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「高校で学び保障できぬ」
沖縄県、重度知的障がい者の入学拒む
大阪府は受け入れ
2019年12月4日 08:30沖縄タイムス
重度知的障がいがあり、来春3度目の沖縄県の県立高校受験に臨む仲村伊織さん(16)=北中城村=に対し、県教育庁は3日までに「高校では重度知的障がいの生徒の特性に応じた教育課程を提供できない」と受け入れを拒む見解を示した。
今年3月の高校入試当日の仲村伊織さん。2度不合格になっているが、今も高校進学に強い意欲を示している=北中城村の自宅(家族提供)
学校教育法の規定などを根拠にしているが、県外では仲村さんより障がいの重い生徒が入学・卒業する事例がある。識者は「都合の良い法令の羅列から導き出した結論は恣意(しい)的」「障がい者の権利侵害だ」と批判する。
同庁が沖縄タイムスなどに配布した「教育委員会の考え方」によると、同法や文部科学省の通知を引用しながら、高校は(1)小中学校と異なり、特別な教育課程の編成ができない(2)一部の授業で障がいに応じた特別な指導をする通級指導も知的障がい者は対象にならない-としている。半嶺満教育指導統括監らは「高校では学びの保障ができない。特別支援学校の教育の枠組みで、高校生と交流の機会が持てないかを検討している」と理解を求めた。
障がいの有無にかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育に詳しい大阪経済法科大学の一木玲子客員研究員は「法令の上にある憲法の教育を受ける権利を保障するために努力すべき立場でありながら、建設的な検討なく学びを保障できないと結論付けるのは本末転倒。本人と保護者が望まない特支学校への入学を了承なしに検討していることも権限を越えている」と批判する。
大阪府は定員に空きがあっても不合格となる「定員内不合格」を出さない方針で、府立高校で重度知的障がいの生徒も受け入れている。サポートを得ながら一斉授業を受けたり、同じ教室で違う課題をこなしたりしている。
県教育庁は対応について「特性に応じて支援員が付いたらできるなどの判断をしているのだろうが、沖縄は現制度では厳しいと考える」と説明する。
一木さんは「全国の高校では約30年前から、工夫を凝らして実践しているが、沖縄はこれらの事例を法令違反と捉えているのか。先駆的な取り組みから学び、挑戦しようとする姿勢が見られない」と話した。
(社会部・嘉数よしの)
《以下は、社会面の記事」
頑張る子ども裏切る
県教育庁見解 仲村さん家族ら落胆
重度の知的障がいがあり、3度目の高校受験に意欲を示す仲村伊織さん(16)に対し県教育庁が突き放すような見解を示した。
「高校の教育課程をこなせる能力がない」「選抜制度を変更できない」とのこれまでの主張に加え、「法的に高校では受け入れられない」とした。
家族や支援者は「受験しても無理という、頑張る子どもを裏切るようなメッセージ」と落胆と怒りの声を上げる。(1面参照)
仲村さんと両親は、地域や社会とつながる生き方を願い、小中学校は地元北中城村の普通校で学んだ。両親や先生たちも驚くような子ども同士の関わり合いや成長が見られ、中学を卒業すると仲村さんは「大きい学校行く」と高校進学への強い思いを口にするようになった。
母美和さんは「高校を目指すのは彼の思いを大切に考えてのこと」と説明する。
2018年3月の最初の受験で不合格となった後、「県障がいのある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」(共生社会条例)に基づき、入試制度の改善などについて知事にあっせんや助言を求める申請を提出した。
これを受けて立ち上がった調整委員会は、県教育庁の対応に「合理的配慮として不十分な点があった」と指摘。同庁は今春の2度目の受験時には意思疎通支援などを進めた。
だが今回、「現制度では特性に応じた教育課程を提供できない」との見解を示した。
受験時の配慮はしても重度知的障がい者は合格できないと《門前払い》にする形だ。
千葉県で障がい者の高校進学をサポートする佐藤陽一さんは「これまで受験させておいてあまりに無責任。入学できる可能性があるならと本人も親も頑張っているのに。受験は意味がないことになる。裏切りの行為で道理に反する」と批判する。
美和さんは「息子が高校に入るのはそんなに困ることなのだろうか。障がいがあるが故にどんなに望んでも思いを断たれてしまうのは差別じゃないか。怒りと残念な気持ちでいっぱい」と無念の思いを口にした。
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