瀬戸内国際芸術祭2013 秋会期(~その1)の続き
香川県丸亀市の猪弦一郎美術館において2013年7月13日~11月4日の会期で、大竹伸郎展「ニューニュー」が行われました。
今回行われた瀬戸内芸術祭の参加作品では無いのですが、芸術祭の立役者というべき作家の展示ということで、拝見しました。
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今回の大作、2012年、カッセルの森で展示されていた野外展示を屋内美術館に移しての展示「モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋」です。
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スクラップというと、昭和世代が旅行をすると、旅先の観光案内のパンフレット、旅館の箸袋、ホテルのコースター・・・なんでも印刷されたものは持ち帰り、写真と共にスクラップしたもので、そういうノスタルジックな甘さや、年代と共に色あせていく写真が示す、思い出の儚さがスクラップという言葉にあります。・・・と同時にそれは、本来の何かを表示していた目的から切り離された紙媒体たちが、貼りこむ行為によって死滅せられた残骸をも示してして、旅先での思い出を共存し得ないスクラップした本人以外の人が見るとまさにスクラップゴミであるという皮肉があります。
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中では、自動演奏をするエレキギターが、不気味な音を奏でていたり、昔の音楽番組の音がエンドレスで流れています。「俺達を忘れるな!」と作品が叫んでいるような気がしました。
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海岸沿いの寒村のスナックのような・・・そんな感じです。打ち捨てられたボートやキャンピングカー。いろいろなメッセージがそこから読み解けそうでいて、ブクブクと飽和しては、その重力で形を成さずに崩れ去る泡のように、印象の根幹が捉えられないもどかしさ・・・そこもまた魅力です。(分かりやすく言うと、なんじゃこりゃ!って事です。)
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他にも新作の立体やドローイングの作品、遊戯施設の廃墟の一部を作品としたものなのどがありました。また美術館の入り口上部には、「宇和島駅」のネオンサイン。とてもノスタルジック。
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もうひとつ、瀬戸内のアートを語る上で外せない香川県高松市にある建物をご紹介いたします。丹下健三の「香川県旧庁舎」です。1958年竣工、地上8階建て、鉄筋コンクリート造りです。当時、権威的な戦前の洋風建築が主だった県庁舎の建物の中で、このコンクリートの洋風な装飾を廃した建築物は大変モダンな存在でした。幼少の頃からこの建物を見ていた私は、公共の建物というものは逆にこういうスクエアを重ねた作りのものだと思っていたので、地方の無機質な図書館や公民館などを見ると、妙に懐かしかったりします。
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しかしただの無機的な建物だと思っていたのは子供の無知ゆえ、建物は五重塔のような重層構造で、築山や太鼓橋のある日本庭園を設け、ロビーには茶の湯の精神を現した猪熊弦一郎の陶板壁画・・・と実に贅沢なつくりです。
特筆すべきは、強度ギリギリに張り出した各階のバルコニーとそれを支える薄い梁で、50年以上経った今も、コンクリートには亀裂が入っていません。大勢の職人たちが竹竿で生コンと砂をかき混ぜて、完全に空気を抜いてコンクリートを固めていた当時だからこそ出来た技術で、逆に現在のスピードを重視した建築工程では、再現できないという話です。
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一枚岩を削り出したテーブルや、砂利を敷き詰めた地面、作り付けの家具、すべて美術的価値があるという事で、新庁舎に機能が移った今も旧庁舎は、公開保存されています。
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香川県丸亀市の猪弦一郎美術館において2013年7月13日~11月4日の会期で、大竹伸郎展「ニューニュー」が行われました。
今回行われた瀬戸内芸術祭の参加作品では無いのですが、芸術祭の立役者というべき作家の展示ということで、拝見しました。
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今回の大作、2012年、カッセルの森で展示されていた野外展示を屋内美術館に移しての展示「モンシェリー:自画像としてのスクラップ小屋」です。
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スクラップというと、昭和世代が旅行をすると、旅先の観光案内のパンフレット、旅館の箸袋、ホテルのコースター・・・なんでも印刷されたものは持ち帰り、写真と共にスクラップしたもので、そういうノスタルジックな甘さや、年代と共に色あせていく写真が示す、思い出の儚さがスクラップという言葉にあります。・・・と同時にそれは、本来の何かを表示していた目的から切り離された紙媒体たちが、貼りこむ行為によって死滅せられた残骸をも示してして、旅先での思い出を共存し得ないスクラップした本人以外の人が見るとまさにスクラップゴミであるという皮肉があります。
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中では、自動演奏をするエレキギターが、不気味な音を奏でていたり、昔の音楽番組の音がエンドレスで流れています。「俺達を忘れるな!」と作品が叫んでいるような気がしました。
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海岸沿いの寒村のスナックのような・・・そんな感じです。打ち捨てられたボートやキャンピングカー。いろいろなメッセージがそこから読み解けそうでいて、ブクブクと飽和しては、その重力で形を成さずに崩れ去る泡のように、印象の根幹が捉えられないもどかしさ・・・そこもまた魅力です。(分かりやすく言うと、なんじゃこりゃ!って事です。)
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他にも新作の立体やドローイングの作品、遊戯施設の廃墟の一部を作品としたものなのどがありました。また美術館の入り口上部には、「宇和島駅」のネオンサイン。とてもノスタルジック。
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もうひとつ、瀬戸内のアートを語る上で外せない香川県高松市にある建物をご紹介いたします。丹下健三の「香川県旧庁舎」です。1958年竣工、地上8階建て、鉄筋コンクリート造りです。当時、権威的な戦前の洋風建築が主だった県庁舎の建物の中で、このコンクリートの洋風な装飾を廃した建築物は大変モダンな存在でした。幼少の頃からこの建物を見ていた私は、公共の建物というものは逆にこういうスクエアを重ねた作りのものだと思っていたので、地方の無機質な図書館や公民館などを見ると、妙に懐かしかったりします。
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しかしただの無機的な建物だと思っていたのは子供の無知ゆえ、建物は五重塔のような重層構造で、築山や太鼓橋のある日本庭園を設け、ロビーには茶の湯の精神を現した猪熊弦一郎の陶板壁画・・・と実に贅沢なつくりです。
特筆すべきは、強度ギリギリに張り出した各階のバルコニーとそれを支える薄い梁で、50年以上経った今も、コンクリートには亀裂が入っていません。大勢の職人たちが竹竿で生コンと砂をかき混ぜて、完全に空気を抜いてコンクリートを固めていた当時だからこそ出来た技術で、逆に現在のスピードを重視した建築工程では、再現できないという話です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/0c/8248e987b7e07564a0854f03b33dd1b6.jpg)
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一枚岩を削り出したテーブルや、砂利を敷き詰めた地面、作り付けの家具、すべて美術的価値があるという事で、新庁舎に機能が移った今も旧庁舎は、公開保存されています。
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