今年の初めに、友人と旅行へ行く予定を立てた。
当初は、旅行代金を十万くらいみて遠くへ行こうと決めていた。
宿まで予約して、あとは汽車の切符を買うだけになっていた。
ところが貯まる筈だった預金はお互いに貯まらなかった。
お互いに諸事情があって、止むなく宿はキャンセルした。
お流れにするのは惜しいから近場で民宿にでも泊まって
美味い魚を食いながら酒を飲もうということになった。
それなら二人の小遣いでも行けるということで、そういうことになった。
二人で行く予定だったが、めずらしく友人が
「親父を連れて行っていいか。わしな親孝行したいんや」と言った。
断る理由もなかったので三人で行くことになった。
親父さんとは二十数年ぶりくらいに会ったが、
男三人、酒を飲んでいればすぐにも話ははずんだ。
「このバカ息子は」からはじまって、
かれこれ三時間も四時間も話し込んだ。
「こんな奴やけど、また頼んね」と親父さんは頭を下げた。
それを見た、友人はヒクヒク声を上げて泣き出した。
親父さんは二十数年前も、同じことを自分に言った。
それにしても急遽決めた宿の料理はひどかった。
親父さんは釣師だから口が肥えているが、
文句を言わない代わりにほとんど箸をつけなかった。
宿の悪口なら幾らでも書けるが、親父さんは
本当に楽しかったと何度も言っていたそうだ。
当初は、旅行代金を十万くらいみて遠くへ行こうと決めていた。
宿まで予約して、あとは汽車の切符を買うだけになっていた。
ところが貯まる筈だった預金はお互いに貯まらなかった。
お互いに諸事情があって、止むなく宿はキャンセルした。
お流れにするのは惜しいから近場で民宿にでも泊まって
美味い魚を食いながら酒を飲もうということになった。
それなら二人の小遣いでも行けるということで、そういうことになった。
二人で行く予定だったが、めずらしく友人が
「親父を連れて行っていいか。わしな親孝行したいんや」と言った。
断る理由もなかったので三人で行くことになった。
親父さんとは二十数年ぶりくらいに会ったが、
男三人、酒を飲んでいればすぐにも話ははずんだ。
「このバカ息子は」からはじまって、
かれこれ三時間も四時間も話し込んだ。
「こんな奴やけど、また頼んね」と親父さんは頭を下げた。
それを見た、友人はヒクヒク声を上げて泣き出した。
親父さんは二十数年前も、同じことを自分に言った。
それにしても急遽決めた宿の料理はひどかった。
親父さんは釣師だから口が肥えているが、
文句を言わない代わりにほとんど箸をつけなかった。
宿の悪口なら幾らでも書けるが、親父さんは
本当に楽しかったと何度も言っていたそうだ。