スクラップして後で考えようと思ったけど、すぐにいろんな思いが浮かび過ぎたので、とりあえず記事とメモをそのまま書いておきます。
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認知症の急患「対応困難」94%
…全国アンケート
意思疎通、事故への不安強く
けがをしたり、病気になったりした認知症患者の受け入れで、9割以上の救急病院が対応に困難を感じているとする調査結果を国立長寿医療研究センターなどがまとめた。
困った場合には、2~3割の病院が身体を抑制したり、薬で静かにさせたりといった対応をしばしば行っていた。
29日から横浜市で開かれる日本認知症学会で発表する。
調査は昨年10~11月、全国3697の救急病院にアンケートを送り、593病院から回答があった。
認知症患者の対応に「困難と感じることがある」と94%が回答。
理由は「転倒・転落の危険がある」「意思疎通が困難」「検査・処置への協力が得られにくい」などが多かった。
看護師などの目が届かない所で起きあがるなど困った時の対応として、3割の病院が「身体抑制」、同じく2割が「薬物による鎮静」をしばしば行っているとした。
また80%が対応マニュアルがないと回答した。
調査では、認知症患者の家族へのアンケートも行った。468人の回答の33%が「受診に問題があった」とした。
具体的には、認知症を理由に診療・入院の拒否を受けたという回答もあった。
研究にあたった同センターの武田章敬・在宅医療・地域連携診療部長は「専門医以外の医師も認知症への理解を深めることが求められる」と話している。
(2014年11月29日 読売新聞)
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……「危険がある」「意思疎通が困難」
私たちの社会では、小学校でも、保育園でさえも、子どもを受け入れない理由として、おなじ言葉が使われています。
対応できない理由を、子どもの側にすべて押し付けて疑問を感じない。
対応するにはどうしたらいいかと、考えることができない。
相手に障害があると、おなじ人としてどう工夫しようかという思考が停止する習慣を、多くの大人の身につけているように感じます。
「手のかかる」子どもは受け入れないで、「どこか別の場所」にふさわしい場所があるという「大人の対応」しか、見ることのできない子どもが、大人になって作る学校や病院は、おなじように「子どもや患者」を受け入れないことが当たり前の場所になるのだと、94%という数字をみておもいます。
ほんとうは、そんなに難しいことではないはずなのです。
配慮や工夫ができないほど困難な事態はそれほどないはずなのです。
それなのに、認知症になってしまったら、安心して病気になることができない…。
本人にとっても、認知症になった人を大切におもう家族にとっても、悲しい社会だとおもう。
人生のはじめの子どもたちを、大事にしない社会は、人生のおわりに病気になった人にさえやさしくなれない社会なのだと、それは当然そうなるよなとおもってしまいます。
病院の対応の問題を指摘しているはずの、記者の言葉遣いも、同じ文化を感じます。
「看護師などの目が届かない所で起きあがるなど困った時の対応…」という書き方は「問題」をすり替えています。
認知症になって、その上で緊急で入院する必要がある状態とは、命の終わりに近い状態も少なくないはずです。
その最期を迎える患者さんを十分に見守ることができないのは、「看護師の目が届かない」のではなく、ただ「看護師が足りない」だけのことです。
「目が届かない所で起きあがる」人が「困った行動」をしているのではなく、人生の最後に認知症という病をもち亡くなりかけている人の最期の時間を大事にできる「人の配置」を当たり前と思わない社会が、「困った行動」をし続けているのです。
また、「困った場合には、…身体を抑制したり、薬で静かにさせたりといった対応をしばしば行って」いるのは、病院だけでなく、学校も同じです。
学校の先生に言われて、「薬」をのまされている子どもは少なくありません。
「意思疎通が困難」という言葉も、おかしな言葉です。
「意思疎通が困難」という場合の中身は、学校や病院の意志が相手に通じないことや、分かる言葉で説明しない相手の問題を強調するだけで、認知症の人や障害のある子どもの思いを、自分たちが分かろうとしないことについて振り返る気持ちは含まれていない気がします。
私たちが人として大切にしたいもの、お金に代えられないものがあると、本当はみんなが思っていることを、まっすぐに大事にできず、「それは理想」だとか、「現実は…」という言葉であきらめさせられているようにおもいます。
ひとりの人を、ひとりの子どもを大事にするために、お金をかけることや人の手をかけることが、当たり前の学校や病院が増えますように♪
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