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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

昔はすごかったじーさんと不良少年のロードムービー『クライ・マッチョ』

2022年01月15日 23時28分44秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:4/5
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ロードムービー
ヒューマンドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 N・リチャード・ナッシュ『クライ・マッチョ』(1971)

【あらすじ】
アメリカ、テキサス。
ロデオ界のスターだったマイク(クリント・イーストウッド)は、
落馬事故以来、
数々の試練を乗り越えながら、
孤独な独り暮らしを送っていた。

そんなある日、元雇い主から、
別れた妻に引き取られている
十代の息子ラフォ(エドゥアルド・ミネット)を
メキシコから連れ戻してくれと依頼される。
犯罪スレスレの誘拐の仕事。
それでも、元雇い主に恩義があるマイクは引き受けた。

男遊びに夢中な母に愛想を尽かし、
闘鶏用のニワトリとストリートで生きていたラフォは、
マイクと共に米国境への旅を始める。
そんな彼らに迫るメキシコ警察や、
ラフォの母が放った追手。
先に進むべきか、留まるべきか?

今、マイクは少年と共に、
人生の岐路に立たされる―― 。

【感想】
クリント・イーストウッド監督デビュー50周年記念作品。
91歳にして監督も主演もこなす
この創作意欲は見習いたいよね。
俳優としても監督としても成功している人って、
ハリウッドでもそうはいないだろうし。

◆雰囲気寄りの映画

個人的には、
クリント・イーストウッド監督作品の多くをそう感じるのだけど、、、
雰囲気なんだよね(笑)
今回も話自体はジジイと不良少年のロードムービーというシンプルさ。
淡々と進んでいき、
ドラマチックな展開というのはない。
降りかかるピンチも偶然で乗り切り、
敵が面白いぐらいに弱い。

ただ、それをキャリア67年の、
業界の酸いも甘いも知った
クリント・イーストウッドがやるから味が出る。
彼がカウボーイの帽子を被って馬に乗ったり、
車に乗ったりするだけで、
極上の画になるのよ。
彼を昔から知ってるファンには
たまらないんだろうなというのが伝わってくる。

だから、不良少年を父親の元に送り届けるミッションのはずなのに、
途中立ち寄った村でのロマンスに
だんだん比重が置かれてしまう謎設定も、
なんか許せちゃう。
まあ、人生は偶然の連続というメッセージとも取れなくもないけど(笑)

◆重みのあるセリフ

そんなクリント・イーストウッドだからこそ、
放つセリフにも説得力があるのよー。
「人は自分を強く見せたがる。
 でも、老いと共に自分が無知であることを思い知る」
というのは、役だけでなく、
現実に90年以上生きてきた中で
実感したことなのかもなあなんて思うと感慨深い。
彼の作品には、
彼がこれまでの人生で感じてきたことを、
後世に伝えるように、
また自分で振り返るように、
セリフとして使われている気がする。

◆そんなわけで

この歳になってもまだ、
監督と主演も行うクリント・イーストウッドの生き様はとても刺激になる。
人はいくつになっても輝けるということを体現しているから。

ちなみに、若い頃の彼はさらにバチクソかっこいいので、
『荒野の用心棒』(1964)なんかは特に観て欲しい!


ラグジュアリーなお家騒動『ハウス・オブ・グッチ』

2022年01月15日 01時45分55秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:3/4
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
伝記
ファッション

【原作・過去作、元になった出来事】
・ノンフィクション
 サラ・ゲイ・フォーデン『ザ・ハウス・オブ・グッチ』(2001)

【あらすじ】
貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)。
彼女は、イタリアで最も裕福で格式高い
グッチ家の後継者の1人である
マウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、
やがて結婚する。

しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、
強大なファッションブランドを支配しようとする。
順風満帆だった2人の結婚生活に陰りが見え始めたとき、
パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。

【感想】
世界的なブランド、グッチの創業家にまつわる映画。
ただ、創業者のグッチオ・グッチが
いかにしてブランドを作り上げたかという話ではない。
その子供や孫たちのすったもんだがメイン。

◆最初に整理しておきたい登場人物

登場人物が多い上に、
みんな同じグッチだからちょっとややこしい。
最初に誰が出てくるかを簡単に知っておいた方がいいかも。
まず、映画には出てこないけど、
創業者はグッチオ・グッチ。
その子供がロドルフォ・グッチ(ジェレミー・アイアンズ)と
アルド・グッチ(アル・パチーノ)。
で、ロドルフォの子供がマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)で、
アルドの子供がパオロ・グッチ(ジャレッド・レト)。
なので、この2人はいとこ同士。
そのマウリツィオを誘惑して、
グッチ家に取り入ったのが、
今回の主人公であるパトリツィア・レッジアーニ(レディー・ガガ)。

◆パトリツィアの猛プッシュはまさにライオン

パトリツィアは貧しい家庭で育ったせいか、
玉の輿を狙っていたんだろうね。
パーティーで出会ったときからすごいのよ、
マウリツィオへのプッシュが。
日本の映画やドラマだと、
かわいこぶりっ子みたいなキャラが、
お目当ての男の子に猛プッシュするシーンが多いと思う。
けれど、洋画だとそういうぶりっ子っていないんだよね。
今回のパトリツィアもそうだけど、
自信と野心に満ち溢れた感じで、
「私といないと損するよ?」ぐらいの勢いだから、
圧倒されちゃう。
実際、出会った当初のマウリツィオは、
ボンボンの優しいお兄さんだったから、
グイグイ来るパトリツィアに完全にペース持っていかれてたし。
セックスシーンとか笑っちゃったよ。
ここは闘技場かな?って感じだから(笑)

◆グッチ家の運命を変えるパトリツィアの野心

グッチ家に入ってからのパトリツィアは、
もうやりたい放題。
我が物顔でふんぞり返り、
マウリツィオをそそのかして、
どんどんグッチ家の人たちを経営の座から追いやっちゃうから。
「おまえグッチ家の人間じゃないじゃん」
って思うんだけど、
彼女からしたら結婚して家族になった時点で、
自分もグッチ家って認識なんだよね。
「戸籍上はそうだけど血は違うんじゃんか」って思って、
僕はまったく共感できなかったけど(笑)

ただ、やっぱり育ちっていうのはちょいちょい出るんだよ。
マウリツィオと付き合い始めたばかりの頃に、
ロドルフォともお茶をしているんだけど、
そこでの会話の盛り上がらなさとか。
後半、マウリツィオの友人たちと会ったときに、
何かとマウンティングしちゃうところとか。
観ているこっちが「あちゃー」って感じるぐらいには、
会話に温度差があるのが伝わってきた。

◆ストーリー自体は普通

そんなパトリツィアの暴走っぷりが
楽しめる映画ではあるんだけど、
ゆーてもお家騒動だからね。
グッチっていう世界的ブランドの創業家
ってことで注目はされているけど、
お話自体はシンプルかつポピュラー。
あくまでも家庭内トラブルの話なので、
煌びやかな雰囲気はほとんどない。
それでいて、尺が159分とちょっと長めなので、
人によっては少し退屈に感じてしまうかも。

◆そんなわけで

トム・フォードやカール・ラガーフェルド、
アナ・ウィンターなど、
ファッション好きならピンとくる人物も出ている本作。
そういうファッション要素が好きなら、
楽しめる部分は多いかもしれない。