ワニなつノート

8歳の子どもと怪獣ジャミラ


去年はいろんなことがありすぎて、どうも自分の立ち位置がよく分からなくなっています(o|o)

なんでブログなんて始めたのだったか…?

ひとつは自分のために、でした。
もう一つが、障害のある子どもが誰でも、地域の普通学級に通えるように。

それがホームを始めたことと病気のことで、自分が何を書いているのか、迷っている感じです。

…で、少し昔の文章を引っ張り出してきました。
7~8年前くらいに書いたものみたいです。



《8歳の子どもと怪獣ジャミラ》


四方を山に囲まれた雪国の町に生まれ育った。
子どもの頃、東京にはゴジラがいると信じていた。
山の向こうには、狼少年ケンやレオの世界があると信じていた。

そんな子どもの心に、なぜかジャミラの話が強く残った。
人間が怪獣になることがあるのだと本気で信じた、と思う。
ウルトラマンとジャミラと「愛と死をみつめて」に心惹かれる小学生だった。
自分の未来にそうした人間の悲惨を予感したのだといまは思う。

親父が酔っ払って、暴れて、怒鳴っているのを遠くに聞きながら、いくつも夜を過ごした。
ふとんを頭からかぶって眠った。でも息苦しくてすぐに顔を出して息を吸い込む。
そしてまた、ふとんに潜り込む。そんな夜が普通だった。

おねしょをしないように、神様や仏様や死んだじいちゃんや、願いを聞いてくれるなら誰でもいいから必死でお願いした。毎晩、何度も呪文のようにとなえた。

どれほど悪いことをしたら、人はジャミラのように怪獣になってしまうのか。
そして一人で宇宙を彷徨うことになるのか。

数えきれないほど膨大な数の嘘をついていた子どもだったから、閻魔さまには嘘が通じないというのが恐かった。
嘘じゃないといえば嘘つきだとばれる。
いつも嘘をつきましたと言えば、やはり嘘つきになる。
たとえ生きている間は嘘をつき通せても、死んでばれたらやっぱりジャミラのような元人間の怪獣になってしまう。

どうしたら大人になっても怪獣にならずにすむだろうか。
「まだ間に合うのか」、そんなことが本気で恐かった。

ゆうた。あのとき、おまえは「おれもいい人になれるかなぁ」と聞いたよな。
「まだ間に合うかなー」とこの俺に聞いたんだよな。
バカだなぁ、おまえ、聞く相手を間違えてる。

「いい人になれるか」じゃなくて、「どうしたら怪獣にならずにすむか」「人間でいられるか」、そんなことをお前の年のころから考えてきたんだから。

人間を裏切って怪獣にならないことに「まだ間に合うか」と、それを確かめたくて生きてきて、答えが見つからないまま、残り時間が気になってきたような奴に聞いてもしょうがないだろ。

だけど、それが見えたから、俺に聞いたのかもしれないな。

どっちにしろ、「まだ間に合うか」を気にして生きている仲間だと、思ってくれたんだよな。

自分は「悪い子」だと自覚している仲間だと。
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