山口で、香川で、愛媛で、また高校生になれなかったという報告が聞こえ。
理不尽な理由で、新一年生が学童保育を断られた話を聞き。
また小学校2年生になって、担任が変わって一週間余りで、学校に行けなくなった子どもの話を聞き。
さらに昨日、私の大切な師匠の一人である4年生のあーちゃんが、福島から県外に引っ越したという話を聞きました。
子どもたちが、その自らの「障害」に思い悩み、苦しんでいる、という話を、私はほとんど聞いたことがありません。子どもたちの苦しみは、健常者という大人がもたらすものばかりです。
98%の子どもが無償化で高校進学する中、2年も3年も6年も浪人してまで、高校生になりたいと願う子どもを、定員が空いているのに不合格にし続けるのは、子ども差別です。
養護学校高等部が、「希望者全員入学」であり、障害児にも高校教育を受けることが保障される中、小学校中学校と同様に普通高校を目指す子どもだけが、定員内不合格にされるのは、子ども差別です。
そして、生まれた町、住み慣れた町、友達や顔見知りの人や公園やお店や山や川の風景を、原発のせいで、失くしてしまったあーちゃん。
障害があることで無数にあった壁を、お母さんが体をはって壊してくれて、普通学級でみんなと一緒の生活を送り、2年生の終わりにはやっとお母さんの付き添いもなくなった。
隣にお母さんがいなくなったことで、自分ひとりをまるごと自分で受け止めるようになった姿を、私に教えてくれたあーちゃん。
クラスの子は、みんな「おともだち」だったのが、ひとりひとりの「名前」のお友達に変わっていく姿を教えてくれた師匠。
そうして、3年生になり、はじめて一人で作り上げてきた学校生活の仲間、友達、同級生たちとのこの一年間。
これから、4年生、5年生、6年生、中学生、高校もその先も。ずっとその町で続いたかもしれない限りない人間関係の未来。
それを奪った、福島の原発事故。
あーちゃんが奪われたもの。
あーちゃんにとって宝物のように大切な友達との過去と未来の日々。
あーちゃんの苦労は、「障害」によるものよりも、やはりいつも健常者という大人がもたらすものです。
私たちは、子どもたちに、本当に大切なものを、与え、守り、伝え、もらい続けたいと思います。
あーちゃんが新しい学校で、やさしいすてきな子どもたちに出会えますように。
心から願っています。
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ありんこ
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