『かわいい子には普通学級を旅させよ』
…旅から帰った若者たち(その2)
12月1日、集会前のメモから。
《苦労とは何か?》
たとえばこの子が2歳、3歳のころ、「しょうがい」とは何だったのか。
この子が6歳になり小学校へ行くとき、「ふあん」だったものは何だったか。
ことば・・べんきょう・・いじめ・・「めいわく」・・おもらし・・
実際どれもいろいろあったけれど、過ぎてみれば「ふあん」は昔話になる。
この子がいろいろあるまま中学生になり、通知表はほとんどオール1のまま高校生になり、成人式で同級生たちとカラオケにいく。
いま、しょうがいとは、何だろう。
ことば・べんきょう・いじめ・「めいわく」・おもらし・・・
大人になっても変わらないものは変わらない。
それが「しょうがい」のせいだとして、いまはあのころの「ふあん」はない。
ことばが少ないこと、ことばで伝えることが苦手なまま、二十年以上生きていれば、その姿のまま生きていることは、「しょうがい」とか「ふあん」というのとは違うものになる気がする。
あのころと違ういま、しょうがいとは、何だろう。
あのころ、この子のしょうがいだと思いこみ、不安と焦りに取りつかれていたものの多くは、この子とは別のものだったような気もする。
いまのこの子の人生から顧みれば、ただこの子というにんげん。
この子というこども。
この子が子どもからおとなにせいちょうする過程がそこにあっただけ。
障害は、この子にあったのではなく、学校や先生や制度の中に満載していた。
15、20、25、30、35と生きているなかで、他の子と比べるものなどたいしてないと分かる。
あのころの若かったわたしに、いま伝えたいこと。
あなたの人生は、この子といっしょの人生はしあわせで豊かな出会いにあふれているよ。
だからだいじょうぶ。
あなたも、この子も、いま抱いているふあんよりも、いま抱いているこの子といるしあわせを信じてそのままでだいじょうぶ。
いつだっていまこの子といるしあわせをたいせつにしていけばいい。
それより他にできることなど、たいしてないと、20年後、30年後にきっと気づくから。
いつも今のこの子の、じゅうぶんにこの子でいるすがたを大切にすればだいじょうぶ。
ふつう学級、ふつう高校という旅をおえて、ふつうの社会の真ん中で生きる新たな人生の旅を歩むこの子が、ここにいる。
ふつうの、わたしが生きていると同じ社会の真ん中でいきるこの子が、ここにいるから。
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