(153)
《自立生活運動に背中を押され》
当時の私を一人暮らしへと後押ししてくれたもう一つの要因は、
人々の介助を受けながら地域で長年暮らしている
先輩障害者の存在だった。
飲み食いや排泄などの基本的な活動まで
介護者の都合を優先して管理する家庭や施設。
そこから彼らは抜け出し、
人手を自ら調達しながら
地域で主体的に暮らすことを選んだ。
その流れは「自立生活運動」と呼ばれている。
施設や家族のパターナリズムへの抵抗、
という理念に私は強く共感し、励まされた。
しかし…同じ身体障害者といっても、千差万別である。
だから、私は彼らの暮らしぶりを参考にしつつも、
あくまで私固有の暮らしを一から作り上げていこうと心に決めた。
もちろん、私には生活のビジョンなんてまるでない。
ただ一つ強く感じていたのは、
いつかこれを始めなければ、
両親亡き後、
私は生きていかれないのではないかという不安だった。
□ □ □
「親なき後」という言葉を、繰り返し読み、
繰り返し聞いてきました。
そのたび、文脈によって程度の差はありますが、
違和感を感じてきました。
その理由をいくつも考えてきたつもりでしたが、
この「使い方」は意識できてきませんでした。
「いつかこれを始めなければ、
両親亡き後、私は生きていかれないのではないかという不安」
昔、読んだ本の「障害者」は、
こういう言葉遣いではなかった気がします。
「親は敵だ」という私の印象が強すぎるせいかもしれません。
そのせいか、この言葉は新鮮でした。
いままで、「親」の立場や、
「教師」の立場から聞く「親亡き後」とは、
まったく違うものを感じます。
そしてふと、hideの顔を思い出し、
「ああ、hideも、こういう不安を感じたことがあるのだろうか」
と思いました。
そして、「いまのhideは、少なくともこういう不安を
感じなくてもいい、自分の生活を手にしているんだな」と、
そう思います。
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