《この子たちは「入試」を利用する社会に何を伝えてきたか》(その3)
《学んできたもの》
保育園と仲間が、この子にランドセルを宝物と教えた。
この子は空色のランドセルを選んで小学校に通った。
ときどき宝物を道端に投げ捨てたけれど。
小中学校の9年間を共に生きて、世界を探求し。
小中学校の9年間を共にふれあい、社会行動に必要な安心と信頼を学び。
高校生になることの意味を学んだ。
この世界での、自分の「身の置き方」「身の置き所」を、自分で学んだ。
□
《信じて待つ》
落ち着きがない、言葉の理解ができない、指示が通らない、何も分かってない。
ただ親の考えで、何も分からない教室に「いるだけ」のお客様にされてきたかわいそうな子。
そう言われてきた子どもたちが、来年の春までの一年を「待つ」という。
落ち着きがない? 我慢が足りない?
そう言われてきた子どもたちが、居場所のない一年を「待つ」という。
何も分かっていない? コミュニケーションができない?
そう言われてきた子どもたちが、「一年待てば高校生になれる」という。
「言葉」を信じて、「約束」と信じて、「待つ」ということ。
《RONINというコミュニケーション》
「高校で学ぶ能力・適性がない?」?
「コミュニケーションができない?」
誰よりも強くコミュニケーションしてきたから、高校をつながり、生きるための学びの場所と決めたのだ。
3年も5年も7年も10年を超えても、信じ続けるコミュニケーションへの信頼。
15歳でこれほどの「信頼感」を学んだ子どもは、多くはない。
だから、高校生になると、小学校より中学校より休まずに、生き生きと楽しそうに学校に通う。
自分の人生で、一番自分が安心できる場所がどこかを学んだ。
自分が、生き生きと、安心して、自分を表現できる「身の置き所」とつながりの作法。
だから、高校に行きたいという表現はあきらめようがない。
RONINとは、私たちを信じているというコミュニケーションなのだとおもう。
RONINしている間も、この子は自分の経験を基準に、自分の人生から学び続けている。
「コミュニケーション=応える能力」を試されているのは、誰か。
《コロナのおまけ》
誰もが先の見えない今、
誰もが行き場のない今、
誰もが定員内不合格のような今、
この状況で、3年も7年も10年余も揺るがず、信じ、待つ力を、支えているものの豊かな世界を、思う。
その世界を取り戻してあげたい。。。
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