猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

秩父 萩平歌舞伎 正和会「ひらかな盛衰記」 

2013年10月28日 20時49分10秒 | 調査・研究・紀行

 台風27号28号が、日本列島をかすって行きました。28号は鉄人の様に凄い低気圧でした。
本当に来なくて良かったです。さて、10月27日(日)は一転して、終日秋晴れでした。そんな
秋の一日を、萩平歌舞伎舞台で過ごしてきました。

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津軽三味線はカッコイイですね。          長唄「羽根の禿」は可愛いかったです。

 さて、秩父歌舞伎正和会の演目は「ひらかな盛衰記」でした。この浄瑠璃は、度々目にしますが、
結構、話が込み入っていて、全体を把握するのがなかなか大変です。自分の為に、読み直して
見ました。もう、ご存知の方は、飛ばして下さい。

「逆櫓松矢箙梅(さかろのまつえびらのうめ)ひらかな盛衰記」元文四年(1739年)大阪竹本座初演

射手明神

木曽義仲討伐の為に兵を進めていた源義経が、射手(いとど)明神に参詣した折、梶原平三が、
しゃしゃり出て、朝日将軍木曽義仲をなぞらえた日の丸を射貫くと広言するが、射損じて、
義経の白旗を射てしまう。自害しようとする梶原平三であったが、佐々木四郎高綱がとりなしを
して難を逃れる。それから、義経軍は、宇治川へと向かう。

義仲館

木曽義仲の館には、正室山吹御前と長男駒若、女中お筆らが居る。そこへ、義仲が帰還して
来るが、朝廷にも相手にされないと、味方の劣勢を告げる。さらに、側室の巴御前が、帰還し、
宇治川での敗走を報告する。観念した義仲は、討ち死にをするために、巴御前諸共に、再び
出陣して行く。

巴奮戦

側室巴御前は、男勝りの武勇者であるが、義仲の子を身ごもっている。巴御前は、敵方の
秩父重忠に尻餅をつかせる等の奮戦をみせる。混戦の中で、義仲を討ったとの勝ち名乗り
を聞いた巴御前は、驚いて落馬し、生け捕りにされる。義経の前に引き出された巴御前は、
やがて届けられた義仲の首と対面する。そこで、義経が、源氏の面汚しと怒って、義仲の
生首を打ちたたくので、たまりかねた巴御前は、義仲が謀反人の汚名を着て、三種の神器を
平家から取り戻そうと自ら仕組んだのだと告白する。義経は、早合点を侘びて、巴御前の縄
を解く。和田義盛が、巴御前を預かることになり、その後、巴御前が生んだ子は、後の
朝比奈三郎義秀となる。

楊枝屋

正室山吹御前と駒若は、女中のお筆に守られて、お筆の父の所に落ちる。お筆の父(鎌田隼人清次:かまだはいときよつぐ)
は、元々、源氏の武士であったが、今は、しがない楊枝けずりである。
 しかし、直ぐに、梶原の郎等である番場の忠太に、嗅ぎつけられてしまい、取り囲まれてしまう。
そこで、隼人は、一芝居打って、若君の代わりに小猿を抱かせると、さらに取り手を家の中
に閉じ込めて、一行と共に出奔する。

梶原館

梶原平三景時の館では、嫡子源太景季(かげすえ)の誕生日祝いの飾りに忙しい。その腰元
の中で、千鳥というのは、お筆の妹、隼人の娘であった。千鳥は源太と恋仲であったが、弟の
梶原平次景高が、横恋慕をする。平次は、仮病を使って出陣もせずに、千鳥を手籠めにしようと
していたのだった。平次が千鳥に言い寄っていると、突然、横須賀軍内が走り込んで来て、
千鳥は難を逃れる。軍内は、梶原平三の文を持って、源太がおっつけ戻ることを知らせに来
たのだが、その内容は、宇治川の先陣で、源太が、佐々木高綱に後れを取って、都の笑いもの
となったから、鎌倉で切腹させろと言うものであった。

※ようやく、今回の舞台の場面に辿りつきました。

先陣問答

父平三の命令で、梶原源太景季が帰国してきます。何故早く帰国したのか、母は不思議がり、文を読んで驚きますが、弟平次は、軍内から事の次第を聞いたので、宇治川での合戦
での手柄話をしろと迫ります。

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源太は合戦の様子を話ますが、平次は横槍を入れて邪魔をします。健気にも千鳥が、源太の
肩をもって、そんなはずは無いと、食い下がります。しかし、平次は、まるで見たかの様に、
佐々木の計略にはまって、先陣争いに負け、大恥掻いただろうと詰め寄ります。図に乗った
平次は、母宛の文を奪い取ろうとしますが、母の叱責を受けます。平次は、父の文を代読し、
源太に切腹を迫るつもりだったのです。文を読めなかった平次は、刀を抜いて、兄源太の首
を討とうとしますが、逆に、源太に引き据えられて、お尻ぺんぺんされるのでした。

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※平次役の三代目関竹寿郎さんは、憎たらしい平次の役を見事にこなします。我等が師匠の
猪野さん(十二代目坂東彦五郎)は千鳥の役で、綺麗でした。

源太勘当

人払いをした源太は、母延寿に、父が射手神社でしくじり、佐々木高綱に助けられた事の次
第と、その恩返しの為、宇治川の先陣を、佐々木に譲ったのだと、語るのでした。
暇乞いをする源太を、母は、様々諭し、夫からの文を散々に引きちぎるのでした。

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しかし、検使役の陣内に切腹を迫られて、母は、源太の「阿房払い」を決意します。

※軍内役の鈴木清一さんは、おどけ役が得意な方ですね。「阿房払い」にしろと言われた時、
自分が「阿房払い」になるかと思って、「JJJ」と飛び上がって、大受けでした。

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大小を取り上げられ、ぼろを着せられた源太に、驚いた千鳥が取り付きますが、母は許しません。母が、千鳥を連れて奥に入ると、再び、平次が襲いかかりますが、やはり兄には、敵いません。ほうほうの体で、平次は逃げ出しますが、陣内の首は刎ねてしまいます。
 母は、それとなく、飾っていた鎧を源太にもたせ、手柄を上げて汚名を晴らせと、千鳥共々
送り出すのでした。

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今回のお芝居はここまでですが、
これでまでで、やっと二段目の切りです。
さすがに、疲れたので、ここで、一休みしましょう。

お疲れ様でした。

「ひらかな盛衰記」は、

続く


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