした.このような状況下で,今までLinuxの世界で話題となっていたどちらが最強SQLサーバか?と言う話題が,Windowsの世界にも飛び火した形となり,盛り上がりを見せている.

 ところが来る2月4日,この疑問にある程度の解答を与えてくれると思われるイベントがある.東京ビッグサイトで開催される「NET & COMS 2005」の講演「検証PostgreSQLとMySQL」がそれだ. いわく「処理性能や使い勝手、技術の実用度などを、公正な立場から評価」ということで,本格的な検証結果が発表されそうだ.はたして,現時点での最強は,どっちだ!

10GB無料オンラインストレージ試用レポート5(最終回)

2005-01-25 05:19:02 | ネットワーク技術
 10GB容量の無料オンラインストレージサービスのStreamloadの試用レポート.最終回となる今回は,アカウント情報や設定の詳細について解説する.

 今まで説明してきたとおり,Streamloadの無料アカウント(別名:Freeloader)は,「お試し版」という位置づけであり,ストレージ容量が10GBと大きいものの,様々な厳しい制約がある.おそらくOffice文書,デジカメ画像や音楽ファイルといった比較的サイズの小さなファイルの保管や,小規模なファイル交換にしか,原則的には利用できないと思って良い.また,Streamloadの有料サービスは,実質ダウンロード従量制で課金するため,他者のストレージに入っているファイルも含めて,ダウンロードは制限される.これらの特徴は,アカウント情報表示にも反映されている.

 Webインターフェース上部のリンク「Account Info」をクリックすることで,現在のユーザーのアカウント情報を見たり,編集することができる.項目としては…
  • Account Information:ユーザー名,アカウントタイプ,メールアドレス,パスワード
  • Subscription Summary:料金について
  • Download Usage:ダウンロード可能量と,現在までのダウンロード量
  • Agreements:使用に関する法律的な承認
  • Processing Status:ストレージに格納される前段階処理の状態
がある.

 この中で特に注目されるのが,「Download Usage」だ.この項目の中に,詳細表示のためのリンクが存在する.「View Report」をクリックすると,月・週といった単位での,ダウンロード統計が表示される.さらに1日単位でのダウンロード統計も表示できる.ダウンロードは,課金に直結するので,明細をはっきりさせたいという意向なのだろう.また「Agreements」は,4項目に分かれているが,これはいざ著作権問題等が発生した時に,サービス停止に追い込まれないための布石だろう.

 さて最後に「設定」だが,やはりWebインターフェース上部に「settings」リンクがあり,これをクリックすると,タブ付きの設定ページが現れる.タブには…
  • General:ファイル名・フォルダ名の表示方法やクリップボード機能の設定
  • Dates & Times:タイムゾーンや日時表示形式の設定
  • File Listings:ファイル一覧の表示形式の設定
  • Downloading:ダウンローダやストリーミングの設定
  • Inbox:inboxフォルダに何か届いた場合,メールでお知らせするか等の設定
  • Hosting:ホスティングする場合,表紙ページやエラーメッセージなどの表示に関する設定(無料ユーザーはホスティング不可)


 これらの設定を見て頂ければわかるとおり,非常にカスタマイズ性が高い.またメールでのお知らせ機能などは,大変便利だと思う.ただ奇妙なことに,タイムゾーンを「TOKYO」に設定しても,なぜか実際の時間よりが1時間進んでいるので注意.

 ということで,駆け足でStreamloadを見てきたが,無料サービスでは制限が厳しいものの,品質やサービスはなかなか良いと感じた.会社としての経営基盤が盤石であるならば,有料サービス契約しても悪くない気もする.特に有料サービスはアップロード無制限なので,ファイル倉庫として使用したいというユーザーにはうってつけだろう.
 
 ただし,オンラインストレージサービスの今までの変遷を見ればわかるとおり,会社が安定していなければ,突然サービス終了の可能性もある.そのような時,すべてのファイルを回収するためには,期限までに,ひたすらダウンロードするしかないだろう.さらに,ダウンロード従量制等の制約により,回収作業に支障を来す可能性も高いのではないだろうか.

 もう一つ気になるのは,セキュリティだ.当然,UPSによる停電対策や,ミラーリング等のHDD障害対策はしているとは思うが,ファイル盗難や流出などはどのように防いでいるかが気になる.もしセキュリティ対策が万全であるのならば,声高に巨大容量を喧伝するよりも,WebArena(NTTコミュニケーションズのホスティングサービス)のように,いかにしてセキュリティを確保しているかについて,ほんの1ページでも作成すべきではなかろうか?

 最後に,少々訂正.広告は表示されないと言ったが,フォルダを何回か開くと,ファイル一覧のかわりに「有料ユーザーになろう」といった趣旨のStreamloadの広告が表示される.お試し版ですからネ.

10GB無料オンラインストレージ試用レポート4

2005-01-22 05:24:08 | ネットワーク技術
 10GB容量の無料オンラインストレージサービスのStreamloadの試用レポート.今回は,アップロード・ダウンロードの詳細について解説する.

 Streamloadのアップロードには,いくつかの種類がある.アップ対象のフォルダをクリックし,その後,ツールバーの「Upload」ボタンをクリックすると,アップロード方法を選択するページが表示される.
  • Single Files:アップするファイルを参照ボタンで1つずつ指定する.5つまで指定可能.
  • Batch Upload:ActiveXを使用し,アップするフォルダやファイルをD&Dで指定できる.大量アップロード時に使用.
  • Website Upload:これはアップロードの方法ではなく,指定したURLのページをコピーする機能.無料ユーザーの場合,ページ内に発見された画像等のファイルを10個までしか保存できない.
  • Uploader App:専用アップロードソフトのダウンロードリンクを表示.このソフトは非Streamloadユーザーでも使用出来る.
実際にアップロードした感じでは,速度制限はしていない模様だ.もちろん前回書いたように,アップロードが完了しても,すぐにストレージ内のフォルダに格納されるとは限らない.ちなみにFAQによると,ダウンロードに関しても速度制限はされていないとのこと.もちろん帯域幅が無限にあるわけではないのだが…

 ダウンロードにもいくつかの方法がある.1つのファイルだけダウンロードしたければ,ファイル名の横にある「DOWNLOAD」ボタンをクリックするだけだ.複数のファイルをダウンロードする場合は,フォルダを開き,ダウンロードしたいファイルにチェックを入れていく.選択が終了したら,ダウンロードボタンをポイントする.すると次のメニューが現れる.
  1. Download:ダウンロードの様々な方法をページ表示する.
  2. Managed Download:ダウンローダーソフトで,ダウンロードする.
 2)のダウンローダーについては,Streamloadの用意した専用ダウンローダー Streamload Downloader以外に,汎用のダウンローダーも使用可能.

 1)を選択すると,そのページで次の方法を選択できる.
  • View:ダウンロードせずにブラウザで見る
  • Managed Download:上記の2)と同じ
  • Send to Downloader:Streamload Downloaderでダウンロード
 さらに,このページの下部には,選択した各ファイルをダウンロードするための,ファイルへのURLが表示される.このリンクを非Streamloadユーザーにメールすれば,そのユーザーはブラウザを使用してファイルをダウンロードできる.前回「ダウンロードする受け手はStreamloadユーザーに限定されるので注意」と書いたが,この方法ならば無料ユーザーでも,非Streamloadユーザーにダウンロードしてもらえるようなので,ここに訂正する(ごめんネ).但し,ダウンロード経費(無料ユーザーは月100MBまでダウンロード可能)は,送り手側が負担することになり,ダウンロードされた分だけ,ダウンロード可能量が少なくなるので注意.

 ということで,アップ・ダウンに関しては,こんなところ.次回は最終回,「設定やアカウント情報」についてお届けする予定.

10GB無料オンラインストレージ試用レポート3

2005-01-21 04:55:32 | ネットワーク技術
 10GB容量の無料オンラインストレージサービスのStreamload.前回までに,無料ユーザーの登録と,無料ユーザーの制限について解説した.その中で,Streamloadの無料サービスは,あくまでも有料サービスのお試し版として提供されており,無料サービスのみでは用途が限られるであろう事を示した.今回は具体的なインターフェース等を中心に,レポートの第3弾をお届けする.

 まずDEMOを見て頂きたい.Outlook Expressに似たWebベースのインターフェースは,後発のサービスだけあって,洗練されたイメージを受ける.ページ最上部には,設定やアカウント情報へのページリンク,その下には「フォルダタブ」が横に並んでいる.さらにその下には,ツールバー(メニューバー)があり,その下に,左側にはフォルダ一覧,右側にはフォルダの内容や,ファイルのプレビューが表示される.このページはJavaScriptを駆使して作られており,バッチアップロード(XUpload.ocx,大量のファイルをアップロードする手段)といった一部機能を除いて,ActiveXを使用していない.ただし,専用クライアントソフトも準備されており,それをインストールして,アップ・ダウンすることも可能だ.

 フォルダの基本構成は,
  • Inbox:他のStreamloadユーザーからのメールを受信する
  • Archive:Inboxのサブフォルダで,受信したメールを長期保存するためのフォルダ
  • Sent Items:送信したメールのコピーを保存するフォルダ
  • My Files:ファイルの主な保管場所
  • Hosted Files:httpでファイルを提供するための共有フォルダ(無料ユーザーは使用不可)
  • Trash Can:いわゆる「ゴミ箱」
となっているが,任意にサブフォルダを作成することは出来る.

 なぜInboxフォルダがあるのかは,少々説明を必要とするだろう.Streamloadは,他のStreamloadユーザーとのファイル交換の手段の1つとして,メールを使用する.いままでのオンラインストレージでは,他者にファイルを渡す場合,自アカウントの共有フォルダにファイルをおいて,勝手にダウンロードしてもらう方法を採っていた.実際,Streamloadにおいても,それは有料ユーザーの場合可能ではある.しかし前回説明したとおり,そのダウンロード経費は,共有フォルダのオーナー側が負担することになっており,事実上使用が制限されている.

 渡したファイルのダウンロード経費を,ダウンロードする者に負担させる方法がメール添付による方法だ.オンラインストレージ上のファイルを他の,Streamloadのユーザーに渡す場合,Webインターフェースを使用して,送り手は受け手のInboxに,ストレージ上のファイルを添付したメールを送信する.ちなみに送信メールの送信先としては,相手のユーザー名のみを指定する.つまり,インターネットは経由しない.受け手は,StreamloadのInboxから,PCにファイルをダウンロードするわけだが,この時のダウンロード経費は受け手側の負担となり,送信側に経費はかからない.

 またStreamloadのユーザーでなくても,Streamloadのトップページより,Inboxへのアップロードは可能だ.但し,非ユーザーがインターネット経由で,メール添付により,StreamloadユーザーのInboxへファイルをアップすることは出来ない.そもそもStreamloadから,ユーザーに対し,インターネットメールのアドレスは提供されていないのだ.

 有料ユーザーの場合,受け手側のダウンロード経費を負担する覚悟があれば,Hosted Files共有フォルダや,メールにファイルへのhttpリンクを書き込んで渡すことで,非Streamloadユーザーに対し,ファイルをダウンロードさせることが出来る.無料ユーザーは,これらの方式は利用できない.受け手はStreamloadユーザーに限定されるので注意が必要だ.(注:その後調べたところ,ストレージファイルのURLを,非Streamloadユーザーの受け手に教えれば,受け手はURLをブラウザで開いて,ダウンロード可能であることがわかった.2005/1/22記)

 最後にアップロードについて,注意を一つ.Streamloadでは,アップロードが終了しても,すぐにはストレージに入らない場合がある.その場合,アップ先のフォルダを開くと,ファイル一覧の最後に「The system is currently adding uploads here.」というメッセージが加えられる.ファイル名のみが,フォルダに加えられる場合もあるが,その場合は,ファイル名の横に「(Processing...)」と付け加えられる.

 Inboxフォルダのメール一覧の下に表示されている,「Processing Status
」の「Pending Uploads」には,現在アップロード処理中のファイル数が表示されるので,アップロード終了後には確認した方がいいだろう.

 Streamloadアップロードは,リアルタイム処理ではないということは,肝に銘じておいた方がいい.なぜなら,このアップロード処理が,5分やそこらで終わらない場合があるからだ.アップロードファイルがキュー(Queue)に並んでいるのであろうが,ここらへんも,Streamloadの隠されたコスト削減策なのかもしれない.

 ということで,このレポートはまた次回に続く.

10GB無料オンラインストレージ試用レポート2

2005-01-20 03:53:31 | ネットワーク技術
 久々に登場した10GB容量の無料オンラインストレージサービスのStreamload.今回はその試用レポートの第2弾をお届けする.

 昨日,この無料サービスが開始されたとのニュース記事を読み,早速,無料ユーザー登録を行った.その後,このサービスをいろいろと試してみたのだが,だんだんその正体がはっきりしてきた.

 前の記事で,「この無料サービスは体験版に該当する」と書いたが,現在の私のStreamloadアカウント情報を見たところ,「Trial account」と表記されており,まさに「お試し版」として位置づけられていることがはっきりした.また具体的な無料サービスの制限を読んでみると,かつての無料オンラインストレージのように,ユーザーによって「ダウンロードセンター」化されないように工夫されていることも判明した.

 無料ユーザ(別名:Freeloader)の制限は以下の通りだ.
  • ダウンロードは,月100ファイル,または,100MBまで.
  • ダウンロードできるファイルのサイズは,10MB以下.アップロードするファイルには制限がないが,10MBより大きなファイルをアップロードしても,有料ユーザーにならない限り,それをダウンロードすることは出来ないので注意.
  • ストレージ容量は10GB.
  • ファイルホスティング(httpによる他者へのファイル提供)はできない.
  • メールリンク(ストレージ内のファイルへのリンク)をメール送信することはできない.
  • 1メールにつき,添付できるファイルは100個まで.
 このような制限下では,基本的にはビデオファイルのような,巨大なファイルを扱うことは不可能だ.おそらく,小型のオフィス文書,デジカメ写真,MP3ファイル等のストレージとしてしか,使い道はないかもしれない.また共有フォルダとしての機能(ファイルホスティング)が制限されているため,他者がストレージ内のファイルを吸い出すことができない.よって,無料サービスについては,ファイル共有や交換ではなく,主に個人用のオンラインバックアップとして使用することとなるだろう.

 Streamloadの特徴は,ストレージ容量やアップロードは無制限とする代わりに,ダウンロードを徹底的に管理しているところだ.例えば有料サービスにおいては,ファイルホスティングによる共有的手段も提供しているが,他者がホスティングされたファイルをダウンロードした場合,そのダウンロード費用はホスティングを行っているアカウントにチャージされる.こうなると,ホスティングしたファイルを不特定多数に公開することは事実上不可能と言える.おそらくこのホスティング機能は,不特定多数によるファイル共有ではなく,小さなグループによるファイル共有,もしくはファイル交換のための機能なのだろう.それを裏付けるように,ホスティングしているファイルには,パスワードを設定したり,ダウンロードする相手のIPを制限したりする機能がある.

 Streamloadのビジネスモデルは,一種の従量制と言うことが出来る.これが,採算が厳しいオンラインストレージサービスの中で,Streamloadが元気な理由だと思う.

 ということで,次回は,Streamloadの機能の詳細やインタフェースについて,レポートする予定.…あれっ?…本日は使用感をレポートする予定だったよね?

10GB無料オンラインストレージ試用レポート1

2005-01-19 03:07:27 | ネットワーク技術
 先日「無料オンラインストレージ はこ箱 終了」をお伝えしたばかりで,無料オンラインストレージはこのまま滅亡するかに思われた.ところが,本日,アメリカで新たなオンラインストレージがスタートする旨のニュースが飛び込んできた.

 CNET Japanの「ついに10Gバイト--大容量無料オンラインストレージが米国に登場

 この記事によれば,USAでは,ストレージ容量でユーザーにインパクトを与えるサービスの競争が激化しているとのこと.確かにGoogleのGmailを皮切りに,Yahoo!メール(無料容量:100MB),Hotmail(無料容量:250MB),そしてLivedoorのギガメーラー(無料容量:1GB)と,無料のWebメールサービスにおいて,受信箱の容量競争が激化したのは事実だが,USAの無料のオンライン・ストレージサービスにおいても同様の事態が発生しているとは,寡聞にして知らなかった.

 前にも述べたように,ファイル共有技術の中心は,現在P2Pに移行しており,オンラインストレージの主な意義はバックアップということになる.しかし大多数の無料ユーザーがバックアップ目的でサービスを使用した場合,おそらく広告収入による無料サービスの維持は,かなりの困難が予想される.現実に,以前無数にあった無料オンラインストレージサービスのほとんどが,有料化,もしくはサービス停止となっている.ではどのようなビジネスモデルをStreamloadは確立しているのか?

 stremloadのサインアップのページを見ると,このサービスには無料コースだけではなく,有料のコースも存在することがわかる.このページによるとコースは,「Gigabyteプラン」「Terabyteプラン」に分かれる.

「Gigabyteプラン」では
  • FREE:容量10GB,月100MBまでダウンロード可能,無料
  • BASIC:容量無制限,月1GBまでダウンロード可能,月$4.95
  • STANDARD:容量無制限,月10GBまでダウンロード可能,月$9.95
  • ENHANCED:容量無制限,月25GBまでダウンロード可能,月$19.95
  • PLATINUM:容量無制限,月60GBまでダウンロード可能,月$39.95
「Terabyteプラン」では,
  • BASIC:容量無制限,月0.25TBまでダウンロード可能,月$99.95
  • STANDARD:容量無制限,月1TBまでダウンロード可能,月$349.95
  • ENHANCED:容量無制限,月5TBまでダウンロード可能,月$1489.95
  • PLATINUM:容量無制限,月5TBまでダウンロード可能,月$4399.95
となっており,企業向けのオンラインストレージも提供するつもりのようだ.ビジネスモデルとしては,無料サービスは「体験版」「広告」「メールアドレス収集」が目的であり,あくまでも有料サービスによって,サービスを維持していくらしい.

 ちなみに会社概要によると,「2000年4月に(有料)サービスがスタートし,現在2万人以上の会員が存在する」とのことだが,この手のサービスとしては,比較的小規模に思われる.おそらく今回の「一部無料サービス化」によって,有料サービス会員を増やす算段なのだろう.

 ということで,早速,無料サービスのユーザー登録を行ってみた.個人情報として登録するのは,ユーザ名,パスワード,メールアドレスだけで,スピーディーに登録は出来た.登録が終了すると,登録したメールアドレスに確認のメールが届く.そのメール本文に記載されている「Click to verify」のリンクを開くと,洗練されたWebベースのクライアント(画像参照)が現れる.いまのところこのページには,広告は一切表示されていない.

 …というところで,本日はここまで.次回は,Streamloadの使用感を,レポートしたい. 

無料オンラインストレージ はこ箱 終了

2005-01-16 05:32:16 | ネットワーク技術
 かつて無数にあった無料のオンライン・ストレージサービス.現在この手の無料サービスはYahoo!ブリーフケースなどの大手ポータルのサービスを除いて,ほとんど絶滅してしまった.そんな状況下,まるで時代の流れに逆行するかのようにして始まったのが,日本のオンライン・ストレージサービスの「はこ箱」だった.その最後の砦とも言える「はこ箱」も,2005年1月24日をもって全サービスを終了する.

 「はこ箱」は,10GBという,かつてないストレージ容量を誇り,しかも無料で提供されていた.ただし,この無料サービスには厳しい制限があった.まず,ストレージに時間制限があり,保存から15日後にファイルは削除されてしまう.この自動削除を延期するためには有料のパケットを購入する必要があった.また,ダウンロードに関しても,有料の高速なダウンロードと,無料の低速なダウンロードに分かれていた.さらにこのような速度制御と認証を行うために,Webベースではなく,特殊なクライアント・ソフトを使用する必要があった.つまり「はこ箱」のビジネスモデルは,広告収入ではなく,通信料金や保存料金をユーザーから徴収するというものだった.逆に言うと,無料のユーザーだけでは,このビジネスは成り立たない.

 私は以前からこのサービスには注目していたが,結局一度も使用することはなく,無料会員登録すらしなかった.やはり,制限がきつすぎて,容量がでかい割には,窮屈な思いをしそうだったからだ.いまやインターネット上のファイル共有技術は,P2Pに移行したと言っていい.そうなると,オンラインストレージの意義はバックアップと言うことになると思うが,「15日&速度制限」では,その役目は果たすことは出来ない.オンラインのバックアップということならば,おそらく私は「はこ箱」よりも,保存期間の制限がないlivedoorのギガメーラーを応用するだろう.

 「はこ箱」は,ちょっとスタートが遅すぎたのかもしれない.