明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

コンピュータの今

2016-02-22 11:45:50 | 科学・デジタル

先日会社に書類を届けに行ったらたまたたバッタリとM君に出会って、顔を見た途端に早速新しいコンピュータを持ってきて「どうです?」とドヤ顔で私の反応を覗き込んできた、私は驚愕した。たった1年ほど病気で現場を離れていた間に、こんな姿になっていたのか、コンピュータよ!

それは冷蔵庫に置いてある脱臭剤と見紛うばかりのプラスチックの小さな箱だった。持ってみると驚くほど軽い。いうならば昔懐かしいゲルマニウム・ラジオのようである。これ「マジ?Windows10入ってるの?ネットワークはギガビット?」、一応ビジネス用の端末として不足なく使えるレベル。というより4年前に買った64ビットのWindows7より早い。価格は本体のみで1万ちょっと、安くない?

しかしよく考えてみれば、昨年あたりからちょこちょこニュースに出ていたスティック状のパソコンのビジネス版である。入力デバイスとディスプレイは既存のものを使い、メモリは2ギガ程度でディスクはない。グラフィックは弱いと言ってもソコソコ動くので、サーバーサイドで動く基幹業務系は充分だろう。セキュリティはわからないが、そもそもデータが入っていないし単純作業しか出来ない仕様にしておけばUSB経由のインストールも防げる、言うことなしである。

何でも快適にサクサク動くというのがパソコンの理想だったが、既に単なる道具の一つと考える時代に入って来た。子供の頃夢見た万能ITの世界がビジネスとは言え、コスト重視・用途専用のIotという家電の分野に変化して全世界にバラまかれる。もう人々はコンピュータに夢を描く事はない、それは進化した鉛筆削りである。誰にも出来ない高度な知能を持つ筈のコンピュータが、知能のいらない誰でもできる日常的な機能を肩代わりする。

もちろんバリバリの最強スペックは健在だが既に、ゲーマー御用達のアイテムとしてアンダーグラウンドに隠れようとしている。コンピュータは今はスマホに取って替わられた「古い形」の、例えば前掛けを垂らしたブラウン管のテレビのように、懐かしむものになりつつあるのか。

私は古い人間だ、たからコンピュータを駆使してデータベースを構築し、人間の手作業では不可能な複雑な計算を瞬時にこなして、見えなかったものを明らかにする、そんな魔法の相棒を築き上げたかった。それが単に面白そうな動画をアップして共有するだけの近所の悪ガキ仲間のオモチャに堕している。コンピュータは道具である。使う人に合わせて進化してゆく。我々の想い描いていたコンピュータの未来は、ずっとずっと低次元の、そして強力で繁殖力の高い「ネズミ」のようなものかも知れない。

M君よ、我々の時代の最後の戦士よ、生きて戦うのだ!
人類が手に入れた「知能」を、同じ人類が作り出した「ネズミ」から守るために!

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