日々記

ひびき

小旅行

2013-05-04 | Weblog
今年の初めに、友人と旅行へ行く予定を立てた。
当初は、旅行代金を十万くらいみて遠くへ行こうと決めていた。
宿まで予約して、あとは汽車の切符を買うだけになっていた。
ところが貯まる筈だった預金はお互いに貯まらなかった。
お互いに諸事情があって、止むなく宿はキャンセルした。
お流れにするのは惜しいから近場で民宿にでも泊まって
美味い魚を食いながら酒を飲もうということになった。
それなら二人の小遣いでも行けるということで、そういうことになった。
二人で行く予定だったが、めずらしく友人が
「親父を連れて行っていいか。わしな親孝行したいんや」と言った。
断る理由もなかったので三人で行くことになった。
親父さんとは二十数年ぶりくらいに会ったが、
男三人、酒を飲んでいればすぐにも話ははずんだ。
「このバカ息子は」からはじまって、
かれこれ三時間も四時間も話し込んだ。
「こんな奴やけど、また頼んね」と親父さんは頭を下げた。
それを見た、友人はヒクヒク声を上げて泣き出した。
親父さんは二十数年前も、同じことを自分に言った。
それにしても急遽決めた宿の料理はひどかった。
親父さんは釣師だから口が肥えているが、
文句を言わない代わりにほとんど箸をつけなかった。
宿の悪口なら幾らでも書けるが、親父さんは
本当に楽しかったと何度も言っていたそうだ。
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