日々記

ひびき

こぞくら

2009-08-30 | Weblog
「おばちゃん、頭とって腹出してくれ」
「あいよ」
今日は一日嫌というほど働いたので夕暮れ前から飲んでやろうと
近所のスーパーへ行って、こぞくらを買ってきた。
どこにでもある魚なのか調べるのが邪魔くさいので端折るが、
時々この魚を買ってきて生姜をどっさり入れて煮る。
さっぱりした魚だから肴にはちょうどいいし胃がもたれない。
頭を取らなければ三十センチ弱のふっくらしたこぞくらだった。
時計の針が四時をまわったところで風呂に湯を張って、
いつもより長めに浸かっていつもより念入りに身体も洗った。
冷蔵庫に冷したグラスを取り出して貰い物の本物の麦酒を注ぐ。
白い髭が出来るほどグラスを傾けたまま飲み干す。
「これだこれだ、このために今日一日働いたんだ」としみじみ思う。
少し酔ってくると、「ああどうしてこぞくらの頭をとったんだろう」と反省する。
地方産の秋刀魚が安値で出ていたが新物だろうか。
少々値が張っても地元産の魚で一杯やるのが心意気なような気がした。
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貸家の悪口

2009-08-26 | Weblog
朝晩すっかり寒くなってタオルケット一枚だと身悶えてしまう。
今夏も仮住まいの家ではクーラーを使用しなかった。
半年弱の住まいだったが、これといって不幸もなかったがいいこともなかった。
いいことというのは住み心地に関してのことになるが不満は多数あった。
まず玄関戸の立て付けが悪く、鍵の開け閉めに一々スパナを用いた。
半端な数でない蟻が行列を作っていた。
畳が沈んだ。
蛍光灯の紐を引張ると、ぷつんと切れた。
トイレットペーパーのホルダーが異常に遠かった。
階段の傾斜が尋常でなかった。
雨漏りがあった。
回覧板が週に一度は廻ってきて煩わしかった。
もうきりがないからこれで止めとくが、いいことと言えば小さな庭があって
外に洗濯物が干せるというくらいが利点だとカミさんは言った。
これでこの家賃は馬鹿にしてると久しぶりに夫婦で意見が一致していた。
クーラーが付いているのに使用しなかったのは別段我慢したわけではない。
作動させるときっと異臭と埃が舞うだろうと思って止した。
さっき、麦酒を買いに行ったついでにいつも夕涼みに利用していた
河原の階段へ腰掛けてみた。
まだ昼間の熱が残っていてお尻が熱かった。
このごろもう秋の気配がしているがこの場所ではよく安らいだ。
自分にとってこの家のいいところは、この河原が近いということ。
ただ、それだけであった。
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猫も人も②

2009-08-22 | Weblog
猫と暮らしている人なら知っていると思うが
人が新聞を読んでいるとどうしたって新聞の上に乗る。
新聞紙の匂いが好きなのか古新聞の袋を居場所にしているのもいる。
読んでいない新聞の上には乗らないのに
読んでいる最中の新聞の上には乗るのだからやっぱり邪魔したいのだろうか?
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猫も人も

2009-08-21 | Weblog
うちでは行儀のいいのは一人も一匹もいない。
たいていはこんなふうなリラックスした体勢でいることが多い。
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休日カレー

2009-08-19 | Weblog
休日になるとたまにここのカレーが食いたくなる。
このカレーは値段はそう高くもないが本格的なインドカレーだ。
サフランライスに、チーズクルチャを付けるのが定番だ。
余計なことかも知らないがコックさんよりウェイトレスのほうが
権力があって時々叱りつける声が聞こえてくる。
もちろん日本語の達者なインド人が調理している。
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珪藻土塗り⑦

2009-08-16 | Weblog
盆休みも今日で終わりかと思ったら何だか
もったいない気持ちになったのでバイクに乗った。
乾いた風と入道雲がとても夏らしかった。
「いいぞいいぞ、夏だ。よし山へ行くぞ」と
はりきって建設中のダムの様子を見てきた。
ついでの用事に薪を売っている爺さんのところへ支払いもしてきた。
山仕事をしていたのでお喋りもそこそこにして引き上げた。
帰り道に地蔵様を見つけたのでそこで缶コーヒーを飲んで立小便をした。
今回の盆休みは荷物運びと掃除をした。
少々重たい荷物は友人の手を煩わせた。
壁塗りのほうは盆前にほとんどカミさんが仕上げてしまった。
発注から仕上げまで結局ほとんど自分でこなしてしまった。
残すところは和室の押入れひとつになった。
左官屋さんの手を借りないことで幾らかの節約にもなった。
先日荷物運びを手伝ってもらった友人も、
「へぇこれなら左官屋になれるんじゃねぇか」と言った。
住宅現場をよく知っているやつだから丸々のお世辞でもないだろう。
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星に思う

2009-08-15 | Weblog
このごろ休みというと壁塗りをしたり荷物を運んだりで
少しも余暇というものを味わっていない。
途切れなく仕事が続いているようで面白くない。
夕べは、そんな疲れもあって「おい、星を見にいこう」と山へ向かった。
気温は十八度を下がり、夏の星座や流れ星を見ようと
子連れの家族や若いカップルが数人いた。
空を見上げていると、すーっと一筋の光りが落ちた。
「流れ星だ。そいえばお前、流れ星は見たことあるか」と
カミさんに聞くと「ない」と即座に答えた。
そういえば若いころに友達と数人で夜の海に光る満天の星空を見たことがあった。
見上げると、数分ごとに星がぽとぽと落ちていた。
みんな言葉をなくしてうっとり夜空を見上げた。
缶コーヒーを片手に煙草を吸いながら、
「ああここに女が居たらな。好きな女が居たら告白出来そうだ」と誰かが言った。
あの空を見てから自分は星を見るのが好きになった。
若いころはいつまでも飽きることなく星を見ていられた。
そんなころを思い出していたらカミさんがクスッと笑った。
「何が可笑しい」というと、「だって星を思い出してため息つくなんて」と
自分がついた大きなため息を見逃さなかった。
いつか流れ星をいいほど見せてやりたいと思うが、
どうやら自分のほうが星に浪漫を感じることが多いようだ。
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おふくろの味

2009-08-14 | Weblog
盆くらいみんなで騒ごうよ、とおふくろが言ってきた。
盆でなくても家族が集まればたいてい大騒ぎになる。
男兄弟ばかりの家だから、おふくろはいつも余分に料理をこさえる。
たくさん作るのが楽しみなのだ。
狭いテーブルにお皿が食み出すくらいでないと満足しない。
ふと、おふくろの味って何だと弟と話したが自分は迷わず
「カレーライスと蓮根の味噌汁」と答えた。
このごろでは牛すじの煮込みが最高にうまい。
もともとおでん屋をしていたから本人も自信があるようだ。
あと何回味わえるか知らないが毎日でも食いたい。
本人にそんなこというときっと調子に乗るから黙っておいた。
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珪藻土塗り⑥

2009-08-10 | Weblog
今回はカミさんが和室と便所を担当して、自分がキッチンの続きをやった。
「便所は任せたから」といいながら、「いちばん人目につくから」と
結局カミさんがやることになった。
「キッチンならお客さんが入ることはないから」と自分が請け負った。
この二言でいかに自分が信用されていないかよくわかる。
しかしながら自分がカミさんの立場なら、
「お前の仕事は雑だからおれがやる。いいな」ときっと言うだろう。
それくらいに自分は珪藻土塗りが下手糞だ。
「だいぶ手馴れてきた。全部終るころにようやく慣れてくる」と
左官屋のトメさんが自分の仕上がりをみて言った。
「こんなのもうやりたくないね、たくさんだ」というと。
「ああはや」と、方言を訳すと「困ったことを言う人だ」と笑った。
カミさんも毎週のことだから疲労が重なったのか捗らなかったようだ。
いろいろと職場の悩みや、その他の悩みがあるから疲れた顔をしていた。
夫婦が何か協力、共同してやることなんて今までなかったので、
今回のことはやがてそのこと自体が意味を持ってくるような気がする。
子供のある家族なら、それだけで共同作業が成立するが
うちは子宝が授からないからこんなことでもないといけない。
仕上がりはどうでもいい。やることに意味があるんだ。
そう、必死に自分自身への言い訳を見つけて、
カミさんを一人残してさっさと家に帰り麦酒を飲んだ。
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珪藻土塗り⑤

2009-08-03 | Weblog
壁塗りのお師匠さんであるトメさんは昔気質の職人だ。
風貌はともかく、汗かきでいつも汗だくのイメージがある。
人柄がさらっとしているせいか、何だか汗だくでもちっとも臭いがしない。
昨日も休日出勤で、トメさんとカミさん自分の三人で壁塗りにあたった。
自分が一時間かかるところをカミさんは三十分でこなし、
トメさんは五分くらいで仕上げてしまう。
自分の仕上がりを見ると、くすっと笑って「どれ」といって
さっさと手直ししてくれる。
いっそ全部塗ってくれたらと思うが、
一々の優しい指導があるからそうもいかない。
「口には出さないけど奥さんは見るたびにうまくなるね」
「おれだって」というと、「今日は勝つよな」と慰めてもくれる。
昨日は作業中に三十代の夫婦が見学にきた。
どうやらこの夫婦も自分らで壁塗りをするそうだ。
このごろこんなクライアントが増えているそうだ。
トメさんは、「きっとテレビの影響だろう」と言った。
数年前までは左官屋さんも如何わしいクロス張りが横行して難儀していたそうだ。
ともかく安ければいいという時代が少しずつ変わりつつあって、
本物を予算内でというのがこのごろの傾向かも知らない。
「トメさんの仕事を見るとホッとするね。トメさんの時代がきたよ」
と建築士が言うと、照れたのか何も返事をしなかった。
そのかわりにぽたぽたと汗をたらしていた。
こんな人の汗ならいくらでも家に沁み込んでもかまわないと思った。
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