8才のときに守られたもの
8才のあの日、わたしは分けられずにすんだ。
あの日、分けられなかったことで守られたものは何だったろう?
友だち?
家族?
ふつうの生活?
高校進学?
大学進学?
結婚?
娘との出会い?
答えはそのすべてだ。
◇
自分が自分を生き延びて
大人になって、
同じような危機にいる子どもを助けたいと願った
そのとき、私が守ろうとしたものは何か?
友だち? 家族? ふつうの生活?
高校進学… 大学進学…
結婚… 娘との出会い…
違う。
それは私の人生だ。
私が自分で選んだ私の人生だ。
そこを間違ったら、分けることと同じになる
わたしがその子のために守りたかったのは、その子自身の人生だ。
自分で自分の人生を生きること
自分が自分の人生の主人公であること
自由と自律
他律ではない、その子自身の人生
誰か他人の決定に従って生きる人生ではない
その子自身の人生
◇
私が8才のときに、分けられずにすんだことで、
守られたものは何か?
ガンになって三年という時間のなかで、確かにわかった答えがある。
それは、「これがわたしの人生だった」ということ。
8才のあの日、奪われかけたのは、この「わたしの人生」だった。
分けられずにすんで守られたものは、この「わたしの人生」だった。
8才のあの日、わたしが守りたかったものは、
自分自身の、自律と自由と間違いも含めての「わたしの人生」だったのだと、
いまはよく分かる。
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