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「定員内不合格」の壁を破れ 教授や弁護士らが応援団 障害者と学校を支援


【新聞記事】

「定員内不合格」の壁を破れ 教授や弁護士らが応援団 障害者と学校を支援


2/21(金) 8:40配信 毎日新聞


応援団の結成式で、参加者の前で合格に向けて決意表明する平田和毅さんと両親=北海道旭川市で2020年2月16日、横田信行撮影



 重度の知的障害がある自閉症の北海道旭川市立中3年、平田和毅さん(14)の高校受験を支援しようと、道内外のさまざまな市民団体や個人が今月中旬、応援団を結成した。重度の障害を持つ志願者は、定員割れにもかかわらず入学を認められない「定員内不合格」となることが少なくない。応援団は対話・連携を通して本人の受験だけでなく、進学を目指す高校も支援するという前例のない挑戦に取り組む。【横田信行】



 中学では普通学級に在籍する平田さんは、小学校時代からの友だちと共に学び成長してきたといい、市内の定時制高校に入りたいとの意思を示した。言葉を使ったコミュニケーションが苦手で、志望動機などを話さなければならない面接が大きな難関だが、担任の教諭や同級生の友人らが練習に協力しているという。


 応援団には、道内外の大学教授や特別支援学校教諭、弁護士のほか、障害の有無にかかわらず全ての子がともに学ぶインクルーシブ教育の専門家、障害を抱える当事者や支援者ら60を超える団体・個人が参加。16日に同市内で結成式が開かれ、共同代表に「自立生活センター(CIL)ラピタ」(旭川市)の佐藤祐代表が就任した。佐藤さんは脳性まひで車椅子生活を送りながら、地域で自立した生活を送れるよう障害者自身が主体的に関わる活動をしており、「つながりを広げていくことに大きな意味がある」と期待を寄せた。


 応援団は道教委に対し、受験時にカードを使った意思表示を認めるなどの障害の特性に応じた合理的配慮や高校への支援員配置を要請。円滑なコミュニケーションを可能にする介助者の同行などについて、志望校とも事前に話し合いを重ねている。進学後もさまざまな専門家が、高校側に助言や情報提供して支援する。


 平田さんの両親や応援団は「高校側も受け入れが初めてで、さまざまな心配や不安があるはずだ」として、圧力をかけたり、対立・敵対の構図を作ったりするのではなく、次につながる建設的な対話を継続していく考えで、「協力・協働で合格を目指して頑張り、差別や偏見を乗り越えたい」と意気込む。


 ◇「6度目の挑戦」で合格した例も


 日本も批准した国連の障害者権利条約では、障害の有無にかかわらず、すべての子どもが地域の学校の普通学級で学び、必要に応じた支援や配慮が受けられるインクルーシブ教育が原則。本人・保護者が希望すれば、普通学校・普通学級を選べるようになっている。


 高校も受験時などに障害に応じた合理的な配慮が求められる一方で、受け入れ態勢の整備は進んでおらず、校長による「高校教育に足る能力・適正の総合的な判断」で定員内不合格が生じている。


 2019年11月には、千葉県で普通高校への進学を希望しながら25回も定員内不合格となり、7年間の浪人生活を送っていた脳性まひの男性が亡くなり、改めて問題が注目された。沖縄県でも重度の知的障害のある男性が2年続けて定員内不合格になり、家族や支援者らが見直しを求める活動を続けている。道内ではダウン症の男性が15年度から5度の定員内不合格を乗り越え、6度目で高校に合格した例がある。


 文部科学省によると、都道府県立高校の定員内不合格について19年度は「原則出さない」と答えたのは神奈川、愛知、大阪、福岡など15都府県にとどまり、北海道を含む32道府県の教育委員会が「出る可能性がある」と答えたという。
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