「適格者主義」を超えて (その2)
「障害者差別禁止条約」と「障害者差別解消法」によって、世界と日本はインクルーシブな社会を目指すことを改めて確認した。しかし、沖縄県教育委員会は「高等学校では重度知的障害のある生徒に対し、法律上その特性に応じた教育課程を提供できず生徒の学びの保証ができない」と発表した。
これは2019年12月4日沖縄タイムス1面トップで報じられた「事件」である。なぜならこれは、沖縄県がインクルーシブな社会を目指すことを拒否する宣言になっているからだ。しかも翌日の琉球新報ではさらに、受検の「合理的配慮」は行うが「教育を提供する」意思のないことを、「受験の機会は提供しており門前払いや切り捨てではない」と主張した。
◇
しかし日本の他の都道府県の高校では、「重度知的障害のある生徒」への「学びの保証」が実践されてきた。たとえば東京では、「昭和62年度入学」の「重度知的障害」児への配慮のために、校長から都教育委員会への要望書「本校定時制生徒特別指導のための非常勤講師配当に関する経過報告並びに今後の措置のお願い」が提出され、加配の非常勤講師が認められている。
沖縄県教育委員会が主張する「法律上」の根拠は、日本の法律のどこにも見当たらないのだ。もしその法律の根拠が見つかれば、他の都道府県の高校では、30年以上にわたって「違法な教育」を行ってきたことになる。
沖縄県教育委員会は、自らの間違いにいつ気づくだろう。
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